トヨタ自動車の農業論
トヨタ自動車はトヨタ方式の農業改革を提唱しているそうだ。とても興味深い。TPPを行っても日本の稲作が経営可能なのか、是非ともトヨタ方式でやってみてほしい。今の取り組みでは、誤解される事を期待しているかのようだ。農家が経営改革できないことを努力が足りない、知恵が足りないとの主張にも受け取れる。確かに世界の自動車産業をリードするノウハウがあるのだろう。是非とも「稲作で」そのトヨタ方式で試してみてもらいたい。農水省が5年後に実現するという、30ヘクタールの稲作農家が、どうすれば経営可能になるのか、実際にやってみてほしい。農家は口先では動かない。実際にトヨタの農業法人がそうした農業経営を実現していなければ、話を聞く人はいない。今のところ、JAと協力してベビーリーフで実現しているらしい。ベビーリーフも良いけれど、それは特殊な正解である。稲作と言う普遍的な正解とは意味合いが違う。自動車と箱根細工くらい違う。
このベビーリーフの事業は2006年に取り組んで、1億円の売り上げが3億円に伸びたと書かれている。もうだいぶ前の話である。何故その後トヨタ方式で、稲作を行い、1億円が3億円に伸びる方式を示してくれないのか。TPPではベビーリーフは問題にならない。そもそも関税などない。是非とも稲作のトヨタ方式である。私にはどう考えても稲作で、生産効率が3倍になる方式は見えない。もしあるなら、稲作で示してからTPPに対して意見を述べるべきではないか。日本人が羊に成って草ばかり食べている訳にはいかない。農業者なら、野菜農家と果樹農家と花卉園芸農家と稲作農家の経営が全く異なること位い誰にでもわかる。TPPでは稲作農家の経営の合理化が問題になる。確かに稲作農家に置いても、特殊な正解はある。例の中国富裕層向け稲作農家である。今必要なのは、日本人の主食になるごく普通の、お米の生産をどう経営合理化し、政府の言う国際競争力を付けることが出来るかである。
やる前から否定する訳ではない。是非とも政府でもトヨタでもいいから、やって見せてほしい。そうすれば国民全体が安心できる。それまでは、日本の稲作農家が愚かで、努力が足りないごとくの宣伝は止めてほしい。すでに政府は、補助金の方向である。補助金で保護するのでは意味が違う。補助金と関税が違うのかどうか。TPPでは補助金は許されることになるのか。早急に対応策を出さなければ、ぼろぼろ70歳を越えた農業者は辞めて行く。後継者はやらない選択をする。実は辞めてくれたら有難いというのが、政府の本音だろう。この考えは、50年前から言われていた。農業者を工場労働者にするという考えであった。農業で培われた優秀な労働力が、工業分野に大量に供給され、日本は目覚ましい工業化を行う。しかし、現状では農家の若者を吸収する職場は無い。格差が広がって行くことになる。
工業社会の方では労働者を日本に求めなくなった。これから競争が激しくなればなるほど、日本から出て行くだろう。トヨタと言う世界企業はそれで良い。日本と言う国とは別に動いている。世界の中で、もっとも安くもっとも能力の高い国に工場を作る。そして関税も税金もとられない所に行くだろう。そうした資本の思想と日本と言う国のあり方は別である。日本人の幸せと言うことが、日本と言う国の目標である。国際的な企業と国の利害は別になっている。もちろん日本の企業人も日本人ではあるから、日本の国をないがしろにはしていないだろう。しかし、資本や株主の要望を優先もする。資本の利潤に従うことも企業人の使命である。もしかしたら、農業に間違った情報を流すような悪意に基づく意図で、農業論を展開しているのかもしれない。そうでないなら、基本中の基本である稲作でやってみろ。と言いたい。
昨日の自給作業:さつま掘り1時間 累計時間:12時間