この冬の堆肥をどうするか
有機農業に転換して行く過程では、腐植質を増やしてゆくことが重要な事になる。江戸時代の農業の方法が循環型であったことは、糞尿を加えた、堆肥を畑に入れ続けたことにある。化学肥料と農薬の農業が一般化する家庭で堆肥を作る農家は、ほとんどなくなってしまった。しかし、土壌に作物を作るということは土壌の腐植を消費するということになる。昭和四〇年くらいから、全く堆肥が入れられていない耕作地もままある。このまま使ってもなかなか有機農業の畑には転換できない。堆肥を出来る限りいれて、腐植を増やしてゆくのが一つの方法に成る。緑肥を入れるのも良い。チップを入れて行く方法もある。そうしたことを実感したのは、農の会では誰もが、新しく耕作地をお借りして始めるからである。最初の苦労を乗り越えるのが何時も課題となる。その重要なカギが堆肥ではないかと考えている。この堆肥作りが危機である。
日本の堆肥が放射能汚染されている。中国輸入堆肥だから大丈夫等と言う、笑えない不自然が起きている。山の落ち葉がどの程度であるのか。これは一度計らざる得ないことである。今順番を待っているところである。農業者の場合、作物を計ることより、土壌や利用する資材を測定することが重要である。これから長く続く、農地管理の基本となるだろう。汚染した東電が測定機ぐらいは準備して、希望する農家には実費で利用させるぐらい当たり前の事だ。本来なら放射能を取り除く義務がある。せめて状況を把握しながら、作物に移行しないように管理しようと言うのに、その方法も費用も拒否している。非道この上ない。と言ってやらない行政や東電を怒っていても始まらない。せめてこういう時農協はどうなのだろう。対応している農協はあるのだろうか。
堆肥材料を測定することは重要である。放射能でまず、問題になっているセシュームの移行は、カリウムの作物の吸収と似ている。農地に腐植を増やすということは、カリウムを増やすことにもなる。カリウムが増えればセシュームの吸着を減らすことにもつながる。慣行農法では、カリ肥料を入れるという話が出ているが、有機農業では地道に腐植物を入れて行くことではないか。しかし、この入れる堆肥材料が汚染されているのでは、話にならない。神奈川県からの通知では米ぬか、稲藁が利用して良いことになった。例えば、玄米より3倍くらい稲藁には放射能があるらしい。玄米が3ベクレル放射能がある場合、10ベクレルが生の稲藁の放射能である。これが20分に1になれば、200ベクレルと言うことになる。昨年の牛の餌の稲藁は何万ベクレルとなった。いまだ浮遊している放射能や雨水の流入で、今後そうしたことは起きないことなのか。
モミガラクン炭は今の所問い合わせても、回答が無い。稲藁、米ぬか、もみ殻は使ってよいとして、何故、モミガラクン炭はいけないのか。これが分かりにくい。いけない理由を聞いたが理由はないが、今だ検討中ということらしい。何とも分かりにくいことである。自分にできることは、山に出来て居る堆肥を測定してみることだ。これがどの程度高いものになっているか。この結果を見ると、今の箱根東斜面の自然の放射能汚染の状況が見えてくる。当然そこから流れ出て来る、水の事も推測できるのではないか。行政は今だ空間線量などを測定しているらしいが、やるべきことは全体把握である。焼却飛灰、汚泥焼却灰、山の堆肥。くれるなら、3つともやってみたいぐらいだ。日本中が放射能と長く付き合わなくてはならない。付き合い方がいい加減では駄目だ。