中干しあるいは干し田について
田んぼでは止め葉が出始めている。下の田んぼでは、出穂を始めている。例年より早めである。この時期の水管理が何より難しい。田んぼを干す功罪である。稲刈りを機械で行う場合、作業性から田んぼを固める必要がある。それは稲の生育とは関係のないことである。バインダーで刈り取っているので、ある程度乾いていれば問題はない。稲刈りの為だけなら、稲刈りの2週間前から天候を見て心掛ければ、何とかなることである。ヒエが出てくる心配がある間は、浅く出来ないということもある。その意味では田んぼ全体を稲が覆ってからが、干しても良い時期となる。と言うことは、8月に入る前後がいつも迷う時期となる。迷いながらも干し田はしない。他所の田んぼが干してグーンと良くなるのを見ながら、こらえる。それは干した時の田んぼの土壌が心配なのだ。田んぼ地域全体が干しに入ると、異様な匂いがする。しかし、干しをした田んぼの稲は緑を濃くする。
沼地が干し上がった、腐敗臭が広がる。土壌にとって良い状態には思えない。しかし現実には稲が良くなる。一般的な稲作では、干しをすることが技術の流れに入っている。大抵の地域が地域全体で干しに入る。化学肥料と言うものの性格を意味していると思う。穂肥とか、幼穂形成期の追肥とか、言われる方法は化学肥料のやり方だと思う。自然農法であれば、幼穂形成期に土壌に肥料成分が出て来るような状態に、そうではいか、根が必要とするものを吸収できる土壌になっていることが大切だろう。干しをして、稲が体質を葉を育てることから、実を育てることに変える。という考えもあるようだ。併せて木酢を稲に与えるという考えもあるようだ。酸っぱいもので体質が変わる。新しく分げつをすることを抑え、穂に養分のすべてを移行させる方法を探っているのだろう。土壌に酸素を供給するために、干しを行うという考えもある。そうした物理的な方法で土壌に酸素が供給できるものだろうか。
自然農法の人も多くの人が干し田をする。地域全体が行うので、水が来なくなり止むえず行う人もいる。また、必要と考えて干す人も多数派である。水が突然なくなり、稲が危険を感じて、子孫を残すために実を付ける。という考えは少し納得がいかない。川べりの水位は徐々に減ずると見た方が良い。極端な土壌の乾きがきっかけではない、水位の減少がきっかけではないか。その意味では間断潅水に入るという考えが、理にかなっている気がする。稲の根が水圧の変化を感じているのではないか。酸素について言えば、溶存酸素を土壌に縦浸透させることで、土壌の活性化を図る方が良い。その意味で土壌の減水深は20ミリぐらいあっても良いのではないかと考えている。4,5ミリと言うのは、あくまで水温の維持や水管理の問題だろう。一定の縦浸透が土壌に悪い訳がない。良いお米が実るためには最終段階で土壌が腐敗方向ではだめだ。
酸素を含んだ水が、根に供給される状態。そして水圧の変化が繰り返されてゆく。このイメージを持っている。いわゆる間断潅水である。間断潅水をどの段階から始めるのが一番いいのか。土壌の状態にもよるのだろう。早く間断潅水に入った方が、穂の出が早くなる感じがする。穂が形成される段階で強い干しが入ると、葉は大きくなるが、穂は小さくなる(気がする。)花が咲きだしたら、水を多くすると言うが、何故だろう。大豆などでは明らかに効果がある。花が咲いても実にならない穂が増える。稲の場合はそう言うこともないようだ。分げつを増やすために、干しは関係するのだろうか。田植え後、文げつが増えているような段階で干しをする人もいる。あれは分げつ増加に成るか。穂数が10本程度の場合は、初期の水管理と肥料不足。干しはそれと関係するのだろうか。