中国の反日暴動
中国で起きていることは、とてもも見えにくい。発端は日本で行われた中国大使館への抗議デモにある。中国政府は尖閣諸島の漁船拿捕を、そのまま裏返してフジタ工業の社員を逮捕した。日本では船長だけ残して20日間留置していた。フジタの社員もまず3人を返して、同じように20日ほどしたら、4人目も返した。これは中国政府のシグナルと考えた方がいい。日本がやるならやるぞということである。中国大使館の抗議デモは驚くほど右翼的な傾向があった。若いごく普通の人に見える人が、愛国心らしきものから、中国大使館に抗議をする姿は、とても異様に見えた。もう一つ異様なのは、このことがほとんど報道されなかったこと。しかし、中国政府はこのデモに対して抗議声明を出している。「中国は日本政府に対し、重大な関心を持っていることを伝えた」としています。そのうえで「国際条約の義務を履行し、日本にある中国の大使館や領事館、それに職員の安全をしっかりと確保するよう求める」参加人数でも主催者は3200人。警察は2800人。
人間の数が中国では、10倍だから中国政府としては、三万人規模のデモを起こすだろうと想像していい。これは日本へのシグナル。日本人は鏡が無いと自分のことが分からないようだ。中国政府はこう言っている。中国で予定されたデモは、暴徒化した。この点が日本との一番の違いである。中国の格差社会はやはり10倍であろう。失業者と富裕層が社会主義を標榜しながら、当然のごとく存在する。中国の社会主義は世界の資本主義と競争するための、有利さを引き出す社会主義と考えていい。日本では道路を作る。ダムを作る。河口堰を造る。民主的に進めるということは、多様な意見がある訳で出来ないということになりがちである。三峡ダムの2倍もある巨大ダム、チベット高原をダム化しようなどという、極端な考え方すら中国では登場する。
中国社会主義の格差を有利に展開する考え方。大量の失業者を背景に労働賃金を安いまま抑え込んでいる現状。通貨政策に良く表れている。一方に富裕層に資本を集中することで、合理的に集中的に資本投下が行われるように誘導する。農業分野でも同様で、キノコの栽培プラントを見学したが、日本よりはるかに大規模な工場であった。一つの集落が全体で、社会主義的に同一方向の農業を目指し、産地化を行う。土地所有制度がそもそも、純粋には個人所有ではないので、そうしたことが一気に行われる。また、人間の能力格差がやはり日本の10倍である。一群の有能な人は極めて有能である。所が有能でない人も10倍存在している。この舵取りは政府としてもときに見誤る。今回の暴徒化したデモは、政府としては予想外の部分もある。
この格差社会が爆発する可能性である。中国の規模となれば、力で抑え込むことは不可能。食糧問題が一番の着目である。中国は高度成長期で格差は開く一方であるが、生活水準は最下層の人たちも向上している。そうできる間は何とかなるだろうが、食糧の不足が起これば忽ちに暴動化する。中国で一番必要なことは、ごく普通に生きる大半とも言える農民が、普通に暮らせるようにすることである。中国こそ自給的農業を、緊急的に見直す必要がある。今の中国の目指す農業はプランテーション的農業である。大規模合理化は中国では一見当然に見えるが、このままでは所得格差から大量の離農が起きるだろう。農村の空洞化。その時に社会的な調整弁として、自給的農業の確保が必要だと考える。実は中国の農業の近代化は日本より進んでいる。有機基準でも日本以上に広がっている。GAPの基準では日本の数倍に及ぶ。日本がごまかしのエコファーマーとかいう基準を作っている間に、中国は先へ進んでいる。大丈夫か日本。