宮内庁で鳥インフルエンザ発症

   

10月16日、宮内庁埼玉鴨場(越谷市大林)の飼育施設内のアイガモやアヒルに鳥インフルエンザ陽性反応があった。「H3亜型鳥インフルエンザの発生が確認されたことから、飼養者に対し、発生家きんの隔離等の防疫措置を実施し、念のため、病原性を確認するため、当該ウイルスの家きん等への接種試験を実施。」農水省の対応はこのように書かれている。「20日、大阪府の養豚農場の豚のインフルエンザ検査において新型インフルエンザの疑いがあるウイルスが確認されました。」これも農水省の発表である。

足柄上の家畜保健所は廃止された、平塚の方からの管轄に統合された。畜産農家も急速に減っている。そのうち、管轄の役所も県内1つで充分と言う事になるだろう。先日、担当者が新しくこの地域の担当になったので、挨拶に伺いたいと連絡があった。挨拶だけなのかと聞くとそうだと言う。挨拶は電話で充分なので、来て頂くのはお断りした。所が事前連絡がないまま、来てくれた。私は居なかったのであえなかった。電話で、ネットをどのように張るのか伺い、事例があるなら教えてもらいたい。と言う事を話したので、わざわざ写真を撮って持ってきてくれたのだ。中井の養鶏場で、ネットを張って放し飼いしている事例らしい。良く出来ている。しかし、この対策が有効であるとはどうしても思えない。スズメが入らないとは到底思えない。ネズミが入れない。ゴキブリも入れない。そこまでやっても感染する時は感染している。リスクが下がると言う事を言うのだが、根拠はあるのだろうか。

宮内庁の鴨場で鳥インフルエンザが発症した。何故、宮内庁では放し飼いが許されているのだろうか。網を張らなければ放してはいけないと、家畜保健所から指導されないのだろうか。放し飼い養鶏場に網を張れと言う様な指導は、科学的根拠がない。このままでは、「全ての野鳥を殺そう。」こう言う事になる。鳥だけではないだろう。人間以外の一切の生物を淘汰しなければ、完結できない考え方だ。人間が暮してゆくと言う事は、害のあるものとも、妥協点を見出し、共存してゆくと言う事だ。日本人の衛生観念が、おかしくなっている。テレビコマーシャルで流れる除菌スプレーとか、ウイルスを除去する空気清浄機とか。まさに排除の思想である。どこまでも排除して、無菌室のような所でしか、人間が生きて行けないようなイメージが作られる。もう多勢に無勢で、「ワクチンなど絶対に打たない。」と言う人間を異端視する空気が感じられる。

豚のインフルエンザ感染が起きた。以前から早急な対策主張していたが、やはり日本でも起きている事が確認された。鶏の方はさしたる心配はない。問題は豚の方だ。鳥と人間は病原菌から見れば、体質が相当に違う。同じ病気にかかるなど、稀有な例だ。その予測どおりの結果が、鳥インフルエンザの10年の経過でいよいよ明らかになってきた。豚はそうはいかない。クローン豚からの臓器移植が研究されているくらいだ。豚の中で強毒化して、人間への感染拡大が起こる可能性は充分にある。ウイルスの変異と言う事が、どういう経緯で起こるかはまだ未知なところが多く、安易な推測は出来ないが、タミフル耐性ウイルスに簡単に変異することが判っている。豚が感染した時、豚がどんな薬を使われているのかも問題だろう。また、100万とか言う数の豚が、狭い所にひしめいているのだ。アメリカ資本のメキシコの養豚場で何が起きたのかは、全く封殺された。

鳥という生物は多くが群れで暮す。特に水鳥は何万羽集まり生きてゆけるように、自然淘汰を潜り抜け、生き抜いてきた。豚は違う。豚は、イノシシはせいぜい30頭ぐらいで生活している。これを何万と言う所まで集めて飼うと言う事に無理がある。もちろん、鶏だって、1000羽以上飼えば、リスクが高まる。数を一箇所に集める事は、人間の社会だってリスクが高まる。経済効率だけが優先され、国際競争を勝ち抜くことが、目的化されてきた。中国の巨大畜産はこれからどんな結果を世界にもたらすか。自動車生産台数、紙の生産量、世界1になるらしい。同じような感覚で、畜産も一気に巨大化している。もう日本が、放し飼いは網を張るように、どころではない。巨大な養鶏場と、養豚場。そして、いたるところの放し飼い。日本が率先して畜産の方向を変えない限り、中国の畜産リスクに対して、発言は出来ない。

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