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笹村 出-自給農業の記録-

民主主義の危機

   

世界で独裁的国家の数91カ国。世界人口の72%に。――スウェーデンの独立調査機関「V-Dem」は2025年の報告書で「民主主義の後退がどれほど深刻化しているかを示すものだ」と警告した。---朝日新聞元旦の社説

日本は危うい政府支持現象が起きてはいるが、まだ民主主義国家と言えるのだろう。アメリカはすでに民主主義国家と言えない状況になった。トランプ関税の手法など、民主的手段を経ず強行されている。世界に対してその巨大な権力を持って強制的に施行した。

だからアメリカは中国に対して、自由と民主主義を守れとは言わないし、言えない。習近平政権とトランプ政権は大した違いがない。トランプ政権を見ていると、ネイティブアメリカンを迫害した時代が復活しているような気がしてくる。偉大なアメリカというのは、民主主義国家になる前のアメリカのことのようだ。

高市政権も明治帝国政府を目指しているのだろう。あの台湾軍事侵攻は日本の安全保障に関わるとした高市発言以来、中国と対立が顕著化した。これはトランプの口車に乗せられ、口にしてしまったことだ。中国との対立が深まる中、自民党では統一教会議員の萩生田幹事長代理の台湾訪問である。

沈静化と言うよりも、こうした力の対応を見ていると、日本の民主主義も危機が近づいている気がしてきた。民主主義が劣化して行く課程は、主権者たる国民が理性を失ってゆくために起こる。感情に火が付けられ、怒りや恐れによって、判断力を失う。中国が攻めてくる前に叩けと言うような、武力解決を模索するというような形で、社会の理性が失われる。

民主主義は常に理想を探求する、粘り強い批判精神に支えられたものだ。誰から与えて貰うようなものではない。1人1人が自ら作り出すものだ。民主主義は人間が進歩すれば自然と民主主義国家になるというような、夢想していた世界がいかに幻想であったのかを、今思い知らされている。

小学校の元気な明るい子供だった昭和30年代の頃の、健全な日本がめざした民主主義社会は何だったのかと思う。民主主義は常に希求し、守り抜く決意がなければ守れない、極めて困難なものだったようだ。アメリカから与えられた民主主義だから、根付かない柔なものだったと言うことのようだ。
 
民主主義がお飾りで、棚の上に掲げられていた社会だったのだ。小学校で教えられた学級の民主主義は、絵に描いた理想論。現実は仮想敵国中国との敵対関係の方が、簡単に人間を動かしてしまう。もう提灯行列して、世界平和のために鬼畜中国を懲らしめろ。などという世界がそこまで来ている気がする。
 
民主主義を支えるものは、科学的な思考である。これが難しい。トランプがまさに科学的思考を捨てた。嘘を平気で口にする独裁者。日本の民主主義の教師であったはずのアメリカが、民主主義の旗手であったはずのアメリカが、恥げもなくアメリカファーストなどと叫んでいるのだ。
 
当然のごとく、中国習近平政権の何が問題なのかも見えなくなった。覇権主義中国という批判も、アメリカは違うのと言うことになる。トランプはそんな馬鹿な建前論はさすがに言わない。中国を潰すための手口なら、あらゆる国を利用するだけのようだ。日本はその罠にはまった。
 
中国が民主化して、自由の国になれば、アメリカを凌駕するだろうと、アメリカは怖れている。中国が独裁国家として行き詰まることを、願っているに過ぎない。この愚かなアメリカの功利主義が、第2次世界大戦後の民主主義を是とする世界の方角を、終わりにしようとしている。
 
日本も遅ればせながら、この資本主義末期の自己本位の世界観を取り込もうと言うことなのだろう。情けないがこれが今の日本の現実である。そんなことをしても、何にもならないことは目に見えている。対抗すれば巻き込まれる。トランプに誘導され、利用されていることに高市氏は気づかない。
 
日本の民主主義はもう一度やり直しである。議論の復活ではないか。きちっと話し合いが出来る国会になる必要がある。小学生のお手本になるような、話し合いを国会で実現して貰いたい。と思うが無理なことなのだろう。最初の議論は、何故台湾が中国に軍事侵攻されると、日本の安全保障が脅かされることになるのか。
 
まず、高市氏にその説明をして貰いたい。南ベトナムがホーチミンに敗れたときに日本の安全保障は危機にさらされたのだろうか。朝鮮戦争時日本の安全保障はどうだったのか。台湾への軍事侵攻が起きたとして、どう言う形で日本の安全保障が危うくなるのか。
 
高市氏は明確に日本の安全保障上の問題だと言明したのだから、その理由は説明して貰いたい。何故野党はそのところを再度問わないのだろうか。台湾侵攻が許せない行為であることは間違いない。しかし、そのことと日本の安全保障は別問題である。
 
私には台湾がたとえ中国に飲み込まれてしまったとしても、そのこと自体で日本の安全保障が脅かされたとは言えないと思う。安全保障の問題は尖閣諸島の帰属を巡り、軍事衝突が起きたときには、安全保障上の問題が勃発したと言える。
 
また、沖縄県を琉球王朝と言う独立国家として考え、その帰属は中国が宗主国であり、支配をしていたので、沖縄を併合するために軍事行動を行うとすれば、これは日本の安全保障上の問題になる。台湾の問題は自由と民主主義の問題と言うことになる。
 
しかし、台湾の帰属はやはり中国と言うことが、歴史的に考えてもまず妥当であると私には思える。台湾が好きだし、素晴しい国だと思うので、残念で仕方がない。高市氏は台湾は日本に帰属すべきと考えて居るのだろうか。そういう意見ではないとは思うが。
 
日本の今の態度が、近隣諸国にどう影響するのかを考えなければならない。日本は単純に、中国を批判すれば、とかく攻撃を受けている近隣諸国が同調すると考えて居るが、そんな単純なことではない。また日本軍が攻めてくるぞと、中国は宣伝しているのだ。
 
台湾は台湾国として独立国家になるべきだと思う。中国が独裁国家で良くないというようなことだけでなく。蒋介石が台湾に追いやられて以来、80年が経過して、台湾は独立国家にふさわしい、国家としての自立を確立したと思う。その80年の歴史の結果、中国とは違う国に、さらに変化したのだと思える。
 
また今の形の方が、両国にとって幸せな状態だと思う。中国が併合したところで、香港の二の舞である。香港という地域が、特殊な成り立ちとその独自性で、不思議な文化を確立していた。それが中国に併合され、全く自由貿易の入り口に位置した香港の良さを失ってしまった。そのことは中国にも、香港に暮らす人たちにも不幸なことだと思う。
 
台湾は、中国政府が中国の一地域だという主張も分からないわけではない。そのことは両者で話し合う以外に解決が無い。武力的解決ではなく、話し合いを繰り返し、両者の折り合える状況を捜す以外に無い。それは困難なことではあるが、それ以外に解決法は無い。武力的な形をとれば、問題は深刻化し未来に積み残されることになる。
 
所が、中国は話し合いが出来ない国である。力で併合するという脅し以外に出来ない。あの優れた外交術の中国が、ずいぶん幼稚になったものだと思う。もし中国が台湾と良い話し合いが出来れば、世界の中国に対する見方は全く変わると思う。中国となかよくしたいという国が増えるはずだ。
 
民主主義というものはそういうものではないかと思う。ウクライナの和平交渉を見ても、何故ロシアがウクライナから戦争を仕掛けられたと主張しているのかが分からない。どう考えてもロシアが軍事侵攻をしたとしか思えない。ウクライナが、ウクライナの東部地域がロシアのものだというのであれば、軍事的にではなく、話し合いをすべきではなかったのか。
 
クリミア半島も同様である。どちらの国に帰属すべきなのかを武力的な解決など出来るはずもないのだ。話し合いを行い。公正な住民投票を行い。その帰属を決める以外に解決など出来るわけが無い。それを武力的な解決を目指したのでは、結局解決などいつまで経っても不可能なのだ。どれほど遠回りでも民主主義的解決以外に本当の解決など無いのだ。

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