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笹村 出-自給農業の記録-

高市核保有論

   

 

高市政権では、ついに核保有論が出た。そうなると思っていた。高市氏の思想からして、核保有派と考えておかなくてはならない。アメリカが早速日本の核保有に一応は否定的な主張をした。しかし、トランプは一国主義者である。日本の核保有に関心は薄いと思う。

高市政権はトランプに操られている。台湾有事を日本の有事と主張したのは、トランプと打ち合わせをしての発言である。トランプはこの件を利用しようとしていて、直接の発言は控えている。傍観者的態度である。高市をけしかけておいて、手のひら返しである。

当然背景にあるのは米中経済戦争である。日本と中国を仲違いさせる必要があったのだ。予定通り中国はいきり立ち、日本国民は反中感情を高めた。経済交流も途絶えるだろう。トランプはしめしめと思っているに違いない。トランプには外国のことなどどうでも良く、アメリカさえ良ければ良いのだ。

中国は台湾問題では譲れない。これを譲れば、そもそも毛沢東革命からの国家統一をないがしろにすることになる。習近平は独裁者になるに従い、毛沢東思想を主張するようになってきた。商売人である中国人だから、台湾問題も商売の視線で見ている。

今中国が台湾侵攻を行えば、中国経済は崩壊するだろう。そこがトランプの狙いだ。そのくらいのことは習近平は承知だ。だから、米中の経済競争が当面一番の課題だ。アメリカはかなり敗色濃厚だ。そこで日本をけしかけ、日中を対立をさせたのだ。ウクライナと同じである。

こうして、何とか中国に妥協させて押さえ込もうというのがトランプの作戦である。高市はすぐに罠にはまったことには気づいたはずだ。アメリカの関税が輸出の障害になる。中国との交易がなくならば、さらに日本経済の停滞は続く。

そこで、アメリカを揺さぶるために核保有をちらつかせたのだ。つまり余りアメリカが日本を食い物にしていたら、核保有して独立します。そういうシグナルである。その本音は日本のはしごを外すなら、日本も核保有をして北朝鮮になるという脅しだ。

高市政権は危険な綱渡りに入った。アメリカよりも、中国の方が日本の核武装にはびっくりしたことだろう。中国はますます日本と対立を続けざるえない。核武装は高市政権は本音だと思う。トランプに足下をすくわれて、かなりの危機感を持ったのだ。

高市氏はかなり戦略家としては劣る。トランプは核武装論ぐらいでは驚きはしない。日本は非核国家の世界の先導役だ。などと意味不明の発言をしている。実際の所言葉上では、日本国憲法は世界平和の最後の砦なのだ。

その日本が普通の軍事国家に成り下がろうとしている。そうなればアメリカの思うつぼである。日本の国力で、単独で軍備の拡張をしたところで、たかがしれている。到底、ウクライナまでも行かないだろう。そこでアメリカに日本を売り渡すことになるのか。

一番の問題は核武装論が出てきても、国民世論は高市政権支持である。中国への反感に、単純に反応している。若い人ほど高市政権を支持している。驚くべきことだが、その理由は未来に希望の少ない、低迷国家だからだろう。

若い人たちが、自分の未来に希望を失っているのではないか。どこかに不満をぶつけたい心境に成っているのではないか。若い世代が今の日本の現状に希望を持つなら、今の社会のままを望むはずだ。所が、このままでは苦しいと感じて、そのはけ口を中国に向けている。

社会が階層化している。士農工商ではないが、自分の現状から上の階層に登る可能性が低い。こうした希望のない社会だから、人口の減少も始まった。江戸時代よりも深刻な社会の閉塞になっている。富裕層になるためには、賭博か、宝くじか、株投資でも行うしかない。

不労所得を推奨する社会。普通に働いて幸せになれる希望のない社会。ここに核武装論さえ容認する社会になってしまった、原因がある。社会が上層階層に押さえ込まれている。当然政治は既得権益を最優先にしている。賃金上層も大企業中心に行われている。

農業分野で言えば、企業的経営の大規模農家は可能性がある。中規模以下の従来の農家は生産性を下げるばかりで、営農を継承する人がいない。当然のことで、政府が現状維持以外の政策を計画できないでいる。既得権益農協勢力への利益誘導。

何の未来への展望がない農業の状況。希望は大規模企業農家にだけ存在する。こうして地方社会の中核である農業は、その従事者が急速に減少していて、地方社会の消滅が進んでいる。子供のいない社会の火の消えたような状態は人間の心を弱めて行く。

石垣島に来て、子供のいる社会を久しぶりに見た。小学校伝をやらせて貰い、子供達の明るさに救われる。子供達の未来が明るいものであって欲しいと切実に願う。そこに不安の影を落としているのが、石垣島のミサイル基地化である。高市政権の犠牲になる石垣島。

石垣島が原子爆弾搭載のミサイル発射基地になるとなれば、未来の希望など全くない。島から逃げ出す以外に安心安全はない。所がなんと中山市長は右翼市長である。石垣市議会はその市長の与党が多数派である。先日は議会で君が代が歌えるかアンケートを採れと、教育委員会に迫った。

こんな社会状況は、総統に危うい社会になっていると言うことだ。たぶん日本全国が希望を失い、どこかに不満をぶつける敵を捜しているような社会になっている。これを覆すことはそれほど難しいことではない。社会が健全なものになれば日本の社会は立ち直る。

健全な社会とは、誰もが希望を持てる社会である。努力すれば報われる社会である。能力のあるなしにかかわらず、自分の力を発揮できる社会である。そんな社会を作ることは、難しいことではない。政府が既得権益を守ることを止め、自由で平等な社会を目指すことだ。

日本ではノーベル賞を取るような学者が存在していて、何故新産業が生まれないのかである。世界に販売できるような、暮らしを豊かにする製品を生み出すことが何故出来ないのかである。企業のことはよく分からないので、なんとも言えないが、企業の中に自由で創意的な空気がないと言うことなのかもしれない。

企業自体がその既得権益を守るという方向に入り、冒険が出来なくなってきている。戦後の農村で起きた希望のうねりを思い出す。頑張れば何とかなるという気運が村に広がっていた。青年団が、婦人会が、新しい動きを生み出した。そして、新しい農村が生まれ、新しい農業が行われた。

現状の問題は希望がないと言うことだろう。これを希望のある社会に変えることが第一の目標だろう。頑張れば何にでも成れるという社会である。好きなことをやって生きることが出来る社会である。そういう社会になれば、近隣諸国と敵対して、鬱憤晴らしをするような情けない社会でなくなる。

そもそも台湾有事は日本の有事ではない。台湾がたとえ中国に軍事侵攻され併合されたとしても、それは日本の有事ではない。日本の平和憲法にはそう書いてある。これはあくまで高市氏の歪んだ思想から来ている判断に過ぎない。日本人が巻き込まれる必要はない。

私は台湾大好き人間だから、台湾が中国になることは許しがたいとは思っている。素晴しい台湾が何時までも今のままであって欲しい。だからといって、台湾の問題は台湾のことであり、日本の有事ではない。何故この当たり前の議論が行われないのか不思議で成らない。

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