ジャンボタニシ対策

   


仮植えした蓮3種
「 アルバ・グランディフローラ」白「 酔妃蓮」ピンク「 蜀紅蓮」赤


 石垣島の田んぼにはジャンボタニシがいくらでもいる。のぼたん農園でも、5番田んぼでは、田植したばかりの稲がほとんど食べられてしまった。今もジャンボタニシはいるのだが、全く被害を受けてはいない。対策さえすれば、何の問題もない。

 むしろ雑草を食べてくれるので、ありがたい生き物である。また食べればおいしい生き物で、養殖を始めた人の気持ちが分かる。自給農業では、タンパク質の確保という意味で、むしろジャンボタニシを田んぼに放すのも悪くない。

 ジャンボタニシの稲の食害には対策がある。石垣島の名蔵で、そのやり方を実践して、全く草がなく、食害のない状態を回りの農家の方に見て貰った。しかし、実際に見ても、ジャンボタニシ対策が出来ていることを全く信じようとしなかった。

 農家の方は自分の体験を信じ込んでいて、なかなか人のやり方を平易な目で見ようとはしない。私たちが、ジャンボタニシを農薬で抑えているくらいにしか考えない。草が一本もないことは、除草剤を使っているのだろうとしか考えない。

 こういう経験は小田原でも体験した。ヒエの生えない方法である。田んぼの水位を8センチ以上にしておくことだ。これだけのことで全くヒエは生えない。前年、ヒエが密集していた放棄田んぼで、実践するので見てください。と呼びかけた。

 ということで、鬼柳境の田んぼで田植から公開して、収穫までやった。ヒエは全く一本も生えなかった。10名くらいの方が、呼びかけで見てくれたのだが、信じた人はただの一人もいなかった。そのときは、酒米の山田錦で倒さず10俵収穫した。

 地域の同じ条件の田んぼで、実践して見て貰っても、農家の方は誰も信じない。あれ以来、農家の方に有機農業の技術を知ってもらおうという考えは捨てた。石垣だって同じだとは分かっていたのだが、ついジャンボタニシ対策をみんなに伝えて、不審がられて終わった。

 よそ者の素人を疑うのが、地域の農業者である。それは分かっていることだから、今更ではあるが、ジャンボタニシの食害が強調されて、その対策に触れられていない。ジャンボタニシは対策は出来るものだ。

 余計なことだとは思うが、書いておく。のぼたん農園の5判田んぼの失敗はジャンボタニシが今年まで、いなかったために起きたことなのだ。ジャンボタニシがいれば、赤い卵が目立つので、見落とすはずがない。

 のぼたん農園は牧場跡地に田んぼを作ったので、最初はジャンボタニシはいなかった。ただの水たまりにはジャンボタニシはいない。稲を作るとたちまちに増える。田んぼという環境がジャンボタニシの繁殖敵地なのだろう。

 初めて、4年目でジャンボタニシが現われることになった。水鳥が運んだのではないかと思われる。したの300m離れた田んぼに居るのだから、鳥の足にでもくっついてきたのだろうと想像される。一つ来ればたちまちバケツ一杯に増える。

ジャンボタニシ対策

 5.5葉期の大苗で植えれば、ジャンボタニシの食害はほとんど起きない。大きく成った堅い茎の苗は好まない。だから私が行う田んぼではそもそもジャンボタニシの食害は起きない。そして雑草が生えてくるのを食べてくれるのだから、実にありがたい生き物になる。

タイモの葉はいくらか食べられる。タイモが被害を受けるほどではないが、タイモの茎にも稲の茎にも卵は産んでいる。毎日あるという状況だ。それでも稲が食べられることは全くない。分ゲツを食べるだろうという人が居るが、食べられて株が大きくならないと言うことはない。

 と言って、大苗で田植をする農家はまずないだろう。では2葉期で植えたとして、大苗になるまでの三週間どうすれば良いかである。淺水にする。水がなければ大して移動をしない。水が深いとすいすい水中を泳ぐ。

 そして入水口あたりに、水の深い場所を作る。そこにジャンボタニシは集まる。集まった物を集めて食べれば良い。効率的に集めるのであれば、深いところに洗面器状の物を埋めて、鰹節や糠などを入れておく。

 自己流の簡単な食べ方をここに書いておけば、1,一晩水の中でさらしておく。2,ゆでこぼす。3,殻から抜いて、黒いはらわたを捨てる。4,油で炒めてから、味噌、砂糖で甘辛く炒め煮にする。

 田んぼの入水口の水たまりだけでは大きな田んぼでは集まりきらないだろう。出来れば、田んぼの畦際に水路を一周させる。水路の底に水を貯めておく。稲のある田んぼの方は淺水である。ひたひた水が出来れば、それでいい。

 田んぼが平らでなければならない。トラクターで平らにする技術を習得しなければならない。私にはそれがうまくは出来ない。トンボで土を動かし平らにする。大変ではあるが、これは良い稲作をするための技術でもあるので、是非とも行う。

 畦際に水路を掘るのも同様である。畦際に水路があれば、水を落とすときも、水を入れるときも、素早く出来る。畦塗りをするときに、水路を作りながら、畦塗りをすれば、一石二鳥になるだろう。まあ今の農家はそんなこともしないか。

 結局、畦はコンクリート、入水口はパイプ管。畦塗りなど余計なことで、そんな手間暇をかけられないのかもしれない。私の技術が通用するのは自給的な小さな田んぼの話になるのだろう。浅水で入水口の水たまりぐらいなら、誰にでも出来る。

 薬は1キロ3000円とか書いてあった。1キロでどれだけ使えるのか分からないが、私のやり方は薬を撒くより手間が入らない。一時間もかからないで、ただで出来る。まあ、田植と稲刈りしか田んぼには行かないと豪語していた農家があったから、そういう方には余計なことだろう。

 ジャンボタニシは美味しいのだ。好みの味なのだ。それで収穫できるのが楽しみなのだ。そうだもう一つあった。ジャンボタニシはアカウキクサを食べている。アカウキクサはどんどん増えるので、ジャンボタニシが食べたくらいでは減らない。

 アカウキクサが田んぼにあれば、稲は好きというほどではないから、ますます食べない。稲より好みのようだ。アカウキクサを田んぼに広げるのもジャンボタニシ対策になる。本当はアメリカオオアカウキクサが良いのだ。窒素の生成能力が高いし、増殖速度も速い。

 

  これは特定外来生物種で、使うわけにはいかない。石垣には希少植物のアカウキクサがあるのでこれを使っている。こちらは絶滅危惧種なので、石垣島でもほとんど見ない。これを使っていることはむしろ奨励されることなので、ありがたい。

 繁殖が奨励されているアカウキクサを販売しようかと思っている。アクアリウムブームで、こういう物も買う人が居るのだ。以前は米国オオアカウキクサが、良くネットで販売されていた。今は売っている人は居ない。

 

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