洋蘭パフィオペデュラムの栽培

パフィオのロスチャイルドディアナムが咲いた。花は24センチある。蘭友会にいた頃から、パフィオの原種が好きで育てていたが、ロスは咲かせたことがなかった。石垣島に来て、初めて購入した蘭である。2019.3月から始めたと、このブログに書かれている。2年栽培して花が咲いたことになる。
たまたま、石垣島に自生する蘭なら栽培しやすいだろうと、コウトウシランをゆらてーく市場の花コーナーで農家の方から購入したのが始まりである。随分長く咲いてくれていて、狭い場所でも作れると言うことがわかった。花があることはなかなか気持ちが良いものである。それなら、好きなパフィオは栽培が可能かどうか試しに始めたのが、このロスチャイルドディアナムである。
このロス(略でこう言われることが多い。)は鹿児島の方が、台湾で苗を購入したものだそうだ。たぶんシブリングされた苗なのだろう。そうでなければ、初花でこんな立派な花は咲かないだろう。普通は20センチぐらいだ。
昔では信じられないぐらいの価格で売られていた。ちょっと買いたくても高嶺の花であった。随分価格が下がった。台湾の蘭屋さんにいって、パフィオの原種を購入したいと思ってきた。コロナが出現して、まだ実現できないでいる。台湾の蘭展にも行きたいのだが、今年は開催されたのかどうか。
蘭の置き場は特には無い。車を止める場所の塀の脇に並べてあるだけである。雨は当たる。加温はない。日照はかなり少ない。葉焼けしないように直射日光には当てない。風はそれなりに当たっている。石垣島の住宅地のごく当たり前の場所である。こんな場所で蘭栽培をしているお宅が沢山あるので、真似たのだ。
先日も、ロータス宮良自動車さんで蘭の展示会があった。そこにはパフィオのセントスイーシンあった。見たこともない大株が出ていた。3つ花芽が立ち上がり、5つづつ咲いていたから、15輪も花を付けたパフィオである。交配種だから、丈夫と言うことがあるが、立派な栽培である。
セントスイーシンは四〇年前に咲かせたことがある。花の交配種で、40年も評価が続いているというのも、さすがに洋蘭である。当時と変わったことは新しい原種が30種ぐらいは出てきている。そして、シブリングが盛んに行われて、原生地が守られるようになったことだろう。
栽培状態を伺ったところ、1000倍程度の液肥を毎日与えていると言うことであった。液肥はピータースではないかと思われた。日照は強い方だと思う、と言う話であったが、寒冷紗は掛けてあるようだった。
話していると家にはもっと大きな株があると言うことだった。つまり説明された方の蘭ではなかった。家のセントスイーシンは5つの花芽が立ち上がっていると言うことだった。2回りは大きいと言うことだ。それくらいのものになると、世界蘭展でも賞に入るのではないだろうか。
パフィオの中でも多花性のものが石垣島では良く出来ると言われていた。なるほどロスも作りやすいのかもしれない。現在10種類ぐらいのパフィオの原種を試験栽培している。だんだん石垣島の我が家の環境でも作りやすい系統がはっきりするかと思う。
パフィオの原種はどれも好きなのだが、特にブラキペタラム系統が好きだ。しかし、デレナティーくらいで他のものは持っていない。早く台湾に行ってみたいものだ。ベラチュラムやコンカラーの栽培の状況が見れたら、学ぶところが多いのだろうと思っている。
四〇年前私が熱心に蘭栽培をして、蘭業者になりたいというほど蘭への興味が盛り上がっていたころ、台湾の蘭屋さんと言う方が東京の松坂屋で行われていた蘭友会の蘭展に顔を出されたことがあった。これから大いに蘭をやって行くと言われていた。これではとうてい日本で蘭屋は無理だと考えたのだが、正解だった。
そのうち世界蘭展が始まる頃には出店するようになった。その方は私より若かったようだから、今も現役で蘭屋さんをやられている可能性はある。台湾の南の方が蘭栽培は盛んなようだ。高い山があり自動車道路が3000メートル以上の峠にまであるらしい。
台湾は3000メートル級の山が日本の10倍近くもあり、亜熱帯の海から雪の山岳地帯まで、自然の変化の大きな島なのだ。玉山という山が一番高く、標高3,952m もある。蘭の山上げ場所を探すことは難しくないのだろう。本当に自然豊かな理想郷のような島だ。
その上に、中国という蘭の大消費地がすぐそばに存在する。花は趣味性が強いから、中国人の好みは台湾の人ならすぐ分かるだろう。胡蝶蘭の最近交配種の良さは、ちょっと日本人には分かりにくい派手さがある。日本人は寒蘭のような渋いものが洋蘭でも好まれるところがある。台湾の人はそういう日本人の好みも分かるようだ。
たぶん台湾の高いところには台湾クマガイソウなどが自生しているのだろう。確か山には雪が降り、戦前にはスキー場があったと書いてあった。マスデバリアなどの高温を嫌う蘭も栽培可能だろう。暑い地域の高度の高いところの環境には興味がある。
石垣島でも夏の暑さでナンプ病が出やすい気がする。今年はえひめAIを作り、夏の間かけてやろうかと思っている。水やりのつもりでピータースを毎日やるくらないら、えひめAIを使うのは良いのかもしれない。
毎日薄い液肥料が使えるというのは、気候条件が向いているせいだと思う。株に元気がなければ、そんなに肥料をやれば根腐れになってしまうだろう。確かにコウトウシランは道路の脇のアスファルトの間から出ていることもある。
やはり石垣島でパフィオが元気なのは湿度が高いためだろう。80%ぐらいの日が多い。この湿度がパフィオ向きなのだ。冬の間が乾燥気味なのだが、40%以下の日が10日ぐらいあると言うぐらいだ。温度は15度以下は数日である。
水彩紙のかびが心配で毎日湿度計は確認している。紙を保存する押し入れの中は55%以下になるように調整している。除湿機が稼働すると湿度の高さを実感する。三線の蛇皮が破れるようなことがないと言うこともよく分かった。
一番の問題はナメクジとカタツムリ。これはこまめに確認していないと花をなめられてしまう。植え込み材料は水苔を使わず、砂利にしている。珊瑚とバークを適度に混ぜている。水苔は高層湿原の貴重なものだ。乱獲で高層湿原をだめにしているものだ。
石垣島における蘭栽培の最適な状態までは分かっていない。試行錯誤しながら、よりよい栽培を見つけたいと思っている。それにしても、早く台湾の蘭屋さんになんとしても行きたいものだ。