のぼたん農園の6月

石垣に戻った。のぼたん農園に早速出掛けた。8日間明けただけなのに随分と変わっていた。一番興味があるのが、ひこばえである。ひこばえがきちっとした再生稲になるのか。あらゆる事を試みて、ひこばえがすぐに穂を付けてしまい、小さな稲にならないようにしなければならない。
ひこばえがしっかりした稲にならない理由ははっきりしている。ひこばえは稲株を刈り取った後から出てきた無効分ゲツなのだ。無効分ゲツと言われる稲穂がでた後に出てくる、分ゲツは十分に株が育つ前に穂を付けてしまうので、アオ米になるのが普通の稲の成長になる。
このひこばえにすぐに幼穂が形成されてしまう性質を取り除かなければひこばえ農法にはならない。だからただ稲刈りをした後で的ひこばえを育てたのではまともな稲作にならない。もしひこばえ農法が本当に可能なものであれば、幼穂の形成されない、再生稲の芽を出す工夫をしなければならない。
日本にサリブ農法ひこばえ農法を紹介されているジルカスにおられる山岡先生によると、普通の稲刈りの適期よりも1週間早く稲刈りをしたら、幼穂は形成されないと言われている。今年は2週間早い稲刈り「5月15日」、1週間早い稲刈り「5月23日」と実験をしている。
そして、稲刈り後3週間と2週間が経過している。稲は一応は健全に成長している。この間ヒタヒタ水で管理している。確かに水没していた稲は芽を出さなかったものが半分位ある。ヒタヒタ水くらいの水管理が新しい再生稲の芽出しには良いことが分かった。水没はさせない高さで稲を刈る必要がある。
肥料を追肥しろということがあったが、追肥はしなかった。肥料を増やして稲を生長させることは必要かどうかまだ分からないので、稲の色や分ゲツ数を見て、肥料が必要であるなら、後から加えて行けば良いかと考えている。今年の重要なところは、まず再生稲を健全に出すところからである。
まだ稲刈りをしていない所では一番進んでいるのが、0番のゆがふもちである。これは最初から成長が悪かった。分ゲツも足りない。その上取りの餌場に今も成っている。収穫はするが、ゆがふもちは種籾を残す程度しか取れないのではないだろうか。鳥に食べられているので、10日に稲刈りをする。やはりひこばえ農法で経過を見るつもりだ。
1番のとよめきは良く出来ている。17日辺りが稲刈りになる。17日に刈って、やはりひこばえを試したいと考えている。ここの「とよめき」は25以上の分ゲツしているので、ひこばえも7番8番とは違うものになるのかも知れない。水を浅くするのはもう始めた方が良いだろう。
2番は手前が「とよめき」でこれも生育が良い。25分げつはあるだろう。穂もしっかりしている。手前のとよめきは17日辺りに稲刈りをしたい。奥が1本植えの「ミルキーサマー」である。普通のできである。これは25日辺りが稲刈りになる。いずれもひこばえの実験をここでもする。
3番田んぼ3分植えをした「ミルキーサマー」2番も大分追いついたと思うが、やはり2番より少し良いだろう。2番はコロガシをまったくしていないということがある。来年は2番田んぼのメンバーを変えて、中川さんを中心にグループを形成したい。
4番田んぼは60㎝角で植えた稲「ミルキーサマー」が素晴らしい成育である。30分ゲツ以上になり、大きな穂を付けている。一部30㎝角部分があり、ここもかなり分ゲツは取れているが、3番田んぼと大きな差は無いのではないかと思う。
4番田んぼでは田植え直後に防風ネットを張った。この効果が大きかった。この防風ネットの御陰で、田植え直後の稲の痛みがなく、すんなりとした成長になった。この結果を見て、石垣の田んぼでは防風ネットの効果は実に大きいということが分かった。
そこでどの田んぼでも防風ネットを張った。確かに強い風に炒められることがなく、稲にとって良い状態のようだ。今後防風ネットの種類はどういうものが一番良いのかを検討して行く。また作業との兼ね合いで、どんな形で張るのがよいか検討をしたい。
5番田んぼは水が涸れてしまったので、代掻きをして今は何もない。6番田んぼは、「ミルキーサマー」が植えられているが、成育が良くない。まず田植えを1週間遅らせたことで、苗が痛んでいた。次に風が強くて活着が出来なかった。そうした結果弱い小さい稲が小さな穂を付けたという状態である。
7番と8番は「とよめき」ですでに稲刈りが終わり、ひこばえの実験中である。出来れば水を増やしてコロガシを入れたい。なかなかそれが出来ない状態である。水不足が続いている。例年平均的月150㎜ぐらいの雨はあるのだが、今年の5月60㎜。その後も雨がない日が続いている。
下の井戸から水を汲み上げてなんとか追いついているのだが、それでも水は足りない。雨量が偏っている。年間降水量は石垣島は少なくはないのだが、極端に降らない時期が生じる。これをなんとかしのぐことが必要成ってくる。溜め池をもう少し大きくしなければならないのだろうか。
今期が終わったならば、6番田んぼのユンタクガーデンの皆さんを5番田んぼに移ってもらった方が良いと考えている。5番田んぼの方がまだ水が来る。5番田んぼを4番田んぼに近づけたほうが、5番は水が溜まるのではないだろうか。
農園全体を囲ったイノシシ柵は成功した。柵を設置してからまったくイノシシの侵入がない。これで一安心である。大変な作業であったが、成果があったので良かった。この柵は小田原での経験が生きたと思う。こんな柵で入られるという意見もあったのだが、結果的には十分な柵だったのだ。
現在田んぼをネットで囲っているのだが、防風と防鳥である。どちらも一応成功はしているのだが、作業を考えると余り良い形ではない。将来を考えてもう少し具合の良いネットを考えたい。まだネットが足りないので、それも買い足さないとならないだろう。
大豆は一応は生長しているが、なんとなく頼りない。やはり品種的に小糸在来種では石垣島では無理なのかも知れない。花は咲いてきているのだが、乾燥がひどいために実に成らない感じがする。大豆も適合する品種を見付けなければダメだろう。
果樹は植え付けたものはどれも活着はした。しかし、まだ小さいものなので、草に埋もれてしまっている。暑くて草刈りもままならないのだが、少しはしてやらないとこのままではかれてしまうだろう。大きくなるまでの辛抱なので、この夏が山場なので、もうひと頑張りしなければ成らないだろう。