米中対立と日本の外交方針

   



 トランプは選挙前の主張通り、中国との対立を深める方針のようだ。また、すでにカナダに対しても関税の強化を発表している。当然ヨーロッパも日本にも関税を高くすると思われる。日本はトンプのアメリカファースト政策に対してどのように対応すべきかを早急に検討すべきである。

 それは手取りを増加させる問題以上に、緊急に取り組み方針を立てなければ手遅れになる問題だ。予算委員会の審議を時々聞いているが、外交問題を議論していることはない。トランプの再選はこれからの日本の方角を決める重大局面と考えなければ成らない。

 結論からまず書けば、日本は中国との関係を深めて行くべきだ。アメリカとの距離を取るべきだ。今の日本は、ロシアとシリアのようなものだ。シリアは中東に有り、ロシアとは国境を接しているわけでもないのに、ロシアの軍事基地がある。ロシアはアサド政権が崩壊しても、基地だけは手放そうとしない。

 日本の米軍基地の意味がよく分る。在日米軍基地はアメリカのためにあるのであり、日本を属国にしておくための基地なのだ。日本がデタラメな侵略戦争をして、敗戦したための制裁としてこういう状況が作られたのだ。精神的に進駐軍の支配を未だに抜け出られない国なのだ。

 日本が独立国家になる良い機会である。まず日米の不平等な関係を対等なものにすることだ。今のままでは日本までアメリカファーストになりかねない。日本は日本第一主義で行けば良いのだ。独立国家として当然のことだ。敗戦からすでに80年も経とうとしているのだ。

 日本は東アジアの中くらいの島国なのだ。幸いなことに海に囲まれていて、自然環境は良い国だ。国土も変化に富み温かいところに住みたければ、沖縄。寒いところが好きなら北海道と、様々な暮らしが選択できる国だ。その自然環境は災害は多いが、十分に自給できる豊かさがある。

 この東アジアに存在する国という地理的条件を考えれば、アメリカの防人の島として、何時までも居ることはあまりに弱腰なことだ。原爆による力による平和は必ず破綻をする。アメリカから離れて、核を持たない国世界の多数の国と連携することしかない。

 日本は中国との関係を模索すべきである。中国と平和的な関係を作ることが日本の安全保障の第一である。ヨーロッパはこの間中国との関係を深めようとしてきたが、中国がウクライナ侵攻を強行したロシアを支援したことで、ヨーロッパはトランプに同調して、ロシア支持の中国に対して、今後は距離を取ることになるだろう。

 ヨーロッパはロシアの軍事侵攻に対して、直接的な侵略として深刻に受け止めている。まして、核戦争すら辞さないとするロシアに対する恐怖心は、ヨーロッパにとって深刻な事態だ。ロシアは苦境に立ち、北朝鮮軍の派兵までロシアは要請している。

 ヨーロッパはロシアと中国の関係にくさびを打たなければならないと考えているだろう。トランプアメリカは、中国を孤立させることを目指すはずだ。今回の中国への経済制裁は、ヨーロッパも同調するだろう。日本も当然巻き込まれることになる。

 ここが日本のこれからの外交の正念場である。日本がアメリカと距離を持つ良い機会ととらえるべきだろう。先ずはアメリカの属国から抜け出すことだ。米軍基地の縮小である。当たり前すぎることだ。米軍基地は対中国や北朝鮮、ロシア向けではあるが、日本支配も意味しているのだ。

 ウクライナの劣勢が徐々に明らかになる中、どこまで軍事介入すべきなのかがヨーロッパの現実的選択になっている。アメリカはウクライナに対して、停戦を要請することだろう。不利な条件でもウクライナは従わざる得ない可能性が高くなっている。

 ヨーロッパ諸国も中国に対して、ロシア支援を止めるように要請を強めている。中国はトランプの関税強化政策で、経済的に苦しくなるはずだ。ここから日本との外交の扉が開く可能性がある。トランプは日本にも関税を高めると全く自由貿易の意味を否定している。

 すでにメキシコに対して関税を高めると宣言している。中国がメキシコに自動車工場を建設していることがある。これは日本の自動車産業としては大きな打撃になるはずだ。日本の自動車産業もまさに正念場に絶たされることになるのだろう。

 経済が停滞すれば、世界中が不安定化する。特に中国の国内状況は厳しいものがあるはずだ。覇権主義よりも経済の安定化に集中せざる得ない国内情勢になっている。日本との連携が模索される可能性が出てくる。日本は東アジアの中堅国なのだ。

 中国・韓国・日本という関係を模索する。問題はありすぎるほどだが、だからこそ関係を構築することの意味が大きいと言うことなのだろう。経済関係の再構築をすることには、良い機会が巡ってきていると考えることだって、出来るはずだ。前向きに考えるべきだ。

 中国は報復関税を対アメリカに対して課すだろう。当然世界の商品の流れが変ってくる。米国の輸出関連産業は厳しいことになるだろう。輸入インフレ要因と、輸出の下押しのマイナス効果の両面で打撃を被ることになる。 アメリカの物価は上昇し金利も下げることが出来ないはずだ。

 当然さらなる円安になる。今こそ国内の生産力を上げる以外にない。つい先日までは自由貿易協定の推進を進めていたアメリカが、自由経済の価値を否定したのだ。アメリカ一国主義に対抗するためには、反アメリカの自由貿易機構を構築する以外にない。

 それは中国を環太平洋パートナーシップ(TPP)協定 に加盟して貰い。アメリカの自由貿易否定に対抗して行く必要がある。自由貿易は生産効率の上昇が目的なのだ。販路を広げることで、生産性を向上させる。日本の貿易立国の方向性は間違っていない。

 先ずは、日本にはアメリカの軍事産業から装備品を買えと迫ってくるに違いない。そして貿易赤字を解消としてくるだろう。日本政府はここが勝負所である。もし装備品を買うなら、日米地位協定の見直しを迫ることだ。対等でない関係で装備品を買わされるのはおかしいと迫れば良い。

 アメリカ軍の駐留経費の負担増も要求してくるはずだ。これに対しては米軍基地の縮小を要求して行く。負担増分だけ米軍の縮小である。10%負担増ならば、基地の10%の縮小である。先ずは辺野古米軍基地の取りやめと、世界一危険な普天間基地の廃止である。


 

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