米不足の本当の理由

   



 9月に新米が出荷されるまで、米不足だそうだ。あれこれ米不足の理由が指摘されている。中には実際にお米がないにもかかわらず、デマだ、風評被害だという意見まである。嘘だと思うのであれば、スーパーに行ってみて確認すべきだ。確かにお米は無いわけではないが、欲しいお米がないと言う状態のようだ。

 と言ってもこれは小田原で確認したことだ。実は米不足はばらつきが大きく、どんなお米でも良いというのであれば、並んでいた。欲しいお米がないと言う状態は確かに起きていた。石垣島ではお米は常にあった。稲刈りの中心は6月だから、今お米がなければこれは大変なことになる。

 一部のお米は確かに不足気味になった。それは猛暑と日照りで、コシヒカリが今ひとつの出来だったと言うことがある。多分銘柄米一般に猛暑の影響は出ているはずだ。やっぱりお米は新潟のコシヒカリに限ると言うような人にとっては、手に入らない状況はあったのではないか。

 昨年の作況指数は101で平年並みであった。ただこの作況指数ももう一つ当てにならない。殺教師数の調査は、全国で無作為に抽出した約8,000箇所の水田で実測調査を行って当年の「10a 当たり収量」、「収穫量」、「作況指数」などを算出している。
 全国で無作為の8000箇所だとすれば、田んぼ面積から言って石が川県で185件。沖縄県全体で3から4箇所程度になる。それにより日本各地で「どれだけ の量のお米が穫れたか」、自分が住む地域ではどうかをみている。
 無作為と言っても、農の会の田んぼが対象になることもあるだろうが、過去35年そういうことは無い。本当に無作為とは言えないのではないか。のぼたん農園の田んぼは余りに一般的では無い。対象に入れば、石垣島の作況指数に客観性があるとは思えない。
  調査の結果には、飼料米もあるし、有機栽培もある。作況指数が正確に捕捉できなくなっているような気がする。美味しいお米は作りにくい。美味しいお米は有機栽培だろう。有機栽培米は昨年は多分80くらいまでの、低い作況指数ではないかと思う。

 病気や害虫はひどい物があった。気候変動で以前は南の方だけだった虫が、関東でも広がる。夜の気温が下がらないというのも、お米の品質が悪くなる原因だ。山からの冷たい絞り水が来るような田んぼで、流し水栽培をしていれば、良いお米が取れる。

 そんな田んぼはどんどん減少している。そういう田んぼが水不足で昨年何度もテレビで放映された。新潟の魚沼地域である。多分良いお米が取れるような所は、中山間地の棚田と言うことが多いはずだ。そういう所が一気に耕作されなくなってきている。

 10軒の同じ水を使う農家の内2軒が止めれば、そのために水管理が大変なことになるというような地域もある。実際の所、中山間地のイネ作りは危機的な状況なのだ。頑張ってやられている方は今も沢山居るが、止めざる得ない人も居る。小さな農家の減少が全体に響いてきている状況が想像される。

 伝統的なイネ作りは、地域全体で支え合う物だったのだ。今はそれを大型機械が補ってくれているが、棚田では機械任せと言うことにはならない。どうしても人力の管理が必要になる。しかも水も水源の管理まで、やらなければ水が来ないというのが当たり前なのだ。

 小田原の田んぼでも、川からの取り入れ口が、年がら年中壊される。年に何度も自分たちで直さねばならない。過去になかったほどのゲリラ豪雨が毎年繰り返される。予想以上の土石気流が川を走る。大量の石が、流れ下り、水の取り入れ口を破壊する。

 水不足になれば、いくら川をせき止めても十分には水が来ない。やっと水を取り入れても、その水は良くない水である。生活排水の混入が目立つような水になる。水温は上がるし、本当ならば入れたくないような泡立つような水と言うこともある。

 しかし、農の会のようにみんなで耕作しているのであれば、まだ対応が出来る。個人でやっていれば、もう諦めるほか無い。行政にお願いしても、行政にも稲作に当てるような経費もなければ人員も居ない。現物支給で材料を貰って直してきたのだが、それも災害復旧であれば、国から出るらしくそれを待つしか無い。

 米不足は気象の激化が原因している。極端化した気候に、ついて行けない農家が特に中山間地に出てきている。そうしたお米は直売であったり、縁故米であったり、そして自家消費米が多いだろう。国は中山間地の稲作など止めれば良いと考えているから、何の対応も長年していない。確かに中山間地の補助金はありがたいのだが、それでは対応しきれない状況だ。

 そして農家の老齢化。中山間地の農家は平均年齢が70歳を超えている。どう考えてももう先の見通しは立たない。私だって、75歳になって頑張っては居るが、あと5年もてばと思っている。こうして団塊の世代が去れば、間違いなく日本の中山間地農業は、終了を迎える。

 そんなことはどうでも良い、あるいはどうしようもないがたいしたことにはならない、と国も農水省も考えているはずだ。大規模化した企業的農家が、耕地整理された田んぼで、スマート農業をやると言うことになっている。確かにそうなるだろう。しかし、全体で見れば、それは半分の話なのだ。

 日本は山ばかりの国なのだ。中山間地ばかりの国で、そこで自分が食べるお米だけを作るような人が、沢山居て日本の稲作を下支えしてきたのだ。その人達のお米は農協は関与していないものが多いだろう。統計にも出てこないところも多いかも知れない。

 そこから消え始めたのだ。これが米不足の第一原因である。作況指数101で起きた米不足である。企業的農家が頑張ってくれているから、何とか去年の米不足は乗り切れそうだ。今年もそういうことになるが、もしこれが作況指数が100を切るようであれば、どういうことになるだろうか。

 貧乏人は麦を食えと言われたわけだが、今や金持ちは麦を食え状態で、麦こそ補助金で作られている。結局輸入だよりの安全保障と言うことだ。買えば良いだろうと言うのが、日本の安全保障政策の考え方だったわけだが、もう円安で、海外のお米が安いなどとおも言えない時代が来る。

 輸入が出来ればまだ良いが、中国と買い付け競争になれば、日本は負けるのだろう。経済力では差が付いている。中国も食糧不足である。この状況を考えたらば、食糧危機が迫っていると考えるほか無い。所が自民党はぐちゃぐちゃ。野党も頼りにならない。
  私の見方などあちこちおかしいのだろうと思うが、米がこれから足りない時代が来ることだけは間違いが無い。今年起きた米不足は美味しいお米の不足だったが、本当にお米がないという怖い状況が近づいていると考えなければ成らない。

 自助努力以外にない。自分の食べるお米は自分で作る。国民皆農の国になるほか無い。政府がここまでダメである以上、政府が何とかしてくれると考えているわけには行かない。食べるものがないほど辛いことはない。しかし、食べるものがありさえすれば何とかなる。

 田んぼは全国至る所にある。中までやる気になれば、何とかなる。一日一時間米作りに当てれば、何とかなる。日曜は農作業の人言うつもりになれば、お米は作れる。年寄でも、子供でも何とか役に立つことが出来る。私の子供の頃に戻れば良いだけの話だ。

 あの頃は田んぼのある農家は憧れの大家だった。今の時代はやろうと思えば、田んぼはある。家だってある。条件はある。後はやる気だけだ。田んぼは難しくはない。やれば誰にだって出来る。ただ現代人の出来ないことは、協働である。みんなで助け合ってやれるようになることだ。

 田んぼが出来るようになるには3年は必要である。今始めればまだぎりぎり間に合うだろう。もしやり方が分らなければ、教えてあげたい。自分で出来る一切機械のいらない米作りである。そうだ籾すり機だけ居るかな。みんなで共有すれば、それ程の費用はかからない。

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