核兵器 日本の矛盾

日本は世界唯一の被爆国で有り、平和憲法を国是とする国である。ノーベル平和賞を受賞した核廃絶組織のある、反核および核軍縮推進を指向する国である。その一方で、政府としては国連の世界平和の為に進める、核兵器禁止条約に加盟しない、核兵器容認国家でもある。
この日本の矛盾が、日本を曖昧な煮え切らない国にしている。アメリカに敗北して占領されて以来のアメリカ支配はまだ終わらない、隷属した国の姿が今の日本である。アメリカの一国主義が登場した今、日本という属国は国家の進路を見付けられない状況である。政府はアメリカにさらなる隷属することしかできないでいる。
この哀れで悲惨な日本国の状況を脱して、独立国日本を目指すことが、唯一の日本の進路である。長く縮こまり隷属してきて怖くて巣箱からでることの出来ない、巣立ちのできない弱気なひな鳥のようだ。世界を見れば小さい国でも独立国家として、核兵器から距離を取り、尊厳を持ち、自立している国が普通にある。
アメリカの閉じかけた核の傘とおさらばする良い機会ではないか。確かにロシア、中国、北朝鮮の核兵器の不安が浮ぶ。しかし、狂気の国であれば、日本がどのような立場であれ、核兵器を使う時には使うだろう。それはアメリカの抑止力があろうとなかろうと、自滅的な狂気の国には変らないことだ。
狂気に追い込む前に、平和の関係を周辺国と築く以外に核抑止はない。平和の関係は簡単にはできないのも現実である。国際情勢は変化している。核抑止力による均衡を、ウクライナ戦争においてロシアは崩そうとしている。ロシアが追い込まれれば核兵器を使うと脅している。核兵器使用が現実化している。
核爆弾を撃ち込まれないためには、日本が独立して世界のどの国とも平和な関係を構築する必要がある。世界と平和の関係を構築する努力をしないで、アメリカの同盟国として、一緒に圧力をかけている現状よりも、安全性は増すはずだ。アメリカの一国主義は日本を危険な状況に追い込み始めている。
国の安全に絶対はない。空は落ちてくるかも知れないのだ。どちらが、比較して安全であるかしかない。トランプアメリカに追随していることの方には、どんどん危険が増して行くはずだ。中国もあまりに追い込まれれば、何が起こるか分らない。
核兵器の抑止力は力による一時のバランスである。何かが狂ってしまえば、核兵器の使用も無いとは言えない。ロシアで5580発。 次いでアメリカが5044発。中国で500発。北朝鮮50発。世界合計で12000発。この数は、人類が何度も滅亡するだけの核兵器の数である。
使用すれば人類の滅亡は明かなのだから、核抑止力は滅亡との瀬戸際のものになる。人間の愚かさの象徴のようなものだ。日本が今やるべきことは、核の傘から抜け出て、核を持たない国の仲間になり、被爆国として核廃絶を訴えることだろう。平和憲法の敵愾心のない国であることを示す良い機会だ。
確かに日本は自国の安全保障を微妙に確保して来た。 自国の安全保障に直結するアメリカの拡大抑止の信頼性向上を「同盟国」としての立場から、要望してきた。所がアメリカトランプ氏は自国が核攻撃を受ける可能性がある場合は、核攻撃をしないとしている。核の傘を実際は閉じたのだ。
バランスをとりながらアメリカとの軍事同盟を最優先にしながら、アメリカに従わされ、基地を提供し利用されてきた。その一方で、国際環境等を踏まえ、取り組み可能な領域から、「被爆国」の立場に基づいて核軍備管理・軍縮を国連を通してかすかに進めてきた。
日米両国は「北朝鮮による安定を損なう継続的な行動及び不法な核・弾道ミサイル計画の持続的な追求、中国による加速している、透明性を欠いた核戦力の拡大、そして北朝鮮との軍事協力の拡大及び不法な武器の移転を通じたものを含む、ロシアによる軍備管理体制及び国際的な不拡散体制の毀損といった、一層悪化する地域の安全保障環境についての評価を共有」と表明している。
しかし、日米同盟の核の傘は、アメリカ第一主義で閉じられたのだ。日本が核保有をしない以上。閉じられた傘に依存したところで、無意味なことである。被爆国日本として、核兵器廃絶に向けて非核保有国間の平和関係の構築の努力に加わることしか日本の進路はない。
「やらずに後悔するよりも、やって後悔した方がましだ。」という言葉がある。日本政府は過去に核兵器に関して何もしたことがないといえる。そしてやらないで、危険な状況に日に日に近づいている。このまま何もしないで、アメリカの傘があると妄想しているだけになる。
核廃絶の道に進んだ方がいい。アメリカは日本の安全などどうでも良い国になったのだ。核を持たない国が連携することしか道はない。世界のほとんどの国が核兵器を持たない国なのだ。核兵器を持たない国の安全の確保こそ、国連の役割のはずだ。
といってもその国連も機能を弱めている。トランプ氏ならば、気に入らなければ国連も脱退しかねない。日本は世界で唯一といってもいい平和憲法の国なのだ。武力のない世界を目指して平和を呼びかけてゆく国になるべきなのだ。そして日本は、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶に向けた決議案を毎年
、国連に提出している。
、国連に提出している。
ところが、国連の核兵器禁止条約が2021年1月22日に発効したが、署名も批准もオブザーバー参加もしていない。 唯一の戦争被爆国である日本政府は、核兵器の禁止から廃絶へ、核兵器のない世界を目指す責任がある。にもかかわらず参加できないのでは、平和憲法の国としての自己矛盾である。
日本政府の主張は条約には、核兵器を保有する国々が参加していない。日本だけ加わって議論をしても、実際の核廃絶にはつながらないという主張だ。核兵器を保有する国が参加していないからこそ、核を持たない国同士が連携をとり、核廃絶を目指す意義があるのだ。
日本政府は、核軍縮どころかアメリカの核戦力を含めた拡大抑止の強化を、核の傘の確実な実行を求めている。しかしそのアメリカは核の傘を閉じようとしている。トランプ氏によるむなしい拡大抑止力への依存だ。全く平和憲法の国であることを忘れた行為である。
こうした世界情勢であるからこそ、核兵器を持たない国が平和に安全に暮らしてゆける世界を、核兵器を持たない国同士の連携で作り出す必要がある。日本はアメリカから独立しなければならない。いつまでもアメリカの占領政策の継続を許さないことだ。
これからの問題は中国の核兵器の拡大である。ロシアアメリカは世界を崩壊できるだけの量の核兵器を保有してしまった。中国は同等の核兵器の保有を目指している。それしか自国の安全はないと考えている。それは、どの核保有国も同じことだ。
核による拡大抑止力は必ず、核戦争が待っている。当然の帰結だ。北朝鮮やイスラエルのような国が、暴発をすれば、どういう連鎖が起こるか目に見えている。核兵器廃絶以外に世界平和はない。残念ながらそれが現実論になりつつある世界なのだ。