絵の具をライティングビュウローにまとめた。
持っている水彩絵の具をひとまとめにした。横幅が70センチの引き出しである。これは松本民芸家具のライティングビューローの引き出しである。引き出しの中を栴檀の板で12の仕切りを作った。使う色で分けた。
以前は油彩画用の移動式アトリエ収納棚を利用していた。下にキャスターが付いていて、楢材で出来ている。もう30年も使っていたのだがアトリエで描かないので、水彩画になって有効には使っていなかった。そこで車用の収納箱兼、架台として2つのライティングビューローを使うことにした。
その大きな引き出しに水彩絵の具を入れるところを作った。以前は2つの引き出しに分けて入れてあったので、探すのが面倒だった。今度は良く整理されたので心配がない。もう一つのビューローが筆用である。今度はすべての画材をアトリエ車に入れることにした。こうすれば絵を描くときに忘れ物が無い。
一つの色でも4つぐらいの違うメーカーの絵の具が混じっていることもある。主にニュートンである。そして次がシュミンケが多いのでは無いか。絵の具はいつも描くそばに欲しいものである。絵の具の中には春日部先生からいただいたものが、混じっている。
いただいたが先生とは使う色が違うので、減らないでそのまま残っているものもある。中にはどうして買ったのだろうという色もあるが、それはカヨ子さんのお母さんが使っていたものなのだ。一応、絵の具箱に入れてはあるが、やはり減らない。
最近、まとめて、アメリカとドイツから取り寄せた。それは箱に入っているものが多い。何しろ絵の具というのは300色くらいはあるから、それを整理することが難しい。実際によく使うものはそのうちの12色ぐらいである。
コバルトバイオレット、カドミュームレッドライト、ローズマダー、ローシェンナ、ビリジャン、ニューガンボーニュ、カドミュームイエローレモン、コバルトグリーン、セルレアンブルー、フレンチウルトラマリン、コバルトブルー、別枠でアイボリーブラック、手前にチタニュームホワイト、白と黒を入れて13色である。
この絵の具を使ってあらゆる混色するのだから、たぶん無限といえるような色が作れるのだと思う。その上水彩絵の具は水の濃度の変化で色調が変わる。そのことを考えると際限が無いほどの色になる。それだけあっても出したい色はほとんど出ないのだ。だから、見えている色を出すためには自分の色に置き換えるほか無い。
そもそも、木の葉の色を作り、木の葉に塗って確認したとしても、絵の上ではその色では無い。絵の上の色彩はすべて置き換えて、新しい世界を画面の上に構築しているのだ。見えている色自体はあくまで参考なのだ。むしろそこで起きている色の調和を、どう置き換えるかを試行錯誤する。
基本色はパレットにだしてある。減ったらば絵の具箱から継ぎ足して行く。結構減って行くので、油断は出来ない。描きたいときに特定の色の絵の具が無いというようなことは考えられない。だから、用心して早め早めに買い足している。
何故、全百色もあるかと言えば、不安だからである。もし使いたいと考えることがあるかもしれないと思うと、一応は買わずとは居られないのだ。もちろん使わないまま、保存されているだけという色が、やたら多いわけだ。
そういう色が、例えば赤というワクの中に赤が10種類ぐらいはある。今は無くなったバーミリオンなどは大切に保存してある。どうしてもバーミリオンが使いたくなるかもしれないと思うだけで、そうせずには居られない。
黄色などもクロームイエローは今はない。だから滅多に使うことはないのだが、あの色の感じは記憶されていて、クロームイエローを思わず使うこともないわけではない。箱の中には一応ある。別段他の色でも行けないと言うほどのこともないが、気分的に不安なのだ。
右上端の枠は白と黒を入れた。50本もある。何故こうなるのかと思うが、白は本当に様々なのだ。良い白を探している内にここまで増えた。白は納得できる白が未だに無い。日本画の白、ガッシュの白、様々な会社の白と探している。
結局の所紙の白が一番良い。紙の白に透明の皮膜を作る絵の具を塗るというのが今のところ一番良い結論である。しかし、このやり方は邪道のような気がしている。と言っても紙のままの白は必ず黄変する。古い水彩画の白抜き部分は黄変しているものがままある。
各色50本ずつあるとすれば、500本ほどの絵の具があると言うことになる。この絵の具が頭に入っているのかと言うことになるが、案外に感覚として入っている。時々色毎に絵の具を眺めているからだと思う。茶色にはどんな色があるかなどと思い眺めているだけで、何時間も経過する。
茶系というものはほとんど使わないのだが、茶系の絵の具は多様だ。ローシェンナーが常用としてあり、それ以外の茶色は特殊色である。特殊色を使うか、ローシェンナにカドレッドを混ぜるか。セルレアンブルーを下地に入れるかとか。特色で行くかなどの選択をしているようだ。
それはすべて反射的にやっているので、何をどうやるのかは自覚していない。その時に応じて、あれこれ試行錯誤して、偶然が幸いすることもあると言うだけのことだ。ほとんどが失敗なのだ。数限りない失敗を覚えては入られない。
そうしてよく使う12色に収斂した。こうした基本色は誰にでもあるのだろうが、人によって全く違うらしい。春日部先生の絵の具箱はまるで私とは違っていた。春日部先生の絵の具は私にしてみれば、特色ばかりのようで驚いた。
絵の具箱の中に山のようにある茶系はほとんどが春日部先生から来たものである。私はやたら混ぜて絵の具を使うので、基本色は明るい色ほど良い。水彩画では暗くするのは簡単なことなのだ。明るくすると言うことが難しいので、基本の明るい色から徐々に落として行く方がやりやすい。やりやすい方が良いとも限らないところが、難しいところであるのだが。
シュミンケの絵の具を加えて、非常に混乱した。シュミンケの絵の具は毒々しい色が多い。染料系のような色も多々ある。気をつける必要がある。全色購入して、試してみた。案外に使える色は少ない。それでも基本色は一応そろえてある。場合によってはシュミンケの方が良いと言うこともないと言えない。
明るい黄色に関してはシュミンケはさえている。月光色である。中国画では月光色という黄色の透明色の色墨があるそうだ。オウレオリンのようなのか。コバルトイエローなのか。ガンボ-ジュのようなものか。弱い透明の黄色。この色より明るい黄色は無い。今名前が出てこない。
石垣に来てから、赤い土の色をよく描くので、以前よりは使うようになった気がする。