アトリエカーで制作を始めた

   



 10月25日AtelierCarで制作をした。落ち着いて描ける。描いていると家にいて、窓から描いているような気分になっていた。タテ220×ヨコ132×高さ165センチという狭い空間だ。絵を描くだけの気持ちになれた。

 石垣島の皆さんへ、AtelierCarで絵を描いていて、迷惑は決しておかけしません。十分注意して場所を選んでいます。もし何か邪魔になることがあれば、すぐに言って下さい。気付かず迷惑な場所で描いている場合もあるかもしれません。よろしくお願いします。

 AtelierCarは絵を描くだけに特化した狭い空間というのが良いのかもしれない。集中が続く。達磨大師は穴の中に9年籠ったという。サンショウオは穴の中で頭でっかちになり、穴から出られなくなったという。AtelierCarのなかで、只管打画を目指すつもりだ。AtelierCarは道場である。

 ライティングビューローの上に画板を載せて描いている。絵の角度が前より自由になるので、大分描きやすい。ビューローには滑り止めのシートを敷いた。このシートは優れもので滑ると言うことがなくなる。ビューローの高い場所に絵を載せて離れてみることが出来る。見上げて絵を見るのだが、これも具合が良い。

 昨日は外気が30度まで上がったが、車内は暑いことは無い。当然、寒いことも無い。風の通り具合も調整が出来る。以前より一段視線が高くなった点も風景が見やすくなった。じっくり風景を描くという事ができそうだ。最高の条件が整った。

 壁に書いた字を張ってみた。自分の空間になるかと思ってだ。今ひとつだ。柿渋布に描いたものの方が良いか。今度変えてみる。布に描いた絵を窓に貼った。外から見て絵を描いていると言うことが分かるかもしれない。少しだけだが安心感がある。


 これは後ろ側に描いた絵を置いて、前側の収納箱型の椅子に座って絵を見ている状態。絵を2メートルほど離れて見れるようになった。これは今までには出来なかったことだ。2メートルだけでも距離が取れると絵の見え方が変わる。前は車の外に出てみていたのだが、今度は車内で大丈夫なようだ。

 絵が置いてある台が後ろの絵の具のライティングビューロー。左側の窓を開けてこちら側を向いて絵を描くことも出来る。車の止める具合で左右で描けるようにしている。前にあるの方が筆のビューロー。絵を描くすべてが車に積んであるのだから、もう忘れ物は無い。

 絵の右側が後ろにあるのが、ドアである。すこし段差はあるが思っていたより出入りはらくだ。アトリエに入るための、一段の踏み台を用意した。軽トラの荷台だから踏み台があれば、楽に上れる。今は大丈夫だが、足腰が弱くなると大変になるかもしれない。その時には手すりがいる。

 天井に線のように見えるのがLEDライト。結構明るい。手前に見える沖縄柄のものが、ゲーミングチェアーの一部。余りに派手なので、着物をかぶせた。ただかぶせてピンで留めたのだが、案外にずれずに具合が良い。この椅子は寝かせたり、立てたり、回転もする。自由がきくので絵を描くには最善かと思う。
 

 窓から名蔵湾を見ている。白い舟が海上保安庁の船。遠くに見える島のようなところが崎枝半島。牧場は草を刈り取ったところだ。白い屋根が牛のいる畜舎だ。牧場の下にアンパルの湿原が続いている。この感じは広がりがありタントよりも大分見やすい。

 石垣島にはこう言うすばらしい風景の場所で、車を止めて絵が描けるところが20カ所もある。家から30分以内で20カ所も絵が描けるところがあると言う場所は、石垣島以外には無いだろう。この場所には15分で行ける。小田原では絵が描ける場所は5カ所だった。それも一時間近くかかった。

 石垣島に引っ越すときから、車の中で絵を描くと言うことは決めていた。だから家から見える景色は不要と考えていた。その日の条件によって描きたい場所に出かけて行き、絵を描く。これ以外には考えられなかった。何故かその日行きたくなる場所が違うものだ。アトリエに絵を並べておいて、今日はあの場所でこの絵を描こうと続ける。

 絵を描きたく成る場所でも、その場所だけというのでは困る。その日その季節で、描きたい場所は変わる。だから車を止めて描ける場所がどうして必要になる。ゴッホやセザンヌのように、歩いて描きに行くというので、雨や風の日には絵が描けない。雨の日や風の日は案外景色は面白いものだ。見えないことで、本質が露わになることもある。

 やはり風景画を描くものにはアトリエ車は必携ではないだろうか。この車は大判全紙か、50号くらいまでなら描ける。870センチ×700である。今度描いてみようかと思う。大型画板を置いてみても、それほど無理はなさそうだ。AtelierCarを宣伝してもしょうが無いことだが、教えずにはいられないほどよい。

 写生をやるにはやはり軽トラAtelierCarが最善の選択である。車を長時間止めておける場所はそれほど多くは無い。狭い道路がほとんどである。地域の方の迷惑になるような止め方では絵は描けない。軽トラならばなんとか許される範囲では無いか。

 一度よく寝られるかも試してみたい。先ずは家の脇に止めて寝てみる。それで寝られればどこでも寝られる。日の出を描きに行きたい。以前全国を旅行していた頃は必ず日の出と夕日を描いた。空けてくる景色。暮れて行く景色。なかなか良いものだ。これを描くにはAtelierCarが無ければ無理だ。

 平戸で夕日ばかり描いていて、目をやられた。たぶん緑内障の原因も太陽を見すぎたことではないかと想像している。気をつけながら、石垣島の朝の景色を描いてみたい。夕日は描いたことはあるが、朝日は描いていない。春日部先生が、夕日の景色でも朝日と題を付けないと売れないよなと言われていた。私には関係の無いことだが思い出した。

 AtelierCarは完璧なのだろう。改善すべきところがまるで無い。すべてに予定通りである。一番心配していたのは荷台が重くて運転に影響するのでは無いかと言うことであった。しかし、荷台に載っている総重量は150キロ少しぐらいだと思うが。運転にはほぼ影響が無い。

 風の影響も心配したが、昨日はかなりの強風の日だったが、停車した状態でタントよりむしろ安定しているようだった。重量がある性だろう。燃費はタントよりも悪いかもしれないが、年間走行距離は5000キロぐらいなので、極端には違いは無いかとおもう。

 いつか、車を九州までフェリーで送り、旅行をしながら絵を描きたいと思っている。石垣島から鹿児島港まで52000円だそうだ。無理な金額では無い。阿蘇、平戸、出雲、金沢、そして山梨とたどる絵画旅行も悪くない。

 先ずは石垣島で充分に描きたい。いくらすばらしいAtelierCarが用意されたからと言って絵が良くなるわけでは無い。絵に専念できる状況が準備されたにも関わらず、たいした絵が描けないのでは話にならない。せめて、なるほどこんな絵を描いているのかと言うぐらいの所までは行きたいものだ。

 - 水彩画