安倍政権の総括

   


  尖閣諸島の巡視から戻ってくる海上保安庁の船でないかと思っている。竹富島と石垣島の屋良部岬の間を通過して、石垣港に入港する。見る間に通り過ぎて行く。中国漁船は尖閣まで近づいているのだろうか。

  まさか辞めないだろうと思っていた。辞任を判断を出来なかったのは、読みが甘かった。安倍総理大臣は辞任を表明した。日本にとって正しい選択であった。安倍氏は日本人というものをすっかりだめな奴らにしてしまった。新宿御苑の花見の会はまさにその象徴であった。あの芸能人の嫌らしい笑い顔が思い浮かぶ。何を浮かれていたのだろうか。

 希代の詐欺師が花見の会に総理大臣推薦枠の招待状を自慢げに信用パンフレットに利用していた。まさにその姿こそアベ政治の姿である。内側に入り込むことが上手であれば、恩恵が受けられる側に立つ政治である。既得権を守る忖度政治であった。新しい物の出現の意欲を萎えさせる政治であった。

 総理夫人も教育勅語を暗唱させる幼稚園にすっかり感動してしまい、様々に夫人ワクを利用した。あの安倍晋三記念小学校を名乗ろうとした事件の気分の悪さは、歴代政権第一である。おかげで財務相の公文書まで、書き換えが行われた。そしてその手柄で出世をした佐川局長。

 この腐った構造が官僚の意欲をそいでいる。優秀なはずの官僚がすっかりだめになったことは、コロナ対応では露呈した。厚生省の能力不足は目に余る物がある。そして感染研や保健所との連携はどこの国よりも劣っていた。

 一部国民だけ優遇する忖度政治はすっかり国民をだめにしてしまった。国民は自分が優遇され無い立場であることに意欲を失った。何をしてもだめだという絶望的な状況に牙を抜かれてしまった。自分の立ち位置をこんな程度の物と判断したのだろう。憲法無視の法案が強行採決されるたびに支持率は下がったが、すぐに元に戻った。怒りも恐怖も持続できない日本人になってしまった。

 石垣市長が自衛隊ミサイル基地建設を受け入れたときに、国が決めることに対して、住民は意思を表明できない。受け入れるしかないと繰返し述べている。この愚かな感覚こそアベ政治である。お上には逆らえないという、家来の性根のような物が日本中に蔓延した。ノーと言えない日本人の誕生。

 特に自民党の国会議員の劣化は見苦しいほどである。自分の政治的理想を持ってはならないようだ。そんな物があれば役に就けない自民党の封建的構造。飼い犬的議員が多数を占め、物言えば唇寒しの状況に陥った。河野太郎であれ、小泉進次郎であれ、いつの間にか忖度議員に成り下がった。当人がそのことに気付かず、見苦しいばかりである。

 日本人がこの10年大きく変化をした。団塊の世代が引退したと言うこともあるのだろう。お上に逆らえない。理由無く従ってしまう、下取り根性が普通になった。これでは国が衰退して行くのも止むえないことだろう。これが日本の人口減少の根本原因だろう。たぶん日本はここからさらに衰退を始める気がして成らない。

 やっと安倍時代が終わったにもかかわらず、次の総理大臣候補を並べられても、ほとんど期待のできない状況である。小選挙区制が日本人の政治感覚にどれほどよくない制度であったかが分かる。日本の未来のためには良くない制度であると言う人はいくらでも居る。しかし、既得権として獲得した与党は未来永劫変えることがないだろう。この絶望感は深い。

 国会議員は就職の一つになった。良い会社が与党である。危うい会社が野党である。この入党試験さえ合格すれば、後はつつがなくやって行くだけだ。国会議員が公務員と同じになった。上の顔色の判断が得意な人間ほど上に行くシステム。理想を叫ばない国会議員。現実主義者ばかりの国会議員。その最たる物がアベ氏。

 国を諦めなくてはならないと言うことは、国民に力が失われると言うことである。正義の意欲が萎えたのだ。何を言っても無駄である。40%の住民が自衛隊基地の是非の住民投票を署名をしてお願いした。しかし、それが実現されない社会。この不公正な政治状況では、どうせ何を言っても無駄だ。市に協力などしたくない。この先の共同参画社会は失われるだろう。こう言う悪い空気になる。

 自分のことだけ考えればかまわないと言うことになる。これが沖縄でコロナが日本一広がった理由ではないだろうか。これが台湾でコロナが押さえ込まれた理由であろう。国が公正で正しい方向性を示すことは、生活に直結している。国民の意見に耳を傾けているのかどうかである。

 沖縄県民の、石垣市民の正義が無視されたことで起きた現象である。国はどんな理不尽も押しつけてくる存在である。しかもそれに対して意見の表明も出来無いむなしさ。正しい心が失われると、コロナは広がる。自分ぐらいかまいやしないと言うことで、コロナは広がる。アメリカのコロナの広がりはまさにその象徴である。第2位がブラジルである。

 日本では一位が沖縄で、第2位以降が都会である。沖縄に米軍基地があり、日米地位協定という不平等条約下にあると言うことは、沖縄の心を空洞化させているのだ。権力の横暴が続けば、おかしなことが起きてくる。まさに一部の心ない人の行為で、コロナは広がる。

 日本が立ち直るためには、日本を見捨てるところから始めるほか無い。日本国を引きずって行くのでは、自分の暮らしの構築が出来ない状況である。国がどうしようもないのだから、先ずは国の事は見切って、自分の暮らしを国という権力から自立させる以外に、自分という存在を立ち上がらせることは出来ない。

 アベ政権は長かった。そして最後にはコロナで辞めた政権である。コロナ政権と呼ぶことにしよう。日本に悪い病気を蔓延させたのだ。人間の前向きな意欲を失なう病気である。気持ちが萎える病気である。従う性根だけになる病気である。

 ここから立ち直るためにはリハビリが必要である。自分が何のために生まれてきたのか。この大切な命をどう全うさせるか。何が大切で、何が好きで、何のために生きるのか。命を活性化させるためには、自分のためだけに生ききる時間が必要な日本になったのだ。

 身勝手と言われようとも、人目を気にせず自分のために生きてみることだ。本当に自分のために生きていると言うことかを、確かめてみることだ。自分の命の方角に従っているのか、確かめてみることだ。そこから自分がやりたいことを見つけることしかないだろう。

 自分の生きる方角を見つけることだ。せっかくの命である。国に牙を抜かれ、意欲を失わさせられ、要領よく生きる道を歩んで、本当のやりたいことをやっていないために意欲が再生産され無い状況からの脱出。

 始めて見ることが道である。行動してみて始めて気づくことがある。始める前には見えなかった世界が広がっている。未来が広がっているかどうかの確認をしている間に、意欲が減退してしまう。それは日本の状況がそんな閉塞した忖度状況だからだ。ろくでもない人達が、権力を動かしているからだ。

 この日本の状況を先ずは明らめることだ。正しく分かれば、諦めることが出来る。正しい見方を持つ人達が、何とか変えようとして大切な意欲がしぼんでしまうのだ。迂回だ。まず自分の意欲を育てるところからだ。

 自分がやりたいと言うことを始めて見る。そのことから自分という存在がすこしづつ見えてくる。明日の方が昨日より進んでいることの分かる暮らしを見つけることだ。

 - Peace Cafe