中東外交に利用されるだけの自衛隊で我慢できるのか。
自衛隊がホルムズ海峡に独自に行くということである。誰に呼ばれたわけでも無いのに出かけて行くことになる。こういう自衛隊の海外派兵は過去無かった。何を意味するかといえば、日米関係と日イラン関係の危ない調整ということが主目的であろう。自衛隊が外交利用されるという、最悪の手法になる。
米国が提案する海洋安全保障イニシアティブには参加しない。クルド人を利用し尽くして、見放したアメリカにかかわらない方がいいことは確かだ。しかしそれでは属国としての立場が無いという事になる。
艦艇派遣や既存の海賊対処部隊の活用の可能性を今後検討する。と言う建前を無理やり作り出し、自衛隊を派遣しようというのだ。活動範囲はオマーン湾、アラビア海北部の公海、バブ・エル・マンデブ海峡東側の公海などで、防衛省設置法に基づく派遣となるとしている。目的は情報収集と調査と言うことしておくらしい。
実際の情報収集に役立つような派遣では無いのは誰が見ても分かる。自衛隊の艦隊が中東に出かけて、情報収集ができるはずも無い。情報収集ならば、自衛官をスパイとしてこっそり派遣した方がいい。それでは、アメリカに姿勢を示せない無いということに過ぎない。
アメリカ連合にも参加できない事情がある。と言って何もしないというのでは格好がつかない。そこでこんな意味不明の自衛隊派兵を考え出したのだろう。どうもやることの頭が悪すぎる。誰も喜べない自衛隊の派兵だ。河野太郎氏そんなに頭の悪人とも思えないが、アベ忖度で自分を失ったままである。
アメリカがこんなことで納得するはずが無い。イランに対しては全く意味不明な行為になるだろう。前回アベ氏のイラン訪問で、日本タンカーにテロ行為があったように、何か攻撃を受けるきっかけになる可能性がある。様々な政治勢力のテロ行為がが渦巻いている地域なのだ。自衛隊が出かけることで、むしろタンカーへの見せしめテロ行為が起こる可能性の方が高い。
反撃をするわけには行かない調査船がいい攻撃目標になりかねない。アベ氏の仲介外交が何の役にも立たなかったどころか、日本タンカーの機雷攻撃になったのである。よほどしっかりした方針を持たない限り、中東に自衛隊が出向くなど、やってはならないことなのだ。日本は中東の危険地域を甘く見ている気がする。
アメリカは中東の覇権から手を引き始めている。クルド人のみ捨て方を見ると、充分トルコとは打ち合わせ済みだ。シリアのアサド政権のサリン攻撃などどう考えているのだろうか。
中東だけで無い。アメリカはアメリカ一国主義に戻ろうとしている。中国との対立を見ても分かるのは、アメリカは経済の損得だけで動いている。アメリカの本音は中東からどう手を引くかだけだろう。日本はもう少し様子を見るというのが、賢いやり方だ。
イランの核開発の阻止が緊急の課題だ。核を所有しない国同士が、どうやって安全保障を確保するかを模索すべきだ。日本は持たない国連合を作る努力をしなければならない。核所有国が持てるけれども持っていない国に対して、持たせないという論理はすでに破綻している。北朝鮮で分かるとおりだ。
日本がアメリカの核の笠の下に居るというのはその通りのことだ。しかし、いつまでもこれで良いはずが無い。アメリカは利益がなければ、日米同盟よりも中国を重んずるかもしれない。日本の選択は核を持たない国が連帯することで、核を持つ国に対して、抑止力を作り上げることだ。
核保有国に対して、非核国連合が要求をする。非核国連合の国は核保有をしては居ないが、核がこれ以上拡散しないためには、非核国の安全を核保有国が保証する体制を構築するほか無いという宣言を行う。
核保有国による核攻撃が非核国に対して行われた場合、他の核保有国はその攻撃した国に対して、一斉に核攻撃をするという、確約である。この確約ができれば、北朝鮮もイランも核保有する根拠が無くなる。
日本はアメリカの核の傘のしたに居ることを公言して恥じない、アメリカの属国が自慢なのだ。これではイランにも、北朝鮮にも相手にされるはずも無い。日本国憲法の平和主義に従い、日本は世界平和のために行動を起こす義務がある。中東派兵どころではない。
国際紛争に対しては平和的手段を用いて解決すると決めたのだ。それならイランに自衛隊を派兵することは、憲法違反であろう。平和的努力をやり尽くしたのであれば、それもやむ得ないともいえるが、アメリカの属国適立場では、平和的外交努力がほとんどできない状況である。
まず、アメリカの核の傘のしたから抜け出ることである。抜け出ることは怖いことであろう。厳しい世界に一人で立つことになる。それでこそ初めて、非核国連合への道が開ける。
このまま行けば、世界で核戦争が現実化しかねない状況である。テロはテロを呼ぶだけである。テロ集団がドローン兵器でテロを始めかねない。ドローン兵器に細菌やサリンのようなものが積み込まれていれば、もう防ぎようも無いことになる。
兵器はIT化している。人類は核爆弾だけでは無い危険にさらされている。抑止力の意味も大きく変化している。力による抑止力だけでは、現代の兵器の革新に追いついていけない。日本の安全保障も考え方を根本から見直さなければならなくなっている。
中期防衛大綱を読むと、まるで考え方が古びている。ガラパゴス化している。軍事基地で日本の安全保障ができるはずがない。そういう所まで兵器が代わり始めている。囲碁や将棋でAIに全く刃が立たない状況になったのと同じである。
新しい発想で安全保障を考えない限り、日本の安全は無い。こういうことはEゲームで戦争ごっこをやっている人ならすぐに分かるのでは無いだろうか。たたき上げ精神の日本の自衛隊には不向きな状況になっているのでは無かろうか。
自衛隊に置いても肉体的軍事訓練よりも、Eゲームの方が有効なのかもしれないのだ。こんなことを言えば、自衛隊の人達を馬鹿にしたようにとられることだろう。しかし、軍事兵器の革新で軍事力というものの意味が、肉体から離れていって居る。これからは無人兵器になる。ゲーマーの方が優秀な自衛官かもしれないのだ。
ラグビーではニュージーランドがイングランドに戦略研究で負けたと言われている。肉体的に劣るものでも、戦略で勝つことができるのだ。もちろん自衛隊も戦略の研究はおろそかにしているはずも無い。そうであるとすれば、なおさらのこと自衛隊の中東派兵は止めるべきということが、自衛隊内部では話されているのでは無いのだろうか。