米朝会談物別れをどう見るか。

   

トランプ、金正恩会談。もう世間ではあまり話題にも上がらなくなった。米朝会談は何だったのかと思う。アメリカでも、北朝鮮でも、今回の米朝会談を良かったと国内向けには説明しているようだ。まさかと思う。最悪ではないが、かなり良くない結果に違いない。少なくとも東アジア情勢という意味では相当に悪い方法に進んだ。第一の目標は朝鮮の南北統一である。米朝会談の直接的な問題は北朝鮮のアメリカを射程距離するまでに開発された、核ミサイルにある。この核ミサイルに動揺したアメリカが北朝鮮に対して、いまにも攻撃を仕掛けるような脅しをかけた。国連では北朝鮮に対して厳しい経済封鎖を決めた。一応、中国、ロシアも経済封鎖に加わることになった。北朝鮮は核実験を当面やめた。韓国の文大統領の仲介によって、アメリカは突如米朝2か国会議を行うと決めて実行した。これは従来より、一貫している北朝鮮の望むところだった。それを6か国会議でなければ、一切話し合いを持つべきではないということが日本などの従来の考えだった。その結果アメリカと直接交渉のしたかった北朝鮮が話し合いを拒絶したままの状況だった。

北朝鮮は核ミサイルを持ち、アメリカと対等に話し合いをできる状況を作り出した。これでアメリカの攻撃がないことが明確になれば、ひとまず成功としているのかもしれない。独立国家としての北朝鮮を世界に認めさせたいということだろう。国家として認められていない状態というものに、独裁国家としては耐え難いものがあるだろう。国家としての安全保障という意味では極めて危うい立場である。独裁者は常に不安なものであろう。一段と強化された経済封鎖というものが、効果を上げているのかということがある。経済的圧力は北朝鮮のような国情の国では日本で起こるような効果は上がらないと想像している。自給自足的な国は鎖国的経済封鎖に強い。北朝鮮国民の苦しみは増しているだろうが、それが北朝鮮という国家の崩壊に結びつくようなことにはならない。自分たちを追い詰めているのは、アメリカを中心とした悪の枢軸であると考えている人がほとんどのはずである。戦時中日本人のほとんどは、鬼畜米英と思い込んでいた。追い詰められれば追いつめられるほど、敵に問題があると思う。自分たちの独裁者に問題があると考える人は、わずかにすぎないはずだ。

北朝鮮の認識は、当面アメリカが爆撃を開始するような危機は脱した。中国は経済封鎖を緩めてくれている。ロシアも同様である。それに対してだれも手を打つことはできない状況ができた。徐々に北朝鮮が国家として世界に認識をされ始めている。こういう感覚にいるのではないだろうか。ロシアも中国もアメリカと経済戦争下である。北朝鮮は一つのカードである。それなりに経済関係を続けているはずだ。一方、アメリカは北朝鮮が常軌を逸して核ミサイルをアメリカに向けて発射するのではないか。この不安は解消された。それならそれで当面はかかわる必要なない。アメリカは世界平和のために動く必要もその気もない。現状では中国とロシアの経済戦争の方が、深刻である。それぞれに落ち着くところに落ち着いたのかもしれない。

何も解決はされていない、またしてもの停滞状況で一番困るのは韓国であろう。次いで日本である。韓国としては国家統一が遠のいた。戦争状態の解消が遠のいた。中国との関係悪化が深刻化している。日本としては拉致問題は残念ながら、変わらない状況。アメリカに縋りつくだけのアベ政権には何か事を進められるような政策はない。トランプに辺野古の基地は地元沖縄の意思を無視して進めておりますので、もう少しお待ちください。その代わり拉致問題の方はよろしくお願いします。こんな程度であろう。日ロ交渉で明確になったように、アメリカの属国でいる間は日本を相手にしても仕方がないということになる。どうせ、アメリカの顔色を窺うだけだという判断になる。日本は弱いもの連合を作ることだ。武力を持たない特に核爆弾を持たない国家の連携である。日本は弱いものの正義を目指したらどうだろう。日本の専守防衛の背景には、弱いもの連合があるというのは期待ができる。国連が核ミサイル保有国の力関係になっている以上、日本にはあたらしい枠組みを探す以外道はない。

 

 

 

 

 

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