公示地価に見える地域の未来予測図
石垣では絵が壁に描かれている家が結構ある。石垣の暮らしのゆとりというか、遊びというようなものの表れのような気がする。
石垣市の公示地価は6万7020円/m2、変動率は+5.77%である。小田原市の地価は13万0145円/m2変動率は-1.41%。である。その前に住んでいた世田谷区の三軒茶屋は123万1000円/m2+10.23%。値上りしている土地の実勢価格はこれよりも高くなる。値下がりしている土地はこれより低く取引される。ある程度様子の分かるこの3か所の地域を比べてみると日本の現状がよく表われていると思う。やはり石垣島が一番良い地域だといえる。その意味は値上りをしていながら、安いということに尽きる。三軒茶屋のように高くとも、値上りしているなら可能性がある。値段はともかく値下がりを続ける土地はそう買う人は居ないだろう。都市がますます土地不足になっている。東京一局集中である。中国の投資家はどういう目で見るだろうか。景気は悪くなり始めているからなおさらこういうことが起こるのかもしれない。沖縄の土地価格の上昇は人口増加と、観光業が盛んになっているためである。投資という意味では一番有望な土地であろう。
小田原は人口減少と新しい何かがないことが要因と思われる。これほど利便性の良い地域が値下がりするのだから、地方の都市化していない地域の土地の下落はさらに大きい。住宅用の土地を購入するという意識は貯金をするという意識と近い。社会の未来が見えないから、自己防衛しようという意識で家を購入する。日本人の貯蓄率の高さは安心して使えないことになる。無理をして貯金をして、その一方で低金利のローンで土地を購入する。となれば、当然値上りするところに目が向くだろう。将来の心配を減らす暮らしをしたいという人が増加している。小田原は人口は減少しても、家の建築は続いていた。一戸当たりの居住者の数が少なくなり、家の数だけが増える現象。それでも土地価格が下がるということは、いよいよそれも頭打ちということになる。
石垣に来てみて驚くのは人の住んでいない家が結構あるということだ。街の土地価格は相当に上がっている。それでも売る気のない家や土地が存在する。石垣で売買対象になる土地は全体量が少ない。探す人がいればすぐに上がってゆく。アパート経営がいいというので、新聞広告まで出して土地を探している不動産屋さんは結構あるようだ。それでも今残っている手つかずの土地は、石垣島を出て、実家として残しておき戻るときまで持って居ようという気持ちかもしれない。あるいは投機用に購入されたものということもあり得る。石垣島の人の感覚ではもうこういう建築ブームはそろそろ終わるだろうという気持ちがあるらしい。10年ぐらい前はもっともっと空き家があったという。ユーグレナモールもシャッター通りになりかかっていたといわれる人もいた。今は隙間もないほどに店が続いている。こうなると、使われている場所の再建築ということが始まる。外国人観光客の増加が活性化の要素だろう。観光客がお金を落とす方向は、日常生活とは少し違う。そういう結果が石垣の街の様子に現れている。ホテル、飲食店の新規開店が続く。観光客はこの先伸び続けると思う。観光客にはそれくらい石垣は素晴らしいところだ。
日本全体の傾向としては、東京はオリンピックが潮目となって様層が一転する可能性が高い。ますます東京一極集中になるだろう。そして沖縄のようなほんの一部の地域だけが、上昇を続ける。過疎の地方が放棄され、自然の野山に戻ってゆく様子が想像される。それでも行政というものは地域の活性化を図り、自分の地域だけは人口減少が食い止められるというような、計画を立てる地域の行政の計画ぐらいで歯止めがかかるようなものではない。むしろ人口減少を生かした地域形成を考えるべきだろう。人類という動物の本能が人口減少に向かっている。ある意味健全なことなのだろう。原発がなければ日本が維持できないというようなことを、主張するのが政府である。これではもう日本に未来内はない、もう駄目だと政府が言っているようなものだ。人類の文明が転換点に至った。アベ政権は地方再生などという政策を表向きは掲げているが、実態としては地方消滅にひた走りである。たぶんそれでいいと考えていると思われる。それが地価に表現されているのだろう。地価というものは未来予測である。