朝鮮半島の完全なる非核化

   

アメリカは北朝鮮の完全な非核化を要求している。そして、北朝鮮は朝鮮半島の非核化を主張している。両者の似たような主張である。何故、この前提で話が付かないかといえば、アメリカは北朝鮮だけの非核化を主張して、在韓アメリカ米軍の核兵器保有を明確にしないつもりからだ。これは当初から想像されたことだ。アメリカは自分だけは核兵器を持ち、他の誰一人核兵器を持っていない状態を最善と考えている。アメリカは輸入車に25%の関税をかけると言い出した。嫌なら核ミサイルを撃ち込むぞと言い出しかねない。こういう事なのだろう。誰も反撃のできない状況を作り出し、アメリカが一番だと叫んでいる。こんな正義に反することが通用するのだろうか。アメリカに対抗するためには、アメリカに対して、核ミサイルを撃ち込めるようになるか。あるいは日本の様に属国になり、朝貢外交を続けるかである。アベ政権はトランプの言いなりになる属国の道を選択している。憲法改定を行い、核ミサイルを保有してアメリカの属国を脱するという道を考えているとも思えないが。

腕力の強い者が、腕力の弱いものを抑圧してかまわない。こういう不正義を世界は許していい訳がない。世界の弱いもの同士が団結して、アメリカに対抗しない限り、世界がアメリカに従わざる得ない結果になる。その原因は資本主義経済というものの原理にある。持てる者も、持たざる者も同じ条件下で競争することが、資本というものの競争の原理になる。これでは初めから、持てるものが有利な競争になるに決まっている。持たざる者が不満を主張すれば、経済封鎖である。これは戦前の日本も受けた処置である。これが戦争の直接的原因になった。今北朝鮮は核ミサイルを所有して、持てるものであるアメリカと武力的に対等な立場に立とうとした。ところが世界から経済封鎖を受けて、一方的な非核化を要求されている。当然の要求として、朝鮮半島からの非核化を要求したわけだが、アメリカはその要求を認めない。安倍政権も追随して認めないのであろう。在日米軍は持ち込まないはずの核爆弾を持ち込んでいたのだ。アメリカは何も譲る必要のない強国である。北朝鮮が不可逆的に核兵器を放棄しない限り、経済封鎖を解くことはない。これが唯一の選択肢だという事になる。

これでは北朝鮮にしてみれば、核兵器を放棄した後に想像される次なる要求を考えざる得ないだろう。非人道的兵器や、サイバー攻撃など問題は残る。金正恩体制そのものが崩壊させられる道が想像される。北朝鮮に核ミサイルを放棄させることは重要である。同時にアメリカも東アジアから、核ミサイルを引き上げる。当たり前のことではないだろうか。中国はどう考えているのだろうか。アベ政権もアメリカに対してそのくらいのことは主張したらどうだろうか。何でもトランプの尻馬に乗って、シンガポールまで出かけたとしても、蚊帳の外の会談になる。こんなアベ外交が素晴らしいなどという自民党の見解だそうだ。確かに世界を漫遊はしているが、具体的な成果などあったとは思えない。ロシアとの経済交流は下見をまた7月にするという程度だ。北方領土など何処へ行ったことか。この際トランプと米軍の核保有に関して交渉して、北朝鮮に対して恩を売って、拉致被害者を返してもらう位の知恵はないのか。

北朝鮮問題での日本政府の主体性のない対応には、失望せざる得ない。アメリカと北朝鮮の直接交渉を韓国の文大統領が仲介しようと努力しているときには、アベ政権は韓国の態度を繰り返し批難した。そして、北朝鮮が核実験を再開しようとしている動きがみられるなど、全く情勢の把握のできない情報把握力のない姿を世界に示して恥をかいた。今になれば、核実験場はすでに老朽化して使えないものを破棄しているなど、恥の上塗りの主張している。そして、いよいよ米朝会談が実現しそうになった現状では、アベ政権が主張した経済封鎖が効果を上げた結果、交渉が進められたと根も葉もない発言を菅官房長官は述べている。日本政府は、一貫性も主体性はない。ただ、圧力を高めろ高めろ一辺倒の無策である。もっとしたたかでなければ到底拉致被害者については交渉すら実現できないだろう。もし、米朝の交渉が成立した暁には、北朝鮮の最大の敵は日本政府という事になると考えた方が良い。独裁政権というものは常に敵が必要なのだ。アベソフト独裁政権にも朝鮮中国という敵が必要としている。

 

 

 

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