自衛官国民の敵だ。発言の奥にあるもの。

   

防衛省統合幕僚監部に勤務する30代の男性3等空佐が、民進党の小西洋之参院議員に「国民の敵だ」と暴言を吐いたとされる事件が起こった。これに対して、小野寺防衛大臣は報道陣に「若い隊員なので様々な思いもある」と3佐を擁護したともとれる発言をした。テレビのインタビューを聞いて、見過ごせない違和感を感じた。どうも自衛隊内部が相当に危ないようだ。この防衛省の3空佐は小西議員の国会での質問を聞いて、国民の敵発言をしたようだ。そのほかにも小西議員に対する、右翼からの嫌がらせ以前からあったようだ。もし、国会での質問に基づいて暴言を吐いたとすれば、それは自衛官として処罰されなければならない。国会での質問は免責特権がある。議論の対象とするのは当然必要なことだが、発言は発言として誰もが尊重しなければならない重さがある。気になる所は、自衛隊批判をする人間に対して、感情的な反発が、自衛隊内部に起きているというところにある。そしてそのことを、若い隊員だから無理もないと発言した小野寺防衛大臣の意識である。

自衛隊は命を懸けて国民を守ってくれている存在だから、批判してはならないというような、認識が広がっているとしたら大問題である。自衛隊は武力を保持している存在だから、国民の厳しい監視の下に存在しなければならない。それが文民統制というものである。軍国思想を持つに至った場合。自衛隊を退職するほかない。退職をして武力を持たずに自分の軍国思想を主張すればよい。自衛官である以上は、国の政策や自衛隊を批判する国会議員に対して、一切の意見を述べてはならない。それが自衛隊法の定めである。この3等空佐の発言がどのような意味を持つかといえば、国会議員は身の危険を感ずるかもしれないという事だ。自由な国会での議論を遮るかもしれない。発言を控えるという人が出てくるかもしれない。武力を保持した公務員の発言が制限されるのは当然のことである。

このことで分かるのは、日報が隠蔽されたという自衛隊の内部の意識である。イラクの日報でも、スーダンの日報でも、現場の隊員は戦闘地域にいるという実感がある。しかし、そのことを記録することはできないという政治的な立場。それでも事実を書いた隊員はいた。ただそのことは握りつぶされた。そして、そのことを書いた隊員は今どういう立場にいるだろうか。立場が悪くなっていなければよいが。となると、自衛隊員は立場を考えて、事実を書いていないのであろう。こうした形で、自衛隊員は苦しい立場にいる。そのはけ口が小西議員に対する暴言に表れたと思われる。これは極めて危険なことだ。戦前の社会を思わせるような、危険な兆候を感じる。そして、こうした隊員が現地で、先走ったことをやりかねないという事になる。その暴挙が、戦争の引き金になる。もうそういう事があり得ないとは思えない空気を感ずる。これが、安倍氏の主張する憲法改定の背景にあるものだ。

やはり自衛隊は廃止すべきだ。日本が戦争に巻き込まれる危険は、むしろ自衛隊が存在することによるのかもしれない。自衛隊がないと、中国が攻めてくる。自衛隊がいると、戦争を起こしかねない。今の日本の状況はどちらの可能性が高いかである。そういうところまで自衛隊の内部は来ている可能性が見えた。文民統制どころではないのだ。自衛隊の中には、ヘイトスピーチをするような人間がかなり存在するとしなければならない。そう出なければ、小野寺氏が若い隊員だから、いろいろの考えを持つのも無理はない、などという意見は出て来るはずがない。小野寺氏がとんでもない発言だ、許すことができないと明確に言えなかったという問題である。小野寺氏自身も小西議員を国民の敵だと内心考えている可能性はないのか。

 

 

 

 

 - Peace Cafe