ロシアに1兆円の投資
アベ政権はロシア外交を押し進めている。不安が募る。アメリカとの調整は出来ているのだろうか。ロシアに対して1兆円の経済協力を申し出ている。これはヨーロッパやアメリカにしたら、同盟関係を損なう行為である。ロシアに対してEUもアメリカも経済封鎖をしているのだ。そんな状況下日本だけが経済協力をするというのは、異常事態である。ウクライナからのクリミア半島のロシア併合が原因している。それぞれの言い分はあるところだろうが、ロシアは経済封鎖によって経済的打撃を強く受けている。このロシアの経済危機に乗じて日本が経済協力を交換条件にして、平和条約と北方4島の返還を求めるという事は、同盟国から火事場泥棒のように受け取られないかである。国家間の信義として、やってはいけないことを日本はしているのではないか。日本が同盟国から信頼を失って、大丈夫とは思えない。この利敵行為は必ずいつかお返しがくる。何故、ロシアと接近するかと言えば、北方領土の返還という事が出来れば国民は喜び浮かれると考えているのだろう。
こういう人気取りは無駄なことだ。領土というものを深く考えてみて欲しい。それはあればあった方がうれしいという事はあるが、それで利益が出るというものではない。相手がそれで恨みを持てば、日本の物にしたことが悪い結果になることもある。国民は総じて領土が増えればうれしいというような愚かさを持っている。そいうくだらない戦争も良くあることだ。しかし、国土が広がることが国益になるという事もない。ロシアや中国はあれほど広い国土を所有していながら、まだ領土欲があるようだ。それは強い政府を国民に見せたい。国民の支持を得る手法としてだろう。いまだ帝国主義を引きづっている姿だ。日本もまだ帝国主義の尻尾が生えている。強く大きな国家の方が偉いというような思想だ。そんなことは国民の暮らしという観点から見ればさしたることではない。地方が消滅する時代に、国境の小さな島など不要だ。
人口も多い方が良い。国土も広い方が良い。こういう考えは捨てなければならない。日本は日本という国土をどれだけ豊かな状態で保てるかである。日本列島は世界でもまれにみる豊かで美しい地域である。しかし、自然災害の頻発する地域である。ここを国土とした日本人は、この地域をより豊かに保つことに専念すべきだろう。国境の小さな島どころではない、国土の放棄が急速に行われている。日々消滅してゆく集落がある。無人島に変わる島も数限りなくある。人間は都市に集中し、地方は日に日に過疎化している。こんな状況下で国境の小さな島のことで道を誤ってはならない。尖閣諸島、竹島と日本は周辺諸国全てと領土問題を抱えている。それを国民の支持率を上げる得るために政治課題に挙げる。そして、憲法の改正を行い、また日本を軍国主義にしようとしている。石原氏が行った、尖閣都有地化もその一例であった。こんな状況の中で、北方4島の返還の為に、外交を誤ってはならない。
ロシアと経済協力を進めるという事は、アメリカとの関係を悪くするという事になる。そして、中国はアメリカ敵視政策を徐々に進めている。北朝鮮が核開発するのは、アメリカのアジア政策の結果だと、北朝鮮を支持している。これでトランプ大統領になれば、東アジアの緊張関係は高まる。北朝鮮の核武装を中国は巧みな外交戦略に利用している。領土は2国間ではなく、国際司法裁判所に提訴すればいい。あくまでその結果を尊重すればいい。ロシアへの1兆円投資の方が、北方4島の返還よりはるかに高いものにつくだろう。北方4島が日本に帰属したからと言ってどうだというのだ。ロシアのままであって、観光に行くぐらいで十分ではないか。北海道が過疎化してゆく時代に、投資するなら北海道に1兆円投資した方がはるかにましである。アベ政権は領土返還が自分に人気につながるという発想が見え見えである。人気を盛り上げて、憲法改定を目指している。