農業分野の外国人労働者の問題

   

 経済連携協定(EPA)で外国人の看護師や介護福祉士を受け入れて8年。インドネシア、フィリピン、ベトナムから計4千人近くが来日し、600人余が国家試験に合格した。一方、合格者の3割以上は帰国した。(朝日新聞)

日本では看護師さんや介護福祉士さんの不足を補うという事で、東南アジアからの人材受け入れを進めた。多くの優秀な方々が、日本の困難な試験合格を目指して頑張られている。テレビでも特集をされた。日本語での試験に合格しなければならない為に、仕事の合間に猛勉強をしている姿が映されていた。そして、600人もの方が合格されたという事である。年76名という事になる。あれほど厳しい関門を合格したのだから、相当に良い待遇になるだろうと思いきや、合格する前より、待遇が悪くなる場合が多いいのだそうだ。国の補助から外れ、日本の他の看護師さん介護士さんと同じ待遇になるという事になる。日本では看護師さんの待遇は良いとは言えないらしい。当然のことだが、期待していた状況と違うという事が出てくるのだろう。そもそも、日本人が給与や待遇が良くないので、人が集まらない分野なのだ。その為に、東南アジアから人を受け入れようという発想が間違いではないか。まずは待遇の改善から始めるべきだ。

背景に国家間の賃金格差というゆがみを利用して、海外労働力に頼るのは間違っている。アメリカの方が待遇が良ければ、アメリカに行けばよかったという事もあるだろう。同時に本国との賃金格差が縮小すれば、当然本国に戻る人も増加するはずだ。こうした問題は8年前にも予測出来たことだ。このブログにも書いた記憶がある。そしてアベ政権はいよいよ農業分野に本格的に労働力を入れる方針を出した。考えもなく、急場しのぎの利益目的である。単純労働力を導入するという事によって何が起こるか。日本社会の成り立ちからここは十分に考える必要がある。肉体労働者不足を外国人労働力で補おうというお手軽な発想では、後で後悔する。アメリカでメキシコ国境に塀を作れと騒いでいる。イギリスでは移民が仕事を奪うという事で、EUから離脱した。日本ではさらに厄介な問題が生じるだろう。日本は外国人というものに慣れが少ない。ただでさえ、差別的な国民性なのだから、どういう事が起こる想定しておくべきだろう。

日本の農地が外国人の労働力によって維持されて、食糧生産が行われる。大規模なプランテーション農業である。日本の食糧自給率を上げるという事になるのだろうか。食糧安全保障上では、安全が確保されたと言えるのだろうか。世界の労働力は流動的であろう。今はまだ日本の賃金の方が高いから日本に来る労働力もあるかもしれないが、近い内にそういう賃金格差は無くなる。その時に今より深刻な農業崩壊に至らないだろうか。今でも肉体労働を嫌う風潮である。世界中でそういう傾向は高まるだろう。嫌な労働を外国人にお願いする社会はまともとは言えない。農業を行う日本人は減少してゆく。日本人が肉体労働をしない民族になることは、日本の文化が変質することにならないか。瑞穂の国、美しい日本が失われるという事にならないか。

アベ政権は目先の経済に影響され過ぎだ。それはアベ政権の考えというより、アベ政権を動かしている経済というお化けの発想ではないか。外国人労働者の大規模農業に中山間地の小さい農業はさらに追いつめられる。辞めてゆくだけだろう。農業が無くなる地域は地域そのものが失われてゆく。かろうじて日本的なものを維持している地方社会が消えてしまえば、日本は無くなる。もしどうしても、プランテーション農業を導入したいなら、地方社会をどのように維持するのかを提案してからである。地方創生などと言葉だけが踊り、今日も失われてゆく地域があるのが現状である。第3の矢でも、地方創生でも、誰がやるにしても困難なことは分かる。しかし、看板だけ掲げて、一方で逆行ばかりするのはひど過ぎないか。

 - Peace Cafe