稲作における緑肥作物の効果の検証
稲作における緑肥作物の効果の検証
2015.10.8 あしがら農の会笹村 出
2015年の秋から2016年までの田んぼの緑肥の試験を行いたい。
114アールの田んぼに、5種類の緑肥を作付予定でいる。対象の田んぼは、
1、欠ノ上田んぼ30アール
2、舟原田んぼ20アール
3、山室さん田んぼ3アール
4、吉宮さん田んぼ6アール
5、坊所田んぼ相馬さん20アール
6、新永塚田んぼ20アール
7、永塚田んぼ15アール
合計、114アール
〇緑肥の種類は、
1、大麦
2、ヘヤリーベッチ
3、レンゲ
4、クローバー クリムソンクローバーと赤クローバー
5、菜の花
以上5種の緑肥を作る。5種の組み合わせも可とする。
〇田植え前に緑肥の乾物量の違い測定する。A 乾物量の測定は、平均的な場所を1㎡刈り取り乾燥してその重量を測る。緑肥の種類で乾物重量がどの程度違うかを調べる。
〇また土壌の変化を測定する。B 土壌は腐植の量を中心に測定を行う。
土壌の採取時期は1、秋の緑肥播種前 2、春の荒起こし前 3、秋の収穫後と3回として、測定をする。土壌は表土を取り除き、100グラム程度を。田んぼの4隅と中央部から採取する。混ぜて乾燥して、保存しておく。3回分がまとまったところで測定を行う。
C 緑肥作物の播種方法を記録しておく。時期や、バラ蒔きか、覆土したのかななお記録しておく。
D 緑肥の抑草効果の検討材料にして観察をする。
E そのほか景観作物等の、田んぼの観察を緑肥の観点から行い、検討する。
緑肥試験栽培の目的
有機農業の稲作においては、緑肥を作ると田んぼの土が良くなり、収量の増加にもつながるという漠然とした経験を何度も体験した。しかし、田んぼが良くなるために様々な試みを同時に行っていることもあって、緑肥の効果の具体的な検証が出来たわけではない。そこで、緑肥の観点から、来年の田んぼを眺めてみようと考えている。緑肥の効果の具体的検証方法に考えを持っているわけではないが、腐植量が田んぼの土壌に変化を与えているのではないかという、想定はしている。このことを具体的に把握するには、長期的な検証が必要になるのだと思うが、その検証のきっかけとして、5種類の緑肥を、7か所の田んぼで作り、緑肥栽培のでどの程度の量の緑肥が田んぼに戻せることになるのかを測定したい。
緑肥の栽培は、手をかけないで作れるということが大きな要素になる。例えば、播種の方法でもバラマキから、きちっとした筋蒔きの菜の花の栽培まで多様に行われている。もちろん5種類の緑肥作物によっても作り方は異なる。緑肥作物の作り方という点からも、比較してみたいと考えている。
有機農法においては、化学肥料を使わないために、そのまま連作を続けると、収量が下がってゆく。特に、稲わらを持ち出し続けてゆくと、3年目くらいから、地力の低下が起こる。稲わらをたい肥にして戻す方法が考えられるが、有機農法においては、畑などで稲わらを必要とするために、腐食質が減少してゆくことが考えられる。そこで、腐植質と、肥料分を補うための方策として、緑肥栽培が効果があると考えている。
もう一つ考えていることがある。緑肥のすき込みによる、田んぼの雑草の抑制である。田んぼの代掻き前に田んぼで緑肥を土壌に混ぜることになる。漉き込むタイミングによっても異なってくるが、田んぼで緑肥が発酵してゆくことになる。この発酵してゆく過程で雑草の抑制が起こると考えられる。これも、その時々で効果があるようでないような明確な結果はないのだが、米ぬかやソバカス(そば糠)を同時に使うことで、何らかの効果が起きているという、感触は得ている。
いずれにしても、農家の行う実証実験であるために、科学的な検証とまでは言えないことであるが、有機農業の実践的な事例の記録を残すことは有意義なことであろうと考えている。副産物と言えるが、景観として例えばはざ掛けがとても好まれている。良く写真を撮りに来る人がいる。稲むら、脱穀後の積み上げた藁束なども好まれている。レンゲや菜の花のような景観は昔からの農村風景であろう。はたしてクリムソンクローバーが日本の景観と言えるのか。あるいは、ヘヤリーベッチや麦などはどんな印象になるかも考えておく必要があるのだろう。