放射能を削減する稲作法
小田原では水田稲作に置いて、土壌放射能が50ベクレル程度で、玄米に50ベクレル程度のセシュウムが検出された。これはセシュウムの米への移行が土壌放射能だけとは言えないという事を表している。今年の稲作においてはこれが10ベクレル以下に抑えられるような稲作を目標に、耕作を考えている。少し方法を整理してみる。1、カリウムを施肥する手法は、草木灰のような物の内、安全の保証されるものを使用する方法。2、堆肥化した腐植質を入れる場合、地域由来の堆肥は放射能を含有する。また、一度吸着したセシュウムは又放出するまでの期間はどの程度か。3、天地返しは有効であるが、果たして、その労力や機械の使用が可能であろうか。4、これは全くの推定であるが、放射能が水から直接吸収されていないか。水からの放射能は土壌には蓄積しないほど、低レベルと予測されるが、イネの根が給水する可能性がある。入水口に何らかの方法を講ずる。
カリウムを施肥して、セシュウムの吸収を抑えるという考えである。この効果は理屈も分かりやすいし確かで、有効な手法と言われている。どんな有機農業で利用できるカリウムがあるか。身近にあるものでは、一番は鶏糞だろう。笹村農鶏園では草をたくさん与えている。一昨年の藁を相当量入れている。これを出来る限り田んぼに入れれば、カリウムの補給が出来る気がする。分析値は
鶏フン試料 水分 32.2 N 3.56 C 25.8 C/N 7.26 P2O 51.93 K2O 1.41 CaO 3.83 MgO 0.81 Na2O 1.89
一度の測定なので決めつけは良くないが、カリウムがあることは確かなので、冬の間に入れて見るのは良いかもしれない。資料を探してみると、「1トン中9キロから16キロが鶏糞たい肥中にはカリウムが存在する。」「鶏糞1トンには27キロのカリウム。」となっている。資料によりだいぶばらつきがあるが、水分量の違いがあるらしい。いずれにしろ、堆肥の中では鶏糞たい肥はカリウムは多いいもののようだ。
次に言われているのが、腐植質の藁、落ち葉、もみ殻などを大量に投入するという考えである。具体的には、草木灰にはカリウムが多く含まれる。6~7%として100キロで6~7キロとなる。これにはカリウムが植物には存在するということと、どうじに、腐植質がセシュウムを吸着するという両面から起きているようだ。しかし、小田原ものは計算上では、樹木や藁に100ベクレルあれば、30倍から50倍に濃縮されるから、1キロ4000ベクレルの灰を入れることになる。これは避けた方がいいだろう。輸入の草木灰となるのだろうか。100キロぐらいは入れる必要があるだろう。キロ800円として、8万円にもなる。これは東電は出してくれるだろうか。ただし、炭は陽イオンで良くないという説もあるが、灰はどうなるのだろう。
さらに、耕作法として深く耕すか、天地返しをして、表土5センチに存在するセシュウムを拡散及び埋め込むという方法が言われる。これは出来る限りやってみるしかない。やった方がいいに決まっているが、大型機械がない、又入れない。やれる範囲でやるしか仕方がない。根が深くはいることが、効果があるようだ。浅い表面に根が集中すると、水根となりセシュウムを集める可能性がある。不耕起の田んぼでは少し高くセシウムが検出されている。今年は草が出ることがあっても、できる限り深く耕してみたい。
水に問題が存在するとして、溜池を作り池底にセシュウムをとどめる手法も考えうる。昨年の経験では、溜池の土壌放射能の濃度が高まるようなことは無いレベルのようだ。溜池より田んぼの方が方が土壌放射能が高かった。溜池の作り方が重要であろう。つまり、水に混入している状態が良く分からない。溶け出しているのか、落ち葉のようなごみに付着して流れて来るのか。先日久野川上流で測定した、落ち葉は50ベクレル程度で、意外に低かった。しかし、これが水に混ざって流れるとすれば、イネが吸収する可能性は高い。
いずれも長所と短所がある。また、地域自給や有機農業考え方に反する方法もある。このように集荷場で話したら、放射能は他所から飛んできたのだから、この際対策に他所からのものを入れるのも止むえないだろう。こう言われていた。一理ある。