地域の暮らし
先日消防団に入っている若い友人と、地域の事を話した。彼の熱意にとても感銘を受けた。彼は最近松田町に引っ越して住んでいる。松田に戻ってきたのは、両親が大井町に暮らしていて、震災以来近くに暮らしたいと考えたからだそうだ。松田に越してすぐに、陸前高田の被災地の支援の募集があり、参加したそうだ。この時に松田町の人たちの積極的な姿勢と、団結力に驚き、尊敬した。それ以来、地域の人間関係を作り出す事がとても重要だと思うようになる。消防団で集まって飲み会をする。お酒を飲まないから、とても苦手だ。案外に飲み会があるから消防団は厭だと言う人が多いいそうだ。しかし、日常の交流が無ければ、緊急防災には対応できない。地域の人が集まる、リクレーションを考える必要がある。楽しいことで集まり、お互いを顔の見える関係にして行くと話していた。私が住んでいる舟原は、5つの地区に分かれている。今度、第5地区が分かれて、5と6地区となる。
新たに出来る第5地区に、私の家は所属することになる。この地区は12軒である。その内、5軒はつい最近越して来た方達で、顔と名前がまだ繋がっていない。一軒自治会にはいられない家もある。殆どの家族の事を知らない。当然電話番号も、緊急時連絡先も知らない。この第5地区は、国の指定した土砂災害準指定地域である。防災に関しては、要注意地区で開発は特別の許可が必要、と言うことになっている。最近、舟原地域の外れに当たる場所で火事があった。昼火事ではあったが、留守の家で出火したらしい。留守と言うことと、乾燥していたということもあり、全焼になってしまった。もし、私の地区で災害があり、中に人が残っていないのか、家の人に連絡はどうしたらいいのか。こうした場合、情報はどうしても必要である。しかし、この時代個人情報はとても慎重に扱わなくてはならない。まずはご近所として、互いの事を必要最低限は知りあう必要がある。さてどうしたらいいのだろうか。
この災害指定地域での情報管理をどうするかと言うことで、行政に聞いてみた。方針はどうもまだ整理されていないようだが、一つには情報袋を作り管理すると言うのがあるという話を聞いた。必要な情報を話し合い、それを各自が封筒に入れ密封し、さらに全体を大きな袋に入れて密閉して管理する。そしていざという時にだけ開いて、連絡をとるなど利用する。確かに、そのくらいのことは最低限必要なことかもしれない。互いの、プライベートは出来る限り尊重すると言うのが、この時代の暗黙の合意のようでもある。こういうことを個人が提案するのも憚れる気がしてしまう。そういう場合、行政が方針を決めて方針を打ち出すのが、公共的な対応であり、良い事だと思うのだが、行政は及び腰な感じであった。そう言うことは地域地域が育てるものでしょうと言う、事であった。もっともではある。その松田の友人も、その程度ではいざという時には、たいして役立たないと言っていた。
自治会の活動への参加が減少している。私自身も参加することが出来ない場合が多い。例えば、舟原自治会では正月1日の1時から、恒例の集まりがある。参加率は年々減少し、今年は20軒を割っていた。20%位の参加率である。昔は何をさておいても、正月に顔を合わせることが当然であったのだろう。そうした昔からの空気が変わろうとしている。ではどういう風に変わるのが妥当なのかといえば、私にはよく分からない。初めてだと思うが、自治会からの回覧の連絡に、「出席できないものは、組長に理由を伝え、委任すること。」という一項が書かれていた。自治会を担う方々が、とても苦労されているだろう。自治会と言うものが、地域と言うものが、個々人の暮らしとどのように関係しているのか。いないのか。それぞれが、自分の時間に追われる暮らしのなかで。それでも防災だけは、不可欠なものである。M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研と今朝の報道にもある。どうして行けばいいのかと思う。