青年就農交付金

   

青年就農交付金と言うものがある。「新たに就農しようとする青年等に対し、就農に必要な資金を長期・無利子で貸し付けることにより、新規就農を支援します。」とうたっている。【新規就農者の育成・確保】新規就農者数及び雇用就農者数(39歳以下)毎年15,000人程度。このように政府は目標を掲げている。果たしてこの制度で就農できる青年がどの程度いただろうか。目標に達したとは思われない。この制度は、続けられている。既成農家が続ける条件がない所に、いくら資金は貸し付けるからと言って、農業者が増えるとは思えない。事例として採卵養鶏があげられている。初年度2200万円を借りて、600羽の養鶏を始める。3年後には1800羽の養鶏農家に成れる。農水省の想定しているような養鶏農家は、ないので間違わないようにしてほしい。2200万円ものお金を、どうして返済できるというのだろう。この間新たに就農した青年は暮らさなければならない。自分の暮らしにギリギリのはずだ。

この資金を借りる人がいるとすれば農家の子供であろう。自分の家の農業の方向を変えてやってみようと言う人だろう。すでに野菜や、稲作農家であり、新たに息子さんが新しい方向でやってみようと言う時に借りるお金に見える。息子さんが勤めていた会社が、倒産したので家の農業を継ぐことにしたい。こういう人が知り合いにいた。その時に資金を借りてハウスを作って、トマトかイチゴの出荷をしようか、など検討していた。場所もあるし、住宅もある。それなら出来るのかもと思っていた。始めないなと思っていたら、再就職したと聞いた。職があればそちらを選べるひとは、農業を始めない。まだお父さんもお母さんもお婆さんまで元気だから、お金は借りてハウスだけ作る方法はあったのだけど、等話していた。少し違うけどと聞いていた。昨年の新規就農者数は5万4,570人となった。とあるがそんなにいるだろうか。ここには、農業法人に勤務した人も入っている。それでも、前年に比べ1万2,250人(18.3%)減少。毎年1万人は減少しているので、後5年したら新規就農するものはいなくなる計算だ。

ヨーロッパでは農業者数は増加た。どんな政策をしているかと言えば、就農すると言うだけで、給与に近いものがもらえるのだ。フランスに暮らしていた、38年前ヨーロッパは農業離れで大きな転換が起きていた。その頃農家になるだけでお金がもらえる制度が出来た。ドイツでもフランスでも荒廃して行く、耕作放棄地を前にそうした大胆な判断をした。若い夫婦が農家になれば月々30万から60万円位もらえるのだ。ナンシ―大学の学生の間でも話が出ていた。実はドイツで農家なので暮らせるのだ。それで夏の間勉強に来ていると言っていた。ドイツでは若者であるだけで暮らせるのだと言うので、まったくどういう制度かと思っていた。日本と同じ焦土となった敗戦国ドイツが、そう言う政策を通して、困難な東西統一を成し遂げ、いまや環境立国の模範国家に成っている。何が違うのだろう。フランスでは、この制度によって40歳未満の農業者が増加、1970年には15%だった就農者数が03年には29%まで増えた。新規就農者に占める40歳未満層は6割を超え、青年就農交付金受給者の10年後の定着率は95%あるという。

日本がこのように行かない原因は既得権の擁護が優先されるからである。新規就農と言っても農家の子供をどうすれば有利になるかが、優先課題になる。外部から参入することは、内から外からたくみな排除をする。原子力マフィアだけでなく、農業マフィアもいる。政治家はおおよそそうした規制団体の利権を背景に存在する。道路マフィアもいれば、医師会マフィアもいる。自分の子供はかわいいが、他所の子供はどうでもいいのだ。これは白人と東洋人の歴史的違いもある。お家大事、わが藩大事、が身についている。野田新政権では、ここを打破してもらいたい。ヨーロッパ並みの、農業に志を持つ若者が等しく暮らせるようにする。ヨーロッパは40年かかって、見事に農業を再生した。日本も40年かけてもう一度、瑞穂の国になろう。いま20歳の青年が私の年になる頃を目標にしよう。

昨日の自給作業:イノシシ罠2時間 累計時間:6時間

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