小田原市のメダカの保全
栃木県で古代のメダカの遺伝子を保持した系統が見つかった。その報道である。日本に生息するメダカは、大きく3グループ15集団に分類される。栃木県内では「関東固有集団」「東日本1」「瀬戸内」「北部九州」など6集団が生息しており、大半の生息地には複数の集団の個体が混在していた。しかし、市貝町の小貝川と那須烏山市の大川の計3地点ではサンプル採取した計88匹すべてが「関東固有集団」で、単独生息地と判明した。小田原市の酒匂川鬼柳、桑原地区に生息する小田原メダカも神奈川県に残る唯一の固有種として、記録されている。小田原市ではこの貴重な野生メダカを市の魚として、取り上げ保全活動に力を入れてきている。メダカを市内の家庭に配布し、増やしてもらう活動「メダカのお父さんお母さん制度」を続けている。同時に生息地の保全して行くために、地域の自治会や、生息地を守る会保護団体と協働して、小田原メダカ会議を続けてきた。
この4月の恒例の市役所人事異動で、環境保護課のメダカ担当者は新任の人に変わった。以前の人はとても良く勉強されており、メダカの専門家ともいえる知識を持っていた。新任の方も熱心ではあるが全く知識のない人である。先日の久野川の魚の大量死の事件でもわかるように、環境保護課では何かと、ちぐはぐなことが起きている。環境保護課でヒメダカの配布を行っていたのである。「メダカをおわけします」と張り紙があったので、あれっと思いつつ、実は、、、産地は市役所の噴水の池。あきらかに、ヒメダカが混じっている。調整池やヒョウタン池の駆除のことも、情報としては知っていたようですが、市役所のめだかが、それらと同等なものと思えなっかったのか、駆除したメダカの処理方法の伝達がうまくされていなかったのか、とにかくちゃんと遺伝子のことが認識されていなかったことに驚き。もし、小田原メダカの遺伝子に、緋メダカの遺伝子が交雑したら今までの努力がすべて水の泡に成ってしまう。このような緊急報告が、メダカの保全活動の会の代表から入った。
めだかの保全で重要なことは、メダカの固有性なのだ。そう言うことを市民にも、行政にも理解してもらうために、シンポジュームを何度も行い、徐々に認識を高めてきていたと喜んでいた。その昔、加藤市長もシンポジュームの司会をしたこともあった。それが今に成ってこんな事態が起こるとは全くの後退である。水も淀めば腐敗をするというので、人事異動があるのだろうか。いつも引き継ぎと言うことがない。情報が断ち切れて0からの再スタートに成る。腐れ縁を断ち切るのは大切なことだが、メダカを何故保全するのかの意義すら確認できないようでは、行政の一貫性と言うものが維持できないだろう。本来生涯を通しては同じことをするくらいの専門性が必要な仕事もある。行政職員が交代しなければならない理由もあるのだろう。それならそれでしかがたない。交代に際しては、1カ月程度の担当部署の前任者と重なる研修勤務を行うべきだ。そして何が大切な部署なのかを、十分に知らなくてはならない。
今までにも役所に行って余りに前任者と話が食い違いで、前任者に立ち会ってもらったことが何度もある。その時思ったことは、こうして担当が交代することで、行政は責任逃れをしているということだ。市長も議会も変わる。市の施策も変化する。行政の職員も人間だから、協働している間には心が通い合い、つい永続性の必要な将来のことにまで口にしてしまうこともある。それが人間だから、夢を語り合うのが当然だと思う。その位でなければ協働と言う形で一緒に仕事は出来ない。しかし、市長も議会も変わり、市の方針も変わる。市民協働と言う時に、こういう行政の一貫性のない体制を変えなくては、市民側が小田原を良くしようと、どれほど入れ込んでも、空しい結果に成るだけである。行政職員は、時期が来たら交代する、その期間だけの機械的な役割に成ることで自分を保つ。これではいい職員が育つ環境とは言えない。
昨日の自給作業:田んぼの草取り3時間 累計時間:45時間