参議院選挙の結果
参議院選挙は盛り上がりもないまま、しぼんだように終わったが、いよいよ政治の停滞と混乱と、そして、再編が始まるのだろう。このままでは、民主党政権はにっちもさっちもいかない。民主党はほどほど議席を確保したと思う。もっと落ち込むのではないかと想像していた。このあたりが有権者のバランス感覚というところか。鳩山政権末期の沖縄差別の結果は、こんなものではすまない空気だった。さらに引き継いだ管政権は、アメリカに隷属的に従うことを早々と表明し、沖縄を切り捨てた。沖縄の歴史的な差別状態を温存することを宣言したのには、まったく驚いた。その上で、消費税増税を表明し、有権者の視界から沖縄を消した。報道各社は打ち合わせたかのように、一斉に沖縄基地問題を無視した。消費税は、本来選択の余地がない。自民党は以前から、10%である。これに追随した民主党が10%と表明したにすぎない。何が消費税選挙であるか。
その意味で社民党がもう少し支持を伸ばせなかったか、残念でならない。一部労働組合の支持がほしいあまり、最低賃金1000円などと発言する無定見。9条以外の政策の不十分さが露呈したのだろう。何故本格的な社民党の経済政策というものが出てこないのか。農業政策に至っては、無いに等しい。この点では共産党は少しましである。政策全般にに内容がある。社会全般に目も行き届き、農業分野でも意見がある。それなりの整合性もあるし、なかなかのものではある。しかし、今更共産主義でもないだろう。この時代離れは、共産党の議員の暮らしを見ればわかる。なるほど共産主義者だというような暮らし方をしている議員を見たことがない。思想観念と実生活の遊離。これでは共産主義を表明するほどの説得力がない。過去を引きづり、ぶら下がっているようにしか見えない。
社民党、共産党が平和勢力の受け皿にならないとしたら、どこに投票をしたらいいのか。民主党の中にも、自民党の中にも、平和勢力と呼んでいい人はいる。その結果外交という、国の根幹が、置き去りにされた選挙がまた行われた。選挙が終わっても、国会運営の連携が話される場面でも、消費税ばかりである。肝心のこの国の外交および安全保障の方角など少しも論議されていない。国の存立の基盤が論議されないまま、当面の目先の経済運営方針ばかりになっている。国政選挙が、市町村選挙のようになっている。このままでは、地方分権が税的にも経済的にも進めば、街灯の設置や下水道が政治のすべてになる。足元からは悪くないのだろうが、いつまでも沖縄をアメリカに売り渡し、被害者的状況に凍結し、見ないようにしている訳にはいかないだろう。
自民党の比例候補として、宇都隆史さんが当選した。この人は航空自衛隊に勤務し、松下政経塾を出た。農業分野で国お越しをしたいと、報徳農場を手伝っていた。その縁で小田原有機の里づくり協議会の立ち上げでも協力をいただいた。色々話す機会も多かったのだが、とても好感のもてる青年であった。農業分野で組織の立ち上げを力説していた。選挙に出ると言うので、とてもがっかりした。源田実氏の時代から、参議院では自衛隊議員が出ている。前回はきわめて好戦的思想のイラク派兵の佐藤氏である。その意味では、宇都氏はそこまで頭の固い自衛隊出身者ではない。選挙では全面的に憲法改正を主張している。国を思う気持ちは佐藤氏以上かもしれないが、その思いが農業分野に向かうような人間である。どこまで政治の世界で力を発揮できるのか。また、彼の思想がどのように成熟してゆくのか。どんな活動をするのか。期待して見ていよう。