派遣村のその後
派遣村の登録者は630人いたそうだ。そのうち実行委が現在住所を把握している人は260人。その人達にアンケートを行った。回答を寄せてくれたのは108人。就労が確認された人となると、わずか13人という。この結果をどう考えたらいいのか。就労しない90%の人は、適職がないからより、働く意欲が弱いと考えた方がいいのではないだろうか。働く意欲が弱いと言う結果を、一言で行ってしまうと、日本の社会のあり方が大いに関係している。それは教育や社会環境や格差と呼ばれる企業体質がある。と同時に、働きたくない本人の問題とでもある。派遣切りが言われた時両論に分かれた。派遣と言う制度を悪用した、企業の利益至上主義批判。一方、派遣と言うような宙ぶらりん状態を望む多くの就労者の意識の問題。資本主義経済の金権主義、とも言える人間不在。価値観の喪失に伴い、自己存在の方向づけが出来なくなる個々の人間。経済的成功から脱落した時、経済以外の価値の存在に目が向かない現実的絶望感。
自殺者が予想どうり、過去最悪のペースらしい。生きる力の衰退。日本という国家の仕組みの問題であり、同時に地域社会の崩壊しかかっている姿である。過去の地域社会が良かったなど少しも思わない。むしろ、堪らない、ひどい地域の仕組みであったが、良くも悪くも目が行き届いていた。個人主義が尊重され、個人が生きると言う事は、あくまで個々人の責任と意志が尊重される。と言う建前なっている。社会とい枠組みには方向性もいらないし、価値観思想もなくていい。私もそうした思想の真っ只中で、教育を受け、主張して生きてきた。所がこのやり方では能力主義、金権主義が巾を利かすようになってしまった。弱肉強食。大・小の「ホリエモン」が蔓延る社会。そう言えば、自民党から立候補までした。勝者の思想。日本はどこに行けばいいのか。
生活保護者の増大。働きたいが、職業がない。そう言う事ではない場合の方が多いい。あえて言いきってしまえば、気にあう職業がない。働く意欲が弱い。その原因は個々で、まるで違う。こう言う、書きたくもない、暗い話を書いたのは、農業の就業が若い人の間で増えてきたことだ。農水関係で、4月15日から6月30日までに雇用された2500人のうち、農業1226人、林業1081人、漁業53人の計2360人。目立ったのは20代。農業では43%、林業では27%、漁業では38%と、いずれも最も高い割合を占めた。次いで30代で、農業では30%、林業で25%、漁業で28%に上った。最も雇用数が多い農業では10代も8%おり、8割以上が30代以下となった。この事実を見ると、若者こそ期待できる。その兆しが見えて、嬉しくなったのだ。
農水関係の仕事が、見直されてきている。日本はこの若者達の行動に、希望をかけるしかないと思う。国はこの流れが本流になるよう、最大限の力を注ぎ込むべきではないか。今、行うべき投資は、将来の日本のための投資でなければならない。15兆円もかけた補正予算の行く先は、現在苦しんでいる企業の救済が主目的になっている。これはカンフル注射のようなもので、一時的には凌げるかもしれないが、根本的課題解決には程遠い。意欲を持って農林水産業に就農した、若者達。雇用してくれた様々な組織を、なんとしても盛り上げて欲しい。こうした、身体を使って、食糧を生産しようという素晴しい青年達がいる。これはとても貴重なことだ。健全な日本の兆しではないか。身体を使って働く意志のある若者の生活が、成り立つような社会でなければ、健全な社会とは言えないだろう。