うどん打ち

   


うどんを切る道具を買った。玄さんの讃岐うどんの会で使っていたものだ。誰でもきれいに切れるので、これは買わなきゃと思っていた。小宮さんのブルーベリー園の夏祭りで、「手打ちうどんの会」をやる。それにあわせて購入すれば、都合がいいと考えていた。買いに行く時間もないので、ネットショッピングだ。同じようなものが3万円を越える価格から、17000円まで色々あった。当然安いところで買った。いつもそんないい加減な買いかただけど、おかしなものが届いたというようなこともない。たぶん小田原の商店では置いている店はないだろう。取り寄せてもらおうにも、たぶん相当厄介な、時間のかかることになるだろう。当然、3万円は越えるに違いない。包丁で切ればいいようなものだが、うどんはまだしも、ソバでは熟達しなければ、無理な事だ。それが実に簡単にこなせてしまうのだから、たまにうどんを打ちたくなる、素人にはうってつけの道具だろう。

小宮さんの夏祭りの予行演習で、今晩はうどん打ち大会だ。みんなでうどん打ちの練習をして見る。うどん打ちは簡単だ。初めての人でも食べれるものが打てる。ホウトウより、讃岐うどんなら、もっと簡単だ。ホウトウは打ち込みうどんで、生のうどんを汁のなかなに入れ込んで煮てゆく。うどんをのばす時に、粉をつけるとこれが、汁をねばねばさせてしまう。出来るだけ、水を減らして、硬く打ち、打ち粉を少なくするのがホウトウのコツだ。打ち粉は小麦粉より、コンスターチか上新粉の方が延びがいいと教わった。今夜これも試してみる。茹で上げて食べるのだから、打ち粉は幾ら使っても大丈夫だ。塩水を用意して、それで練っていくのだが、この塩水が10%もある、かなりしょっぱいものだ。どの程度が適量かも、これも今日のチェックポイント。

夏祭りでは、あしがら産の小麦が使える。これはこれは貴重なものだ。今低温倉庫に寝かしてある。小麦は熟成が必要だそうだ。杉崎さんが生産した物だ。大変な苦労だったようだ。本当は販売したくないそうだが、農の会のためなら、提供してくれると言う事になった。私も以前は山の畑で小麦を作っていたので、その大変さは良くわかる。スズメにやたら食べられる。その大変な時に田植えと重なる。それで諦めていた。来年は畑で3畝作るつもりだ。そうすれば40キロは採れて、30キロあれば粉にしてもらえる。10キロは醤油の醸造用だ。小麦粉は買った物と、作ったものとでは、まるで別物だ。小麦の香りのプーンと匂い立つ感じは、えもいわれぬ物がある。子供の頃毎晩食べていた記憶が蘇る。釜揚げの温かいうどんに、うちの卵を絡ませる。そこに醤油をたらす。これは間違いなく素晴しい。

うどん屋さんのうどんを美味しいと思ったことが、めったにない。もちろん具や、たれはさすがだと思う。でもどうしても、小麦の美味しさから離れている。小麦だなぁー。という材料に到る、シンプルなおいしさにかける。だから、うどんの方がソバより好きなのに、店では大抵そばを注文する事になる。これが、小麦というとパンと言う事になった原因だとおもう。小麦粉がうどん用の昔のようなものでないからだろう。これが、そらやさんの粉を分けてもらって、この感じを思い出したのだ。残念ながら、そらやさんもあまり粉で売るのを好まない。私はキロ2000円は当然だと思う。それだけの手間がかかる。うどん用の小麦にはそういう価格のものは、幾らでもある。所が世間の粉はバカ安い。国産でも安い。補助金がらみだ。こういうあたりは、自分で作ったことのない人には、理解しにくい所だろう。

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