武力主義の先にある戦争

安全保障があるから、ひとがケンカをしかけてこないんだろ。子どものときにいじめられた子。弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられないんだって。違いますか。国もおんなじよ。強そうな国には仕掛けてこない。弱そうな国がやられる。そういうもんでしょうが。「やり返される可能性が高い」と思われて、はじめて抑止力になる。自民党ーーー麻生三郎氏
情けないが、多くの人がこの麻生氏のアジテーションに賛成しそうである。しかし、この考え方は必ず武力主義国ロシアが表われて、自分よりも弱いと思うウクライナを侵略する。ウクライナはそれほど弱い国ではなかったことが、今になって見えてきただけのことだが。
ロシアも、ウクライナも精一杯武力主義で進んできた国だ。その結果一方的な侵略戦争が起きた。武力競争を始めれば、必ず強い国と弱い国が出来る。その結果強いと思う国は弱そうに見える国を攻撃することになる。そういうことを容認してしまうのが、武力による安全保障だ。
武力による抑止力という考えにまったく効果がないと言うことではない。確かに強い武力があれば攻めようと言うことはなくなる。しかし、日本の現実を考えれば、中国よりも圧倒的に強い、武力を持てないという現実がある。
まず原発の保有が出来ない。だから北朝鮮はアメリカにやられないために原発を保有し、アメリカまで届くミサイルを開発している。抑止力だけで言えば原発が最有力だ。しかし、それでも安心などないのが、核による安全保障である。
それで作られているのが軍事同盟である。ナトウと言うヨーロッパの軍事同盟にウクライナは加盟しようとした。もし加盟すればそれからではロシアは遅いと考えて、あわてて軍事侵攻をしたのだろう。と言うことは軍事同盟はロシアのような無謀な国にも効果があると言うことなのだろう。
日本はアメリカと軍事同盟を形成している。これが安全保障の中心にそえられている。アメリカは日本を守る見返りに日本に軍事基地を確保し、自由に利用できることが約束されている。日本の基地がアメリカの安全保障になっている。
そしてアメリカは日本に対してもっと中国やロシアや北朝鮮を攻撃できるミサイル基地を増設しろと要求している。それが沖縄の軍事基地である。琉球列島にミサリル基地が出来れば、今度は米軍にも自由に使わせろと言うことになるだろう。すでにそういうシナリオで進められていると考えた方が良い。
中国やロシアを監視する基地を日本中に作れとも要求する。アメリカの兵器を沢山購入するようにも要求する。思いやり予算というように、アメリカ軍に対して一定の負担金を払ってきた。反社会的勢力へのみかじめ料とほぼ同じだ。アメリカにしてみれば、日本が都合の良い無料で使える軍事基地だ。
確かに日本の安全保障はアメリカの武力によって、70年以上の長きにわたり守られた。それは感謝しなければいけないものではあるが、当然のことであるが、アメリカの戦争に加担してきたと言うこともある。直接、間接に戦争日本も参加させられてきた。
今ウクライナの戦争にも日本は参加をしている。ロシアの暴挙はまったく許されないから、日本が費用を負担するのは止むえないところがある。又難民の支援などは積極的に行うべきだとも思う。その一方で日本は戦争は終わりにさせる平和的な努力をしなくては成らない。そのように日本国憲法には書かれている。
武力主義で平和が続かないことは歴史が証明している。いじめられている子供がアメリカでは教室で銃で乱射をした事件がある。強ければやられないどころか、いじめられている子供に強くなれと教師が指導したのでは、解決は出来ないのが虐めだろう。
いじめの問題はいじめられる側の問題ではなく、いじめる側の問題である。教育はいじめを行うような人間を作っては成らないのだ。いじめっ子が登場しないような、社会を作らなければならない。それが普通の考えである。日本では元総理大臣が問題がいじめられっ子が弱いことにあると言う暴論を平気で発言する。
そこまではまだいつものことなのだが、問題はそれを受け入れて支持する多くの有権者である。日本の社会は軍事的に中国に対抗しなければ平和は維持できないと言う人が多数派になりつつある。それは間違った考えなのだが、日本人には仮想敵国中国として、政府によってすり込まれてしまった。
これは間違った考えである。平和憲法では中国に問題があるなら、その解決は平和的努力で行えと政府への指示がある。ところが日本は平和的努力をしてこなかった。アベ政権に成って以降は、むしろ軋轢を強めるための努力だけをしてきた。
尖閣諸島の問題を見れば明らかだろう。問題は棚から下ろしたのは石原慎太郎だ。中国を刺激して、軍事進出をするように仕向けたのだ。中国が尖閣周辺に出没すれば、日本人も目が覚めて自衛隊を軍隊として、軍事国家を受け入れるだろうという作戦である。ほぼ成功させたのがアベ政権である。
ウクライナが侵攻される前の状態を見ると、ウクライナは戦争をやらないで済む方法はあった。アメリカはロシアが北京オリンピックが終われば、ウクライナ侵攻を行うと繰返し忠告をした。ところがウクライナ政府は戦争の阻止に向けて、ロシアと交渉しようという姿勢がまったくなかった。
その時点での一番の問題はウクライナのナトウ加盟問題であった。それなら、ナトウに加盟しないという前提でロシアと交渉すべきだった。安全な状態で加盟するためには、加盟しないという姿勢を見せておくべきだろう。
ロシアとの交渉をして、国土を譲ることになったとしても、戦争になるよりははるかにましだ。ウクライナはナトウ加盟をむしろ交渉の材料にして、もてあそんだように見えた。いつもそうだが、戦争の半分は独裁者の個人的な問題が原因する。
日本も同様である。中国と本気で尖閣問題は解決する努力をすべきだ。尖閣を日本の軍事化の材料に使用などと、もてあそんでいると、本当に軍事衝突になりかねない。ウクライナの戦争で漁夫の利を得ている国は多い。日本が戦争になれば、誰が得をするのだろうか。
国会は与党が憲法改正の3分の2の壁を越えた。いよいよ憲法改正が始まるだろう。後は国民投票である。日本の平和主義は世界の唯一の平和の希望である。これがダメであれば、必ず第三次世界大戦である。そうなる前に、平和的努力をやってみるべきだろう。中国と尖閣問題で話し合いの場を持つべきだろう。