イスラエルに考えて欲しいこと

   



 イスラエルに日に日に迫るガザ侵攻前に、考えて欲しいことがある。私はパレスチナにだけに正義があるとは考えていない。第二次世界大戦でナチスにホロコーストに遭ったユダヤ人が、約束の地に建国したことは一つのやり方だと考えている。その前提文章を書いている。

 戦争をして何が得られて、何を失うかである。確かに、今回の件だけで言えば、明らかにハマスがわるい。突然イスラエルに侵入して1000人を超える人を虐殺して、200人を人質にしたのだ。それは、どれほどパレスチナの人達がひどい目に遭っているからと行って許される行為ではない。

 こんなことをされて黙っている必要は無い。当然仕返しでガザに侵攻をしても、国際法の国を守る権利から判断すれば、許される遵法行為の範囲になるであろう。黙っていればまた同じことが繰り返される可能性が高いからである。殺人犯を許す必要は無いと国際法は考える。

 しかし、そうであるとしても、イスラエルにはもう一度考えてみて欲しいことがある。もしガザ侵攻でハマスを殲滅できたとして、パレスチナ問題がイスラエルの臨む形での解決になるかである。それは全く期待できないことである。腹が立ちの仕返しが出来たとしても、結果は良くないのだ。

 今回のガザ侵攻で、多くのイスラエルの若者が死ぬだろう。ガザで死ぬだろうパレスチナ人よりは、死者は少ない可能性は高いだろうが、何千人もしかしたら何万人のイスラエル人が仕返しの戦争のために死ぬのだ。間違いなく、今回殺された1000人よりも、多くの人が死ぬことになる。

 そして、ハマスの兵士が推定だが1万人居るとしてその周辺人員が2万人くらい居るとされる。その3万人を殲滅するためには、間違いなく十万人のパレスチナ人の住民が死ぬことになるだろう。その戦争で殺されることになる10万人には家族が居ることだろう。

 父や母を殺された子供は、新たなるハマスになる可能性が高い。新たな過激派を生む戦争になる。パレスチナの住民を殺す都度、次なるハマスを生み出していると考えなければ成らない。その兵士の訓練を引き受けるアラブ諸国は多数存在する。

 どうもこの戦争の目標であるハマスの殲滅は不可能と考えなければ成らない。ハマスが居なくなるのは、完全な平和が達成された時代を待つしか無い。戦争が新たなハマスを生み出す戦争になりそうだ。それはイスラエルだけの問題ではなくなる。世界中が自国の不安に直面して、イスラエルに対する支持の熱意を下げてゆくに違い無い。

 さらにまずいことが起こる。近隣アラブ諸国の過激派がイスラエルという目の前にして、共通の敵を持つことである。ガザ侵攻が始まれば、当然アラブ諸国が黙って見過ごす事は無いだろう。アラブ諸国にはイスラエルの殲滅を国是としている国が多いのだ。

 アラブ諸国が直接介入しないとしても、ハマスと共闘してイスラエルを攻撃する、シリアのスンニー派組織「ヌスラ戦線」 。レバノン南部を中心とするヒズボッラ はイランの支援を得ている。間違いなく、ガザ侵攻に関わってくるはずだ。

 簡単に終わる戦争ではなくなる。長期戦になる可能性が高い。さすがのアメリカも、本格的なハマス殲滅戦争となれば、負担が大きくなりすぎて、耐えきれない可能性が出てくる。アメリカはすでに、対ロシアのウクライナ戦争の全面支援を抱えている。

 アメリカの経済戦争の正面の敵である中国は、ますます独裁国連携を強めている。どの戦争からも漁夫の利を狙い、経済でアメリカに迫りつつある。世界各国はいよいよイスラエルを全面支持すると言っても、限界があるはずだ。アメリカ大統領がガザ戦争で変ることになるかも知れない。そうなれば、イスラエルの支援は先細りになる可能性もある。

 日本のように石油をアラブ諸国に依存する国は、いくらアメリカの付属のような国の立ち位置であるとしても、さすがにイスラエル支持を強くは打ち出せないことになる。日本だけでなく、その点ウクライナ戦争とは違ってくる国は少なくないはずだ。

 つまり、戦争によってパレスチナ問題の解決はない、と言うことは明確なことだ。イスラエルが有利になる一番良い選択は、ここでイスラエルが我慢をすることだ。軍事侵攻をしない代わりに、平和交渉をすることだ。我慢する代償として、平和交渉を有利に導くことが、イスラエルの国益だ。

 冷静に考えれば、戦争を避ける平和の交渉だけが解決方法である。日本国憲法に示されている。イスラエルの人達は極めて優秀である。例えばコロナへの対応も、コロナ出現の直後に、一番優れた方法は年寄の外出禁止だと、方法を提示した。今考えて見ればそれが確かに、良かったのだ。ところがその選択を出来た国はなかった。

 中国や北朝鮮なら出来たかも知れないが、その知恵が無かった。イスラエルの卓越した知恵をこのガザ侵攻に役立ててもらいたい。問題解決のない戦争という手段が以下に馬鹿馬鹿しいものであるかを、考えてみてもらいたい。イスラエルの優秀さをこの機会に世界に示して貰いたい。

 ここまで描いた理由は実は日本政府に、戦争の馬鹿馬鹿しさを知って欲しいからでもある。戦争は避ける以外に、得にはならないものなのだ。仮想敵国中国などと勇ましいことを叫んでみたところで、何の解決にもならないと言うことだ。日本人がエコノミックアニマルであるならば、その損得の判断は出来るはずだ。

 何故か、軍国主義者の勇ましいかけ声に、知能の不足しているとしか思えないかけ声に、日本人が踊らされているのだ。石垣島で日米軍事訓練をやっている。これはまさにガザの住民と、石垣島の住民が同じになるという事だ。何故市長がその先頭に立って居るのかが不思議だ。誰かに引きずられていると言うことなのか。

 戦争になれば、ひどい目に遭うのは、戦場になる地域の住民である。すでにガザはエネルギーもない。食料もなければ水もない。石垣島もすぐに同じ状況になる。九州から支援物資が来ると行っても、制空権が危うければ到底無理だろう。住民避難など言うが、ガザの住民は陸続きでも逃げれない。

 石垣島から泳いで逃げるわけにも行かない。食料を抱えてどこか目立たない鍾乳洞にでも潜り込むしかないだろう。いざとなった日本政府は判断力など無くなるに違いない。アメリカの言いなりに動くだけだろう。アメリカが吠えろと言えば、けたたましく吠えるだろう。

 そうして、石垣島の住民が死んでゆくのだ。ガザの住民とまるで同じなのだ。戦争で解決できる物など全くないと言うことを、よくよく噛みしめて欲しい。ガザ侵攻が悪い結果になることは誰にでも分かるだろう。何としても出来ない堪忍をすることだけが、道なのだ。

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