大阪万博は中止の決断を

大阪万博は「カジノと万博誘致を一体に提案し、アベ政権の協力を取り付けたのが橋下徹元大阪市長や松井一郎元大阪府知事の日本維新の会である。維新の会の負の遺産」である。会場建設費が当初予定の約1・8倍の2300億円程度に増える 。
この円安、資材高騰、労働者不足の状況では、一日も早い中止の決断がこの損害を最小限にとどめることになる。このままでは利益の出ない、万博になるだろう。大阪の衰退を導く万博になる可能性が高い。この低成長時代に建設費が倍になり、税金で穴埋めでは誰も、もうかりまっか。もうかりません。
このインターネットの時代に万博はもう存在の意味が違うと思う。こういうことが人を集めることが出来た時代は終わったのだ。まあ、カジノに集まる人は居るだろう。悪所好きの種は尽きない。しかし、賭博にすがりつこうというような発想自体がもうその国はダメだと宣言しているようなものだ。こちらも撤回が一番まともな判断だ。
カジノに頼ると言うことは、今や日本が健全な産業に期待が出来ないと言う事だろう。地道な一次産業を捨てて、カジノやお祭りを経済政策というするのは、末期的な症状と考えるべき事だ。残念なことはそれを良しとする国民が増えている。だから維新の会が票を集めるのだろう。しかし、政治は国民を導くものならば、維新の会は節度を持つべきだろう。
カジノやお祭りにうつつを抜かしていてはダメだ。毎日の健全な暮らしをしっかりやって行こう。それが政治の方角のはずだ。政治は正しい日本人の暮らしを示すべきものだ。金儲けになるからと言って賭博やお祭りで騒いでいれば良いというものではない。まず基本となる暮らしに方向付けをし、新しい地道な産業を構築すべきだろう。
戦争の時代に突入しているのだ。今までも確かに戦争はあった。しかし、それらの戦争とは違う質の戦争が起きている。ウクライナ戦争は自由主義世界と絶対主義世界との激突である。プーチン、習近平、金正恩 、ルカシェンコ 、独裁連合との戦いなのだ。
自由主義連合が経済戦争を仕掛けている。独裁国家の資本主義の方が優勢だと感じているからだ。中国の登場が決定的であった。世界一の巨大国家の独裁政治が安定して続いている。その結果驚異的な、かつて世界では見なかったほどの経済成長を遂げた。
この成長の勢いに自由主義経済の国々は恐怖を抱いたのだ。このままでは経済で独裁国家に負ける。アメリカが中国に負ける。そこで、人権侵害および特許権侵害で難癖を付けて、経済制裁を行う。それに属国も巻き込んで経済戦争が勃発する。
一方でアラブ石油産油国では石油依存体質を抜けることが出来ない。イスラム諸国内で様々な軋轢が高まる。新しい動きが生まれる。そこにやはりアメリカの影響の強いイスラエルに対する圧力が高まる。新たな代理戦争が起こる。ハマスが突然イスラエルに本格的な戦闘を開始する。
ハマスだけでこれだけの軍事物資の調達が出来るわけが無いのだから、アラブ諸国のどこかがハマスを援助しているはずだ。あるいはそそのかしているはずだ。それがアラブの大国イランであろうというのが大方の推測である。イラン対アメリカの対立が続いているからだ。
イランは中国との関係を深めている。中国の一帯一路戦略ではイランは重要な国なのだ。イランに対して中国は具体的には、①中国が25年にわたり、毎年4億ドルの対イラン投資を行う、②イランのサウスパルスガス田開発への中国石油天然機集団公司(CNPC)の出資比率を引き上げることなどが含まれているとみられる。
イランは核開発を強行しているために、自由主義諸国から経済制裁を受けている。その結果通貨の暴落とインフレで国民の生活は困難になっている。そこにスカーフ問題で国民の反政府デモが広がる。そうした困難を乗り切るため、中国との関係が強まって行く。
イランがハマスの背景に存在するならば、この戦争は長期化する可能性が出てくる。今世界で勃発している戦争は、資本主義経済の最終段階の問題なのだろう。競争の行き着く先にあるものは、つぶし合いである。中国が出てくることをアメリカは何としても押え込もうとしているのだ。
話は大阪万博から少しそれたが、戦争の時代に入り万博どころではないと言うことだ。万博を構想した一数年前から考えたならば、時代が違うのだ。コロナ前とコロナ後と考えても良い。開発主義からSDZS時代と言うことかも分からない。未来社会のデザインを考えようという万博なのだ。
そもそも大阪万博のテーマなる物を記憶している人は居るだろうか。前回の大阪万博は「人類の進歩と調和」次の愛知万博は「自然の叡智」今度の関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」 どんどん分かりにくくなっている。要するにテーマとして掲げられるものはないのだ。
未来社会がそれほど不安定になっている。むしろ「自由と独裁の戦い」をテーマにした方が時代に相応しいだろう。そんなものは金にならない。人を呼べない。お祭りにならない。命の軽い戦争の時代に突入したのだ。日本が軍事国家に進路を変えた時代なのだ。
それならむしろ、正直に「軍事産業万博」にしたらどうだ。テーマは「未来を勝ち取るデザイン」である。競争主義を押し隠した万博など無意味なのだ。万博に実際に世界で起きている、経済戦争が反映するはずがない。絵空事では未来をテーマにすることは出来ない。
2025年大阪・関西万博に出展する中国。出展のテーマは『人と自然の生命共同体を共に構築――グリーンに発展する未来の社会』 福島の汚染水海洋放出問題がテーマになるのだろうか。中国はその時でも日本の海産物を輸入禁止にしているのだろうか。
生命共同体はどうなっているのだろうか。万博の場で、放射能に関するシンポジュームを行ったらどうだろうか。まさに命に関わる共同体の問題である。中国の原発の放射能が安全なものであるのかどうか。福島事故原発をどうすれば良いのか。大いに議論し考えた方が良い。
と言うことで万博をお祭り騒ぎの絵空事でやるくらいなら止めた方がましだと言うことだ。一儲けなど出来ない時代になっている。維新の支持者は本気で日本のことを考えてもらいたい。維新の会は理念を持って欲しい。目先の金儲けで儲かりまっか。では困るのだ。