軽トラアトリエが来た。
ついについに、待ちに待ったアトリエ車が来た。半年もかかったが、やっときた。雨の中、石垣港まで取りに行った。30台くらい並んでいたのだが、ひときわ異彩を放っていた。と言うか輝いて見えた。良い車だ。軽トラの車体にはみ出るようにプレハブのアトリエが乗ったような体裁である。
素材は冷蔵車に使う断熱素材で5センチの厚みがある。だからアトリエの中には強烈な暑さは来ない。窓はできるだけ大きなものにした。風が入れば涼しい。アルミサッシである。この密閉度が難しいらしい。後ろには人が普通に乗り降りできるドアがある。
10年来の希望がついに叶った。10年前TAKEさんのキャンピングカーで八ッ場ダムにハイキングに連れて行ってもらった。車の中でお酒を飲んで、そのまま一晩寝た。実に快適で熟睡が出来た。それ以来、いつかアトリエキャンピングカーで絵を描きたいと夢に描いていた。
落ち着いて絵を描ける雰囲気にしたくて、気に入った家具を3つ購入して待機していた。ライティングビューローが前後に1つづつ。画架を兼ねるものだ。そして、荷物入れを兼ねたベンチが一つ。荷物入れの中には非常用の諸々のものを入れる。家具を固定する留め金は取り付けて貰った。
床にはチベット製の16ミリの厚手ウール絨毯も購入した。ものはかなり良いものだが、少し汚れた中古品である。それで格安に買えたのだが、アトリエだから汚れることは気にしていないですむと言うこともあり、あえて中古品である。アトリエの床一杯に敷き詰めるサイズである。
後は絵を描くために座るゲームチェアー。これは6000円で送料無料だった。理由があって格安だったのだ。調べているといろいろあるものだ。あれこれ格安で手に入れたので、調度一式で4万円ですんだ。荷物をすべて運び込んだ感じでは60キロくらいだ。
蓄電池も積み込んだ。これは楽天祭りで6万円と安くなったところで買った。家の停電対策でもあるので、7キロワットのものだ。これで車内冷蔵庫まで可能だが、そんなもの入らない。石垣は停電の多いところなのだ。普段は車に積んでおいて、利用する。停電の時には家の冷蔵庫などに使うつもりだ。
石垣島では注意しないと送料が高く付く。絨毯でも今回送料2400円ほどのもの。ところが業者によっては同じ大きさで、8700円もする。何故こうも違うのか思うが、送料が高いような所では買わないことにしている。送料で利益を上げようという業者がいるのだと思う。
双眼鏡と図鑑類は乗せた。めずらしい鳥をよく見る。先日は実に小さな鳥を見た。今度は図鑑を見ながら鳥を見たい。石垣島の鳥というような本も探せばあるのかもしれない。植物図鑑も載せた。植物も確認したい。
そして、井伏鱒二全集も少し載せた。時々本が読みたくなるのだ。絵を描いているときに分からなくなり本を読んでいると、急に次が展開できることがある。井伏鱒二全集はゆっくり読めるときが来たら読もうと考えて、発行されてすぐに買い始めたものだ。一番好きな作家だ。本棚があると言うところが、ライティングビューローの良いところだ。
車の代金は高いので書きたくないのだが、恥ずかしながら、書いておけば、送料込みで241万円。沖縄の豊見城にある、カーインテリア粟國サンである。車は大好きな軽トラックのハイゼット。オートマチック車で4WDである。ほぼ新車というものだ。
もうこれほど大がかりなものを買うことも無いのだろう。絵を描くためと言うことで許して貰う。このアトリエカーで石垣島を描きまくるつもりだ。いつか山梨の方にも描きに行きたい。生まれた場所はやはり描きたいのだ。金沢にも行けるだろうか。動ける内に一度本土の制作旅行を計画をしたくなった。
この車は緊急避難用でもある。車中で一応生活が最低限出来る用に非常時用の備品は積み込むつもりだ。アトリエカーでありながら、何かがあれば対応できると言う用意でもある。そういう使い方はしないですむとよい訳だが、災害時に行政頼りは、無理だと考えている。スカ総理大臣が言うように自助である。
車の中で、寝ようと思えば寝られるようにしてある。避難所生活よりはいいと思う。蓄電池もあるから、当座のことは大丈夫だ。蓄電した電気が無くなれば、どこかに蓄電池を持って行って充電すれば良い。水は5リットルのポリタンクを用意した。食料も車にある程度は積むつもりだ。
毎日絵を描きに行く車だから、その時にも非常用品は便利だ。水が充分あれば、水彩画ではありがたい。使いながら、水を新しいもの替えて行ける。食べ物があり、眠ることが出来れば、泊まり込んでも絵が描ける。夜景だって、日の出だって絵が描ける。
車の中に明るいライトを付けた。充分絵が描ける明るさである。明るさが足りなければ、さらにライトを加えるつもりだ。今はLEDライトがあるから、かなり明るくとも、消費電力は少ない。湯沸かしぐらいは置くつもりだが、まだこれは購入していない。
まだ保険にも入っていないし、所有者の移転もしていないので、車にはまだ乗れない。移転しようと思って軽自動車登録所と言うところに行こうと思ったら、前の所有者の粟国さんのハンコがいることがわかった。ハンコ社会の悪いところだ。書類を送ってくれるように粟国さんにお願いした。
あわてることはない。数日はタントで描いていれば問題ない。12年待ったのだ、数日ぐらいどうと言うことはない。壁には部屋らしく書いた字と布に描いた絵を貼り付けた。なんとなく居心地が良くなった。
外には「Atelier Car 笹村」と書くつもりだ。そしてカンムリワシの印も書く。おかしな車が止まっていて、何だろうと思われるから、いくらかの安心になればと思っている。
調度このタイミングで、新聞の折り込み広告で車の窓ガラスに断熱とUVカットフィルムを張るお店が出来たとのこと。早速、張って貰うことにした。石垣島での運転は太陽光がきつくて、目に良くないのだ。そのたびにサングラスをしているが、それより車の窓を工夫した方が良い。
石垣島では制限速度を超えて走ることは無い。鳥の安全の為だ。カンムリワシの交通事故が報道されるたびに悲しくなる。あのかわいらしいシロハラクイナがひかれていることがある。ゆっくりゆっくり走ることにしている。
アトリエカーなら、ゆっくり走行も許して貰えるかもしれない。そうだ今度は八重山毎日新聞にAtelierCarの広告をお願いしよう。「島内で水彩画を描かせて貰っています。お邪魔でしょうが、よろしくお願いします。」という広告である。掲載してくれるだろうか。