第10回 水彩画 日曜展示
31,「泉ここに存」 ①
クラシコ・ファブリアーノ 10号大
2020.7
32,「泉ここに存」②
クラシコ・ファブリアーノ 10号大
2020.7
33,「泉ここに存」③
クラシコ・ファブリアーノ 10号大
2020.7
実はこの3枚は2015年の4月北海道芽室町の新嵐山荘で描き始めた絵である。宿泊した大きな国民宿舎の施設の庭で描き始めた。雪解けの水がいかにも冷たく、清冽に流れていた。その後何度か描き継いだのだが、どうしても終わりまで行かなかった。
石垣に来てから、たまたま見た泉の印象と繋がり、描き継げそうな気がして持ち出して、又始めてみた。記憶の方がよく見えていると言うことがある。目の前に見ている石垣の泉と帯広の泉とではまるで違うのだが、やはり見ていないと描けないものだ。
北国の泉と、南国の泉はもちろん違う。違うのだが、同じと言えば水が湧き出るという意味で同じだ。見た目を描いているわけでも無いので、湧き出でるという感じを描いた。水をかいているようで、水面を描いているかと思うと、水のしたの地面を描いている。そう思っている内に、空が流れて移る雲を描いている。
何を描いているのかいつの間にか分からなくなる。美しい色を、美しい筆触で描ければとだけ思っている。見ている気持ちが画面に現われてくれれば、それだけでいいともう。構図とか、構成というようなものはまるで出てこない。ただ画面に従い筆を動かすようにした。そういう日もあってもいいと思った。
これが絵なのかどうかは分からないが、そうしたこととは関係のないものも有るのだと思う。その日にやれることに従い、入り込んで描いた。