石垣島祭り ビギンの栄昇ニィニィが出演

   



 盛岡の三叉踊りである。東北の祭りを南の石垣島で見た。三叉踊りの練り上げられた姿に東北にすぐつながることができた。盛岡は兄が住んでいる街なので、突然思い出してしまった。思えば遠くに来たもんだ。という感じなのだろう。

 東京中心の日本というものではない、日本。それは競争では無い。深め、練り上げる文化が庶民に根付いている。東北の祭りは確かに良いものだ。農民の匂いがする。



 そして、岩手北上市から、北上翔南高校の鬼剣舞が演じられた。実に見事である。ここにも高校生が打ち込む姿があった。こういう若い姿には感動してしまう。こうした若い人の未来が明るいものであることを祈ってしまった。

 三叉踊りといい、鬼剣舞といい。踊りが洗練されている。突き詰められている。ここまでパフォーマンスする人間の姿には打たれる。人間が生きている。そういうはつらつとしたものが、跳ね上がっている。気持が一緒になることができた。若い人達の本気の姿に刺激を受けた。

 石垣の中の人が新栄公園に集まったような群衆の中で、突然沸き上がるように涙が出てしまった。若い人達のひたすらな姿に感動してしまった。こうしたひたすらな人間の姿が生かされるような社会になって貰いたいと思った。

 そして、初めて見るパナである。安室奈美恵やMAXのカッコイイ系の沖縄文化である。パナは石垣バイブレーションで、石垣島では大盛り上がりのアーチストなのだ。連日、石垣サンサンラジオでながれている。

 16歳で島を離れて20年ぶりに戻って爆発した。石垣限定ミュージシャンということで、「 DANCE?石垣バイブレーション? with きいやま商店」 はまってしまう心地よい曲である。今年はこれを聴きながらと言う夏だった。

 パナさんも大ブレークして島に戻り、感激ひとしおだろう。足が震えると言われていた。ふるさとで歌うと言うことは又別物だと思う。安室さんなどに憧れて、この新栄公園で一人で踊っていた時代があったらしい。 「おーりとーり すとーりー 」 もいい感じの曲だ。

 今度はパナさんに憧れて、石垣島から次のダンスミュージシャンが出現するだろう。パナさんの出身校である新川小学校の子供たちが一緒に踊った。八重山高校のダンス部も一緒に踊った。パナさんの頃にはまだダンス部はなかったというが、今では八重校ダンス部は県大会を勝ち抜いて、全国大会に出るレベルである。
 ホルキーズと言う若い四人組のバンドの音楽性の高さにびっくり。まだ荒削りで方向がいろいろなのだが、独特の明るい世界を持っていて、良いバンドだった。ドラムでボーカルもやっている比嘉さんは、八重校の野球部出身。なんとなく栄昇さんに似ていると思って、調べてみるとなんと息子さんだった。スゴク期待できる。


 やなわらばーが二人で演ずる、最初で最後の石垣の舞台だそうだ。来年解散ということだ。小田原のダイナシティーで聞いたことがあった。小田原ではかなりの人気だったのでびっくりした。石垣島出身のミュージシャンは多いのだ。

 二人の調子がずれていた。高音で唄う人の声が、スピーカーにぶつかって割れてしまっていた。頑張りすぎてのどに問題が出ているのかもしれない。スピーカーが割るのかもしれない。CDで聞くと何気ない良い曲なのにと少し残念だった。


 そして最後がビギンの栄昇にぃーにぃーと石垣ミュージシャンである。この頃から小雨になり、雨の中なので立ち上がるしかなかった。立ち上がれば踊るしかない。1時間半歌い続け踊り続けた。

 石垣の歌に酔いしれた。ビギンの比嘉栄昇さんはすごい音楽家だ。良い歌を沢山作っているという以上に、人間が魅力的だ。全く普通の人である。音楽が特別のものではなく、生活から生まれている。

 作り出すということは、大変な苦しみもあるはずだ。しかし、そういうことは少しも感じさせない。栄昇にぃーにぃーとみんなに慕われる姿は自然体である。そして、歌い出すと一気に会場を自分の音楽世界に巻き込んでゆく。

 ここにある音楽は暮らしの音楽である。日々のごく普通の人間の気持が歌われている。だから、みんなが一辺につながることができる。音楽の持つ、共同体の結束力のようなものが生まれる。

 最後に金城弘美さんのでんさー節で終わった。しみじみと八重山民謡が伝わってきた。様々な唄を聴いたのだが、八重山民謡というものの音楽性が、格別であると言うのは石垣で聞かないと伝わらないものかもしれない。八重山民謡は生の声でしか伝わらないところがある。

 群衆と熱気と汗のにおいと、興奮した空気。その中で金城さんが静かに唄ったものに、八重山の共感のような何かが広がった。人間同士の魂が通ずるということなのだと思う。唄というものの力を感じた。
  祭りの参加に観光できている人は手を上げてくださいという呼びかけがあった。全体の半分くらいの人が手を上げた、と言っても前の方のことで、全体は分からない。これは、「石垣島星まつり」でも半分ぐらいは島外の人だった。石垣島が交流拠点になっていることを湿しているのではないだろうか。
 これからはアジアの交流拠点という意味で、台湾からも来て貰うのも楽しくなるのではないだろうか。

 

 

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