参議院選挙結果を踏まえて、国の方向を議論して貰いたい。
参議院選挙は自民党が支持が一番多かった。多かったが憲法改定に進むだけの得票を得ることはなかった。自民党の得票率は35,4%であった。公明党が13,1%。維新が9,8%。今後政権を支持する公明の13,1%の意味が大きくなるはずだ。
石垣市の比例区の投票結果は、自民党4046票、公明党3584票、社民2154票、共産1737票、れいわ1631票、立憲民主1331票、国民党783票、維新587票、であった。
投票率が50%を下回った。自民党は支持されていると言っても、有権者の15%ぐらいが投票したに過ぎない。石垣市の投票率は45,48%だった。政治への関心の低下が深刻である。50%を下回った選挙はやり直しにしたら方がいい。この解決はネット投票への移行ではないか。
沖縄選挙区のオール沖縄候補の高良鉄美の石垣市における得票は8、189票。自民党候補の安里氏が8,668票。公明党票の400票は自民党安里氏に入れていないと言うことだ。一割ぐらいの反発が見られる。
個人的には残念な結果であるが、この票は自衛隊基地反対の民意をある程度表していると思う。石垣にある公明投票と公明党支持者の得票率の高さを考えると、確信的な自民党票というものはせいぜい4000票にすぎない。自衛隊賛否の住民投票を拒否する市長の本音が見える。
自民党は参議院での単独過半数を割り込んだ。これで民主主義の危機はかろうじて先延ばしになった。そして低投票率で議席を伸ばした公明党が今後与党内での存在の意味を増したと言うことだろう。公明党の自民党の声を聞く力が、忖度力として、アベ政権にさらに影響するのだろう。
悪いことの中でもかすかな希望は、改憲勢力が、3分の2の議席を占めることができなかったことだ。公明党はそもそも9条改定には積極的ではなかった。そこで、アベ政権は改憲賛成の国民党を取り込もうと言うことになってゆくほかないが、自民党議員の多くは公明党票がなければ当選できない人だ。国民党とは全く意味が違う。現実的には憲法改定の発議はかなり困難になったと見ていいのだろう。
自民党は改憲議論を避けている。野党が憲法論議を避けているわけではない。憲法における議論に入るためには議論すべき内容を明確にしなければならない。例えば、憲法裁判所を議論すべきである。内閣法制局の人事で政府の意向が反映する仕組みにしたのがアベ政権だ。
憲法の議論とする前提として日本という国をどういう国にするかと言うことが議論されなければ、議論は不可能である。日米安全保障条約はアメリカから疑念が出されている。独立国としての国の安全保障をどのように考えるかを、緊急的に議論をぜひにして貰いたい。それが憲法の議論である。
すでに、韓国とは経済戦争に入っている。現代の戦争は武力と言うより、経済戦が長期化する。まず経済戦に備えると言うことが安心の暮らしである。韓国が半導体材料を日本に依存していたと言うことは、日本の言い分を押し付けられると言うことになる。韓国の安全保障体制が弱かったと言うことだろう。
現代の戦争は武力的にどちらが強いという以前に、経済の自立度が重要になる。日本は目先の経済ばかりが優先され、重要なものまで海外依存になっている。エネルギーは94%、食料の60%が海外依存。こんな自給率の国では、到底戦争のできない国になっている。
中国のとの戦争も突然の武力衝突ではない。経済戦争から始まる。次の安全保障はまず、領土問題の解決である。維新除名の丸山議員のように、戦争しなければ領土は戻らないと考える議員すら存在する。この考え方によればロシアより軍事力の弱い日本は領土をあきらめなければならないと言うことだろう。
ロシアが日本との領土問題に応じているのは、日本の経済力に期待するからである。中国も同様だ。尖閣諸島を領有したからと言って、経済的メリットなど微々たるものだ。むしろ経済的負担が増加する。人口減少の日本では離島は無人島になる流れである。
国土が大切であるなら、消えてゆく地方をどのように維持するかの方が、はるかに重要である。経済合理性と暮らすことに厳しい地域をどのように国全体が支援するのか考える必要がある。
日本が独立国として一番やらなければならない安全保障は、自給できる国作りである。できる限りのものを自給する。輸入しなければ暮らせないような国では、安心して暮らせない。食糧自給可能な農地はある。エネルギー自給のための循環型エネルギーの開発をすべきだ。
国の方向が定まれば、憲法をどうするかという議論が初めてできる場が生まれる。このことを抜きに中国の脅威をわざわざ強めての議論では、稚拙な目先の議論に陥るばかりである。憲法は感情論で議論してはならない。