トゥラバーマ講習会

   

 

石垣島では毎月トゥラバーマ講習会が開かれている。第3水曜日の夜と決まっている。3月は20日であった。次回の4月17日も石垣にいるので出ることができる。以前はその日に合わせて、石垣に来たこともあった。素晴らしい講習会だからだ。トゥラバーマ八重山民謡最高の曲である。女性と男性の掛け合いがあり、情緒の深いハーモニーがある。少しも唄えないが、いつかトゥラバーマをまねごとでもよいから唄いたいと思っている。10年先になるのかもしれないが、少しでも近づきたい。唄もそうなのだが、聞いて楽しむということと、唄ってみてその良さを深く味わえるということがある。表現してみては入れる世界もある。絵を描くことで自分の中に生まれる深い確認のようなものは、絵を描く目的だと考えている。唄も同じで、ただ聞いていたのではどれほどの聞き手になったとしても、踏み込めない世界がある。トゥラバーマがすごい唄であるという意味は、毎年の行われるコンクールでは、新作の作詞賞がある。唄が生きたもので、新しくどんどん生まれているということだ。こんな古典民謡は滅多に無いだろう。いつかトゥラバーマの作詞をできれば本望である。
 
トゥラバーマを唄うという大それた夢の前に、もう少し練習をしなければ話にならない。今回もついてゆくこともできず、ヒア汗をかいた。参加されている人は皆さんは、トゥラバーマコンクールを目指しているような練習を重ねた人だと思う。見事に唄える人たちの参加であった。初心者の参加は全く邪魔にならないようにするのが精いっぱいで、恥ずかしい思いをした。それでも混ぜていただいただけでも楽しかった。みんなで唄うと言うことは、一人で唄うとは違う、共鳴する喜びがある。声を合わせて出すことで、みんなと一緒になれるような、仲間になれる喜び。次回は唄は3番までなんとか、唄えるようにしておく。先生の一人が横目先生で、以前教えていただいたことがあった。素晴らしい先生方の唄が聞けるだけで、もう参加する価値がある。しかも真似でも一緒に合わせて唄わせてもらえる。こんなに有意義な機会はまたとない。この講習会は参加費も無料である。八重山古典民謡研究会が普及のために行っている活動なのだと思う。こういうところが石垣の素晴らしいところだ。
 
青少年の家の初心者三線教室は無事終了した。なんと今年が最後になるということで、びっくりしてしまった。こんなによい企画が終わりになるのはあまりに惜しい。定員超えの人の集まる企画なのだから、なんとか継続してもらいたいものだ。指導は、八重山古典民謡保存会の事務局長の山田先生に指導していただけた。初めて教えていただいた基本講習であった。三線は自己流になる。悪い癖がつきやすい楽器だと思う。山田先生の三線をの持ち方、姿勢の位置など、基本に従い練習をしてみたところ、実に弾きやすい。その姿勢を保つためには背筋の筋力がなければならない。先生はそのためにトレーニングをされているそうだ。猫背の私はすぐ苦しくなる。しかし、姿勢を正せば、引きやすいということは理解できた。正しい姿勢では手首の90度の曲げが必要になる。手首が曲がらないと、うまく手が振って演奏することができない。それが、弦を弾いてしまう原因だった。まず三線の音を良さを確かにしなければ。
 
山田先生には、教室でトゥラバーマを唄っていただけた。この唄がとてもよかった。発声法である。静かに楽に声を出している。しかし、声は響いて明確である。話している声のままに唄うということがよくわかる。聞きやすいといっても、アナウンサーのような声ではない。個性的なその人の持つ日常の声である。どこの誰が唄っているということがわかる声だ。それでいて、その声が遠くまで通り抜けてゆくことには驚かされる。謡などの発声に共通するものなのかもしれない。山田先生はすべてに論理的で、指導者として素晴らしい方だと思った。教室もやられているというので、本当は教えていただければと思うが、私のようないい加減なものでは、失礼で敷居が高い。ともかく覚えなければだめだと言われた。この覚えるという能力が失われてきている。せめて、教えていただいた安里屋ユンタだけは、覚えようと思う。これはぼけ防止のようなものだ。教えていただくとなると、週2回の指導といわれていた。そこまでは通うことはできない。やはり、八重山古典民謡の世界は生半可ではない。
 
 
 

 

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