与那国島の99回目の議長選出

   

テレビでは面白おかしく、与那国島の議長選出のできない状況を表面だけを報道していた。地方議会の状況が良く見えた事例なのに深堀が出来ない。ともかくどんなに小さな議会であっても政治はある。想像するに歴史教科書問題があるのではないか。だから教育長を誰にするかが重要になる。私の嫌いな歴史教科書を選択しようとする動きが八重山諸島で起きている。簡単に言えば、右翼的教科書を使わせようという活動が起きている。石垣島でも、どうもおかしな画策があるらしい。情報少ないので本当のところは分からないのだが、想像力だけであるが。ここから先が調査報道ではないのか。テレビ報道の取り上げ方は、田舎の議会は幼稚でいこじで、話し合う能力すらないというバカにした空気。まったく状況が理解できていない。6時のニュース番組で偉そうな大学の教授という輩がとんでもない発言を当たり前のような口調で語った。もうこれには怒り心頭である。「与那国島は日本の防衛の重要拠点である。馬鹿なことを何時までもしていてもらっては困る。」こんな解説をしたのだ。許せない。

与那国島は最近自衛隊のミサイル探知基地が出来た。この時住民投票がおこなわれた。受け入れが僅差で決まった。人口1500人余りの島に自衛隊関係者200人が移住した。家族での移住が基本らしいので、その後はもう少し人数が増えているのかもしれない。自衛隊員は島の中に分散して暮らす方針で、あちこちの集落に暮らし始めていると聞いた。自衛隊員の家族は地域の活動には熱心に参加する。そう指示が出ていると考えた方がいい。それは悪いことではないが、30人ぐらいの集落の集まりに、若い隊員が4人参加していることになる。自治会活動が良い方向と悪い方向と両面で変貌してきたらしい。従来の島民の意識の方が変化をしていると聞いた。自衛隊員は村の祭りなどにも熱心に参加して、協力的だそうだ。良いことである。しかし、どうしても昔の慣習的なものとは違う。新しい関係が生まれて、昔からの人が集落の行事に少し白け始めていると聞いた。集落の活動への参加者も減ったとある。移住者の場合は、島を離れる人もいるらしい。1500人の島に200人の自衛隊員が暮らし始める実証実験のようなものだ。自衛隊員は移動がある。島の人たちの暮らしや意識がどう変わるのだろうか。

日本の南西の端にある島だから、何故防衛の最前線と決められるのか。全く現代の戦争に関して無知というしかない。政治的に重要な地続きの国境地域というのならわかるが、軍事的重要拠点はむしろ東京であろう。原子力発電所とか、ミサイル基地である。国境に近い島であるからというような発想は実に古臭い腐った頭だ。産経新聞レベルである。腐っていないならまだマシで、悪意が込められている。対中国の緊張を高めるためである。尖閣諸島を国有化した意図の延長である。中国を仮想敵国にして、日本の軍国化を進めようという発想である。その場合、確かに中国に近い島が脅しには最適である。日本の憲法に定め張られた平和主義を無視する行為である。日本の平和主義とは、国際紛争を軍事力をもって解決しないという考え方だ。平和的手段を駆使して、近隣諸国と仲良くしてゆくという、ごく当たり前の考え方である。小学校の道徳の時間にお友達と仲良くしましょうと、指導されていることと同じだ。原則的であり、崇高すぎるものではある。

アベ政権では沖縄は日本の防人に成れと、仮想敵国に対する防衛戦線という意位置づけである。沖縄が攻撃を受け占領されるという事を前提に、奪還作戦が計画されている。与那国島のミサイル基地は捨て石という意味での、軍事的な重要地点という事になる。それが今八重山諸島から奄美群島までミサイル基地を配置して中国と敵対するというのが、中期防衛計画である。これが間違った選択である。中国の南沙諸島の基地化とどこが違うというのか。中国の拡大主義に問題があるから。日本もそれに対抗する。この考え方自体が、日本国憲法に外れている。だから、アベ政権は憲法の改定を主張している。自民党憲法草案という事になる。与那国島の小さな議会は幼稚なのではない。民主主義の根幹の問題を含んでいる。日本の防衛というような、国の専権事項に対して、地域住民の意思は無視されていいのかという事だ。石垣島でも自衛隊基地に対する、住民投票の署名活動が始まっている。今沖縄で起きている、米軍基地、自衛隊基地の問題は、日本の民主主義にかかわる問題なのだ。自衛隊員の200票が与那国島を変える。もし票が足りないのであれば、自衛隊員の数を増やせばいいという事になる。

 

 

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