出穂が始まる
サトジマンの出穂が始まっている。10番田んぼが8月7日。12番が8月8日。1番、2番、3番、7番、8番、9番が8月9日。4番、5番、6番が8月10日。これは昨年とほぼ同じ出穂の時期である。連続して4,5日早いという事である。穂の大きさは十分のようだ。少し穂の数が足りないようだ。
出穂とは稲の穂がほぼ半分出た時のことである。間違えてはならないのは、穂の出た株が半分になった時ではない。その田んぼの稲穂が1万になるならば、5000本出た時が半分出た時だ。1本植であれば、最初の穂が出るところから、最後の穂が出るまでに10日もかかる。このあたりを正確に見定める必要がある。峰の雪糯は8月1日が14番田んぼの出穂。そして、11番田んぼの方が8月5日。まだこの時点で穂揃いではない。いよいよサトジマンも出穂である。昨年も早いと思ったが、8月8日であったから、ほぼ同じくらいになった。出穂の日にちが重要になるので記録しておかなければならないのは、この日の3週ほど前に穂肥を与えるのが良い時期になる。また羽化水管理から、間断灌水に変えるタイミングも出穂から判断する。水管理の変化の基準になる日だからだ。初期からの深水で、太い茎のイネを作る。そして水をかけ引きして、穂を作る合図を与えるのが、出穂より5週前である。幼穂形成期である。
もし8月8日が出穂であれば、穂肥をソバカスで与えるなら、7月18日から与えても構わないという事になる。13葉期の段階で穂肥を与えればいいという事になる。それは当然播種から、13週目という事になる。穂肥を何故重視するかと言えば、秋落ちにならない為である。長年、自然栽培で耕作して来て、粒張りが悪いという事を感じてきた。理由は春漉き込んだ緑肥の効果や、冬から春のソバカスの散布が、気温の上昇とともに消耗されてゆく。特に今年のように気温が高ければ、当然早く土壌の肥料分は分解が進み不足気味になる。水管理で言えば、8日が出穂であるなら、6月末には間断灌水を始めるということになる。田んぼは干さないで固めてゆくという考え方でやっているが、2度代かきの田んぼがなかなか固まらないことが分かってきた。
この時期のイネの特徴は色ムラが出るという事である。少し黄色くなっている筋が、1度代かきの部分である。株の生育も少し劣る。緑が濃く残るあたりと、黄色に色が落ちてくるあたりとが徐々にはっきりとしてくる。何故色が落ちるのだろうかと思う。単純に考えれば、田んぼの土の窒素分が減少するからであるという事になる。それではなぜ早く窒素が無くなる場所が出来るのかである。この色が落ちるという事で稲の成長の様子を考える参考になる。私は稲の老化が始まると黄色くなると考えている。だからいつまでも緑色を残した稲であってもらいたい。緑色が残る所は、例えば3回も良く代かきをした部分。ソバカスを何度も撒いて肥料分が多いい部分。緑肥が良く育った部分。早く黄色くなるところは、田んぼの淵。遅れて捕植した株。緑肥の育ちの悪かった辺り。冬にソバカスの蒔き方が足りなかったところ。田植え直前に耕運代かきをした、例えば麦跡田んぼ。理由はさまざまであるが、良くない場所が色落ちが早いと考えて間違いがない。
そこで、穂肥を与えて何時までも根の活性化を目指すことになる。その成果は止葉の大きさに反映する。サトジマンであれば、留場は葉の幅が20ミリ、長さが60㎝。そして手が切れるようなススキのような硬さと、厚さがあって欲しい。このように巨大な止葉で稲穂を充実させる。今年は18ミリ、50㎝である。穂数も多くはない。すごく不安である。理由は早く色落ちが来ている点と繋がっているのだろう。暑すぎたのだろうか。