北朝鮮のミサイルは防げるという神話

   

石破元防衛大臣が軍事オタクとしての知識なのか、北朝鮮のミサイルを日本の迎撃態勢で防げると、デマ的発言をしている。国民を不安にさせないという意味では効果がいくらかはあるのだろうが、原発の安全神話以上のミサイル神話である。ミサイルの攻撃を完全に防げるなどという事ができるなら、アメリカが北朝鮮をあえて先制攻撃をするなどということもない。打ち出されたミサイルを打ち落としてしまえば、それで済む話である。迎撃ミサイルなどあてにならないと考えた方が良い。攻撃する方が、防御する方より、そもそも有利な条件にある。突然後からピストルで撃たれてから、その弾を振り返って打ち落とすことはきわめて難しい。当たり前のことだ。イスラエルに打ち込まれたミサイルも打ち落とせず結構効果を上げたらしい。にもかかわらず、アメリカ軍はすべてを迎撃したと虚偽の発表をしていた。当時と武器も変わっただろうが、それは攻撃側も防御側も同じことだろう。撃ち落とせないから先制攻撃で確実に発射を止めようという事になる。

北朝鮮の原爆が20発とか言われる。これを様々な方策で発射するとする。10発は打ち上げ失敗かもしれない。まあ何とか発射した残りの内9発は迎撃できたから迎撃は成功かと言えば、かいくぐった1発が東京まで到達し、下手をすれば何百万人の死者が出るような結果だってあり得る。そう考えておいた方が良いと私は思っている。どれだけ軍事オタクが安全神話を唱えようと全く、妄信に過ぎないと確信できる。少なくとも北朝鮮の核開発は、そうした現実に20年かけて一歩ずつ近づいてきた。武力というものは攻撃側が優越するものだ。世界が今後もこのままであれば、日本の安全は一年一年危うくなってゆくことは確実である。それが核や大量破壊兵器による安全保障である。日本自体もだから核武装しろという議論は、これから当たり前に議論されてゆくことだろう。核抑止力という訳だ。そんな抑止力があろうとなかろうと、日本の危険度は急速に高まっていると、私は考えている。そう考えない能天気な人は極楽とんぼで結構なことである。

ではどうした良いかである。日本も軍事力を強め、核武装して、北朝鮮化しろと言う意見が、アベ政権の本音であろう。軍事力しか信じない人間には今の日本の防衛態勢は極めて不安なはずだ。もし石破氏が本音で今のミサイル防衛システムで十分と考えているなら、何も強化すべきなどと言わない。安心できない状況だと考えているに違いない。武力に頼るものには何処まで行っても安心などない。そこで登場しているのが日本も先制攻撃する軍事力を持つ必要があるという、自民党の主張なのだろう。未来世界を言えば、このまますすんで世界が核戦争によって滅びるという人類の行く末であろう。それが、第2次世界大戦の貴重な経験だったはずだ。2度と戦争をしないと誓ったのは、今度戦争が起これば、未来が失われるという実感だったはずだ。それが、日本の平和憲法に表現された平和主義である。

北朝鮮の逃げ道に日本が成る位の覚悟が必要である。戦争するよりもその方がはるかにましだ。トランプの尻馬に乗って、役にも立たない自衛隊を同行させるなど、もっての外のことだ。力によって抑え込めればいいが、そういうことがあり得ない事なのは、イスラム国の現状を見ればわかる。イスラム国を殲滅しようという事がテロの拡散になっている。イスラム国が許されない国家であるとは思う。北朝鮮も許されない国だ。しかし、世界の格差が現状のままであり、核大国だけが有利な状況であれば、そうしたひどい国はこれからも登場するだろう。そもし朝鮮半島が戦争状態になれば、つまりシリアのようになれば、アメリカから自衛隊に対しても出動が要請されることになるだろう。そんなことは私には許せない。その道は日本の破滅だからだ。今の世界の状況では日本の平和主義だけが希望だ。

 

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