日米地位協定に言及せず
G7の前のオバマアベ会談では、日米地位協定の改定が課題として話されなかった。翁長沖縄知事の要求をアベ氏は無視したのである。同じ敗戦国ドイツが地域協定の改定に成功している。なぜ日本とアメリカの関係が属国関係のままであるか、国の尊厳にかかわる。日本に在る米軍基地はアメリカの世界戦略の中に位置づけられているものであるから、アメリカが完全に自由に使えるという事が前提となっている。トランプ氏の言う日本防衛の為だけにアメリカ軍が日本に駐留するのであれば、当然、駐留米軍は自衛隊の指揮の下に位置しなければならない。しかし、アメリカは沖縄を長期にわたりアメリカの占領地として利用したのである。その初期の目的は日本がアメリカに対して、反旗を翻すことを阻止するためであった。日本はアメリカの予想に反して、あっさり占領軍アメリカに従う道を選んだ。そして、日米地位協定を維持して属国としての立場を継続している。アメリカ軍は日本を配下とする目的も含めて日本に駐留している。
沖縄では又米軍軍属の暴行殺人事件が起きた。にもかかわらず、地域協定の改定に言及しないアベ氏の姿勢は、アメリカの逆鱗に触れたくないからである。逆鱗とは、基地自由使用に触れて、引き上げられることを畏れているからである。日本を独自の防衛構想で守る気概がないからである。本来であれば、まず日本としての日本の安全を守る構想が存在し、その上でアメリカとの同盟を考えればいいことである。もちろん一応の防衛構想は持っているが、アメリカの力なしには成り立たない、核の存在しない属国的軍事構想である。日本独自の軍事力による防衛構想など成り立たないことは明白である。北朝鮮の核弾頭にすら対抗する軍事的能力も日本は持つことができない。その抑止力である原爆の保有も不可能な国なのである。日本の平和を守る形は、空想的に見えるとしても、理想主義に見えるとしても、軍事力を使わない形で国際紛争を解決する道を選ぶ以外にない。またそれが日本らしい平和主義であり、世界の希望となる日本の存在価値である。
アメリカと対等の関係を持つために、日米地位協定の改定から着手することだ。それは、平和国家日本を世界にアピールするためにも必要なことなのだ。アメリカの核の傘は、常時差し掛けてもらう必要はない。同盟国であろうがなかろうが、核攻撃をあらゆる国に許してはならない。すでに傘程度では役に立たない暴風雨が迫っている。北朝鮮に核を廃棄させる以外、道はない。それは難事業ではあるが、北朝鮮の主張によれば、核保有の大国が自らの核の使用制限と、削減を行う必要がある。アメリカが核削減をしようとしないで、世界中の核を持たない国に対して、どのような言い訳もできない。将来、核廃絶をするという前提で、新たな核保有国を作らないという、世界平和の道筋が成り立つのだ。
アベ氏は結局のところ、沖縄の基地負担を継続しようとしている。むしろ八重山に3つの自衛隊基地を作り、米軍との共同使用という形で、無料の基地を提供しようとしている。これがアメリカにいてもらいたい属国の総理大臣の姿勢だ。中国は着々と核保有を増強している。その思想の背景は、核保有国が世界で発言力を持ち、独自の外交が可能になると考えるからだろう。だから、北朝鮮の核武装にはさすがに、反対の立場をとった。この武力による、国家の序列という発想はいかにも、幼稚であり、トランプ的である。世界が核戦争の恐ろしさを無視して、己だけの安全を守ろうとしている。これは人類の滅亡への道である。日本がアメリカの核の傘から抜け出て、独自の平和主義を主張してゆく価値は、今こそ高まっている。その第一歩が沖縄からのアメリカ軍の削減である。日本はアメリカ軍の駐留経費を払う能力も、その気もないので、お帰りくださいと主張すればいい。本当の友人はお金ではないのは、国でも人間でも変わりはない。それが美しい国日本だ。