辺野古の米軍基地
2016/04/09
以下のことは石垣島で考えたことである。
米軍が辺野古に米軍基地を増設する計画であったことが明らかになった。沖縄占領下の1967年のことである。米軍は領土として沖縄を考えていた。その後沖縄は日本に返還され、その計画は何とか実行されなかった。ところが、普天間の危険除去という事で、辺野古移設が再度浮上した。日本政府はまるで、自分の判断で辺野古を唯一の移転可能性のある場所として、普天間基地の移設を決めたように見せかけてきた。やはりアメリカの計画を受け入れたという事だったのだ。トランプ現象でアメリカの本音があからさまになっているが、日本の防衛を肩代わりしているのは、アメリカの負担が大きすぎるというアメリカ人一般の潜在意識が水面に浮かび上がってきた有様である。つまり、沖縄がアメリカの占領地であれば、アメリカは沖縄の基地を引き上げるはずもない。アメリカはアメリカの世界戦略に基づいて、アメリカ本土でない沖縄の基地を自由に使い、アメリカ人の安全を図りたいのだ。
日本の防衛という事を恩着せがましく言いだしたのは、トランプの選挙対策なのであろう。このトランプ的言説をもって、アメリカ軍は横暴にも日本政府と外交交渉をしているのだろう。弱気の日本政府は、引き上げるという脅しで、アメリカに言いなりにならざる得ないのだと思われる。しかし、安倍氏の国粋的体質のようなものは、再軍備化と、核武装にまで及ぶ構想を秘めていると考えなければならない。それはアメリカが一番危惧していたところである。その後総理大臣になってからは、石原氏などとは一定の距離を取ることで、アメリカの圧力をかわしてきたのだろう。アメリカはトランプ的な内向きの発想と、世界をリードしてゆくという世界戦略との両者を持っている。世界経済が悪くなる過程で、アメリカの一国主義的な内向き政策がトランプ人気になっているのだろう。しかし、アメリカの一国主義は経済のことを考えれば、上手く行くはずもなく、日本やEUと共同歩調をとることになるはずである。
石垣島や、宮古島の自衛隊基地がアメリカ軍の要請に基づいているという事は確実である。基地が出来れば、何やかやと米軍が乗り込んでくるだろう。そうして日本と中国の対立を高めるのだ。口先では日本の防衛。中国の海外進出の阻止という事だろう。しかし現実には、米軍の対中国戦略である。日本が中国と仲良くなることを阻止したいのが本音である。大東亜共栄圏の再来を畏れているともいえる。東アジアが仲良くEUのような連合体になることを一番恐れているはずである。トランプの日本、韓国の核武装容認論などあまりに能天気な話だ。アメリカの一国主義が今後高まることになれば、このあたりが次の日本の戦略になるのではないだろうか。しかし、いずれ世界経済がおかしくなり始めた以上、武力的な方向に世界が向かう可能性は高まるとせざる得ない。その時はいよいよ人類存亡の危機という事になりかねないだろう。
それを止める可能性を持つ国が日本である。日本の平和主義の出番である。憲法の示す通り、武力をもって国際紛争を解決すべきではないのだ。他国に攻め滅ぼされるのではないかという不安の幻影を捨て、日本が世界に対して精一杯有難い国なることである。今はまだ楽観主義過ぎると多くの人が感じるに違いないが、それでも、ひたひたと迫っている戦争を考えれば、マシな道だと考える。いま世界が戦争を始めないのは、もし戦争が起こればすべてがおしまいになるという事を知っているからだ。核爆弾は単なる抑止力を超えて、いつ使われてもおかしくない状況が現実になっている。石垣、宮古の自衛隊配備はその可能性を一段と近づけることになる。東アジア諸国同士の仲たがいをさせたいのアメリカなのだ。アメリカの本音が見え始めている。今こそ冷静にアメリカとの軍事同盟を見直す時である。