経団連エネルギーミックス提言
経団連では2030年のエネルギーバランスを提言した。2030年における電源構成は、再生可能エネルギー15%程度、原子力25%超、火力60%程度とすることが妥当であるとしている。再生可能エネルギーが15%と低すぎる事にまず驚いた。世界全体では30%を越えると言う事が予測されている中での提言である。日本の経団連が、新しい事に臆病で委縮しているという事なのだろうか。原子力を25%と考えている背景の考え方がなんと、老朽化した原発を直し直し使おうと言うのだ。確かに大切に使うのは良いが、原発の技術革新を見込んでいなという事になる。15年経ったとしても、今の原発技術しかないと考えている事がいかにも、革新の意欲が欠落している最近の経団連の姿なのだろう。近年の火力の技術革新を考えてみれば、効率も様変わりだし、廃棄物の低減も著しい物があると言われている。この先15年でさらなる革新があるだろう。
原発については今の40年で廃棄することを基本設計にしてきた原発を修繕しながら、20年は使用期間を延ばすというつまらない話である。環境省では、37%を再生可能エネルギーにすると主張している。この37%は目標値である。この22%の差はほぼ原発分となる。世界の潮流から考えたならば、そうでなければ世界から取り残されるだけである。日本の経団連は、我が身可愛さで現状維持を最善としている組織になってしまった。意欲的だった昔の経団連に比べて、新しいもに取り組む意欲を失っているのだろう。そうして安倍政権と結託して、守旧的自己保存だけを進めている。原発から出てくる核廃棄物の処理はこの将来の電力構想では触れられてすらいない。要するに今の自分達さえよければ未来世代がどうなろうと、知ったこっちゃないという思想なのだ。随分情けない経団連ではないか。
再生可能エネルギーはコストが高いという事を、決めつけている。将来技術革新が行われる中で、15年したら、世界では再生エネルギーの低コスト化を実現する企業が、必ず登場しているはずだ。自分たちの中からそういう、次の世界に結び付く技術革新を目指す仲間の登場を期待しないという事なのだろう。日本は再生可能エネルギーの分野ではこの経団連の主張では、取り残されることになる。世界全体では既に再生可能エネルギーは2011年の段階で20%を越えている。その後も投資は加速的に増加して、30%になるという予測が一般的である。経団連は目先の金目でこの流れを止めたいと考えているのだ。太陽光発電をこれ以上増やしたくないということが、その考えの背景にある。あくまで国民を電力消費者の立場に置きたいのだ。また、再生可能エネルギーというときに、バイオマス発電や廃棄物発電、また水力発電を加えたものと加えない考えがある。当然加えるべきだろう。
問題の根本はいかに原発をやめるかの道筋である。にもかかわらず、老朽化した原発にすがりつこうという将来像を立てている経団連は、頑迷な上に衰えた集団にみえる。後ろ向き以上に、ただの金の亡者の集団としか見えない。既に意欲的な人は、経団連を抜けているようだ。第3の矢、新しい産業の創出には、新エネルギー技術を日本こそ提唱すべきだろう。資源はない。深刻な原発事故を起こしてしまった。火山国であり、活断層がいたるところに存在する、地震の頻発する国土に暮らしているのだ。安全に暮らすためには、脱原発は当たり前の思想だ。そうした未来を遮ろうという経団連の思想は、国民の総意から遊離して行くばかりである。安倍政権は経団連を優遇することで、国民はおこぼれをもらえばいいというのだから、どうにもならない。