八紘一宇(はっこういちう)とは驚いた。

   

自民党の三原じゅん子議員が「八紘一宇(はっこういちう)は日本の建国以来、大切にしてきた価値観だ」このように予算委員会で国会質問をした。何故、こういう事を言わされたのかである。あるいは言いたくなったのかである。安倍政権忠誠の踏み絵なのだと思う。議員として優遇されたいがために、こんな発言をする役割を担うのだ。援護射撃のつもりもあったのだろう。今の自民党の言い成り議員の姿があからさまに出ている。八紘一宇自体の言葉としての意味はともかく、戦時中の大東亜共栄圏の根幹となる思想を意味する標語で有った言葉を、いまさら国会で口にしているという自覚があるのだろうか。何処かにこの言葉で、グッとくる人たちがいると言うことだ。女優に言わせる所が憎い。喜ばせれば優遇がされると、見返りを考えている。こういう、自民党に忠誠を誓うだけの議員ばかりになってきている。上ばかり見ているから、世間という物が見えなくなる。

もう一つの想定は、ここで、目立つ女性議員に戦時中の標語を言わせる効果を考えた、演出家の存在である。そもそも、三原氏の世代の人が、こんな言葉を知っているはずがない。こんな言葉を植え付けた人がいると言うことだ。戦時中にこの言葉がどんな役割をしていたかを、充分認識していたかである。原発事故を死んだ人もいない小さな事故だと発言した、自民党の女性政調会長と、似たような感覚である。この標語で被害者になった人がいると言う事を理解しているのだろうか。日本の侵略戦争の看板の言葉である。世界中が一家族の様な物なのだから、弱いアジアの民を優秀な日本民族が、親代わりになって、守ってあげなくてはならない。大東亜の同胞。こういう建前で、他所の国に進出していったのだ。だから、鬼畜米英と裏返しの言葉の標語だ。さすがに、まだ鬼畜米英の発言は無いが、いつかは出てくると思っている。それこそ、安倍氏が待っている言葉かもしれない。

しかし、三原氏の様な、一見無知を装ったカマトト女優がある役割を担うと言う事はありうる。「一番強いものが弱いもののために働いてやる制度が家である。現在までの国際秩序は弱肉強食である。強い国が弱い国を搾取する。世界中で一番強い国が、弱い国、弱い民族のために働いてやる制度が出来た時、初めて世界は平和になる。日本は一番強くなって、そして天地の万物を生じた心に合一し、弱い民族のために働いてやらねばならぬ。」このように自身のホームページに引用している。日本の政治の演出家がいる。多分自民党の宴会の席では、こういう与太話は良く出るのだろう。今までの日本の保守的な政治家でも、この言葉の意味する所に、日本の独善性を感じていたはずだ。所が、いよいよこんな戦時中の標語が無神経に登場するようになったのだ。国会や国民の反応を見ている人がいる。演出家がこの投げた石で、どんな波紋が起こるのかを、確認しているのだろう。

国会議員はどの会派の議員も鈍い。それこそ、ヤジすら起きなかった。どういう意味で使われていた言葉かすら、知らない議員が多かったのだろう。この国会での発言が、アジアの諸国でどういう波紋を起こすかも、見ているはずである。大した波紋が無いようだ。ここまでは大丈夫と、計っているのではないだろうか。無知が日本を変えて行っている。日本が侵略戦争をしたはずがないという、歴史認識も誰かが広げようとしている。まさかそんな事を考える人がいるはずがないと思っている間に、日本がアメリカと戦争をしたということすら知らない人の方が多いいという状況らしい。三原氏は日本の企業の租税回避ということを質問していた。その中で唐突に出てきた質問である。企業にたいして、八紘一宇という考え方で会社を経営しろということが、まともな国会の質問であろうか。また精神論である。竹やりで戦えということのようだ。

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