2013年のこと
今年は危険な兆候の年であった。最後に来て、安倍氏がその本性を現し、選挙公約にもなかった秘密保護法を強行した。この法案は、民主主義との関連で国民を縛る法律である。十分な国民の理解が大前提になる。そのためには、国会での議論が何より肝心である。石破幹事長さえ法律の内容を理解しておらず、発言を何回も取り消した位である。そして靖国参拝である。国民の間に異論があることを承知の上での強硬参拝である。いよいよ、集団自衛権の見直しという、危険な兆候の牙をむき出して来年を迎える。国民の反応を読み切ったということだろう。憲法改定のハードルを下げようとすらしている。民主主義の意味が十分に理解せず、数に頼む独裁手法である。自民党政権を選べば、こうなることは分っていたはずなので、これも国民の一つの選択である。問題は選挙制度のゆがみにある。自民党支持は高々、3人に1人である。その他維新をはじめとする右傾野党の存在。自民党を陰で支える公明党の存在。その結果安倍政権は50%の支持率をいまだに続けている。
支持の背景にはアベノミックスという綱渡り的な為替操作がある。こうして円の価値を下げて行くことのひずみがいよいよ来年には現われてくることだろう。輸入エネルギー価格は上がる。輸入品の値上がり分が、デフレ脱却と言われている。軽自動車税の値上げ、消費税増税、法人税の値下げ、コンクリート公共事業の垂れ流しその場しのぎを続けた結果に過ぎない。安倍政権は第3の民間活力を活性化させる経済政策の矢と主張したはずの成長戦略は、大した具体性もないまま1年を過ぎた。農業分野でも、規制緩和は言われたが、具体的な方向はまだ示されず、何の動きもこの一年なかった。TTP交渉の内容は国民には何も知らされないまま、強引に結果を飲まされそうな感じで怖い。民主主義が危うくなってきている。民主主義の決断までの議論の過程を、現実政治にそぐわない、衆偶政治とみなしたということだろう。決められる政治の背景に十分な議論が無ければ、独裁政治になる。
自民党の主張する決められる政治は、民主的議論を不要とする政治であった。衆偶政治の次に来る、実行力のある政治は、具体性のある政策を示して議論することだ。農業政策に於いては、競争力のある農産物という事が方針として出されている。要するに儲かる農業をやれということだ。しかし、この方針は農民が決めたものではない。政府もその競争力の具体的方法は示していない。政府が抽象的に唱えているだけのものだ。生産者がかかわらないまま、他人事の方針が決められ、農民は部外者のように、傍観者として立ち尽くしている。そして、いつ辞めようかと考えている。国土の条件を無視して、競争力の低さを農民の努力不足のせいにしたところで、一体食料はどこのだれが作ると考えているのだろうか。企業が農業に参入して、広大な面積で機械化農業をしたところで、2倍の価格が限界である。日本の国力が下がり、円がさらに半分に下がれば、成り立つという意味だろうか。
個人的には今年の後半は絵を描く毎日であった。明るい内は絵を描いているような状態であった。水彩人も公募展として、スタートが切れた。本当の議論が出来る絵画団体として、どこまで本質を究められるのかがこれからの課題だろう。その分笹村農鶏園の方は、作業が遅れがちであった。それでも自給分を作ることは出来ている。野菜は土が良くなった分、作りやすくなった。グループで稲、麦、大豆、お茶をやっているおかげである。グループの活動日は全部で、30日ぐらいではないか。時間がかからなくなったのは、技術が向上したことが大きい。やるべき時にやるべきことをやれれば、時間は半分で済む。今年失敗したのは、大豆の収穫の時期。私の判断ミスで3週間早かった。グループの結束や連絡体制もずいぶん良くなって、上手く回っている。農の会が新しい段階に入ってきたということだろう。