徳州会事件
徳州会が選挙違反で追い込まれている。奄美出身の徳田医師が離島の医療の為に、病院を設立する。それが、医師会の妨害によって、進められない。そのために政治にも乗り出した。こういうイメージが何となくあった。私には、社民党だった安倍知子氏が徳州会の医師だったということの方でも、何となく繋がっていた。しかし、奢れるもの久しからずというか、とんでもないことに進んだ。とんでもないが、ありそうな世の常のほうである。徳田氏という特異な人物の、特異な事件という形で、情報が伝えられているが、実は日本政治は長年こういう形で、汚染が繰り返されてきた。表ざたになったというところが、徳州会事件の特異性と考えた方がいい。徳田虎雄氏は奄美大島で生まれた。弟が医療過疎の為に死んでしまったという、悲しい出来事から医師を目指す。医師になってみてもこの離島医療の問題は解決できない。そこで病院経営に乗り出す。一般にこの人の行動が、理想主義者の善意の人として、知られたのはこの頃だろう。
離島に病院を作ろうとすると、医師会による妨害に出会うことになる。政治に進出して、世の中を変えない限り離島医療の改善の道は開けないと考えるようになる。そして、奄美群島区から立候補する。しかし、たしか2度落選する。それは自民党の根強い地盤に阻まれる選挙に見えた。落選を繰り返す中で、自民党的金権選挙のやり方を、敵から学ぶことになる。そして、ついに当選をする。この頃から病院経営は離島だけでなく、特集会グループとして全国に広がってゆく。そして、日本最大の医療グループというところまで拡大する。当初の離島医療の理想を忘れたわけでなく、離島医療経営を成り立たすためには、全国展開する巨大医療グループにする以外に経営が出来ない、ということだろう。ますます、医師会との対立は大きくなる。そして、二男が国会議員になる。自分は徳修会に君臨し、理想の為には手段を選ぶ必要はないという、独善経営に進む。
石原慎太郎氏は、この徳田氏を盟友としている。まだわからないが、様々な協力関係があったと思われる。想像だが、その石原氏の紹介で、徳田側と面会したのが、東京都知事候補の猪瀬氏ということではないか。猪瀬氏は石原都政の副知事になる前は、作家と言ってもテレビのコメンテーターのような人の範囲だった。その場その場で都合のよい発言をしては、注目を浴びたいというような、一貫性のない人に思えていた。その意味で、石原氏が後継に選ぶようないいなりになるタイプの人だったのだろう。この5000万円献金はその罠の一環である。これで自由に操れるということだ。これが、何かの理由で、公にされたのかということになる。猪瀬氏は東京オリンピックに成功し、調子に乗り過ぎたのかもしれない。石原氏との対立。背景に暗躍する暗い力が見え隠れする。オリンピック利権の約束を守らず、例えば国立競技場の設計見直しのようなことがあるのかもしれない。都庁建設では、丹下事務所との収賄が噂された。
安倍政権の公共事業拡大も、原発輸出も、自民党支持のお礼の側面が強い。美しい日本のことを主張しながら、日本の環境を崩壊の淵に立たそうとしている。先日の国会答弁のTPPなど好例である。守る気もない農業の例外5品目など、忽ち消えてゆくだろう。農業には、それだけの利権がないとなれば、巻き込まれてゆくだけだ。本来であれば、交渉から抜けることが、安倍氏の今やるべきことのはずだ。しかし、もしそういう行動に出れば、忽ちに安倍政権はあらゆる手段によって崩壊させられるだろう。徳州会事件は、田中角栄事件と並ぶ、政治的策謀が感じられる。猪瀬氏は即刻辞めて、責任をとる。そして洗いざらい真実を公にすべきだ。地位に執着した為に、この人は政治家になって変貌した。変貌させられた。5000万円どこから工面したのだろう。あれほど、第2東名高速の無駄な公共事業を主張した人が、こんな馬鹿げた人になるのが、政治の汚染作戦である。