中国の防空識別圏設定
中国は尖閣問題以来の戦闘的対応を、一段緊張度を高めた。当然背景になっているのは、国内の問題の深刻化である。もし日本との小競り合いが起これば、すべてが解消できると踏んでいる。日本がちょっかいを出すのを待っているともいえる。こういう時に、対抗心が掻き立てられ、暴挙に出る人間という類の人はどこの国にもいる。ここは本気で静かに対応しなければ、中国の思うつぼにはまり、不利な状況に追い込まれる。すでに、興奮して、この緊急時だ。辺野古移転阻止だの、オスプレー反対など、四の五のヌカす国賊の、プロ市民活動家を沖縄から追い払え。こういう発言を勝谷誠彦氏はラジオでしていた。軍事オタクなのだろうか。尖閣にも上陸したと自慢げに語っていた。今重要なことは、中国が何のために、こういう罠を仕掛けているのかを理解しなければならない。日本が中国の飛行機に何かしてくれるのを待っている、中国軍人が居るのだ。かつての日本の関東軍の暴挙と同じことだ。
日本に余計な武力がなければいいと思う。武力がなければ、負けるしかない。負ければ尖閣は取られるだろう。それでも、戦争をするよりはるかにいい。こんなことを読めば怒り心頭の人が居るのはわかるが、それくらい心配をしている。先日、沖縄の恩納村の仲西さんが、沖縄には、「戦わない文化」があると言われた。「武力を持たないものが、どうやって戦わずして、自分達の民族を守るのかの知恵がある。」これは大いにヒントになる。もし沖縄が、中国、朝鮮、薩摩に抵抗し戦ったとしたら、すべてを失っていただろう。確かに、隷属することは辛いだろう。知れば知るほど苦しい歴史に見える。それでも沖縄には、豊かで、優しい人間の文化が残っている。大江健三郎の「沖縄ノート」には、その琉球国に差別され、波照間島の崎山という現在廃村になっている場所に強制的に送り込まれた人の話が出ていた。放棄民にさせられたかなしい民謡の話が書かれていた。確かに歴史は過酷な現実を示している。
中国の主張は、尖閣諸島に領土問題がある。これを日本も認めて、話し合いを行おう。ということである。もちろん奪いたいということが根底にあることは確かだ。日本政府は、ここには領土問題など存在しないという一貫した態度である。私も日本人であるから、そういう心情には成りやすい。しかし、翻って竹島では、日本は逆の立場だ。韓国は、竹島は純粋に韓国の領土であり、一切の問題は存在しないとして、話しすらしようとしない。そして逆手に出て、必要以上に従軍慰安婦問題を取り上げる。こうした韓国政府の対応自体に、神経がきりきりとさせられてしまうのだろう。中国も同様である。国民を切りきりさせたいのだ。そうしなければ、色々の問題が噴き出てくる状況がある。勝谷氏のように、この問題が出たとたんに、辺野古移転でごちゃごちゃぬかすな、という論理に飛躍するように、中国では、ウイグルやチベットの問題は相当に深刻化している。これを、一気に解決できるのが、尖閣での小競り合いである。この非常時に何をごちゃごちゃぬかしているのか。こうして、秘密保護法も強行採決される。
世界はますます、経済格差が広がり、より緊張を高めるだろう。武力を強化し対抗しなければ危険だという言葉が、強く叫ばれるだろう。しかし、誰に正義があろうが戦争に入れば勝とうが負けようが、人類滅亡にいたる可能性が高い。我慢した方が賢い選択になっている。不十分かもしれないが国際司法裁判所に、ゆだねた方がいい。尖閣に問題が一切ないという、説明の仕方だけでは、相手を怒りに導く。そしてそのことが、中国軍の影響力強化に利用される。中国では経済発展の膿が深刻化しているに違いない。高度成長期は人権軽視で強引にすべてが進められる。日本ではそうだった。田中金脈事件のようなことも日本では起きた。中国の汚職体質はさらに深刻と思われる。世界はどこに軟着陸するか。墜落するのか。ともかく日本はこのことに巻き込まれてはならない。挑発に乗ることがいちばん愚かな選択である。尖閣で戦争を起こしても何の解決にもならないし、悪い方に進むだけだ。