苗作りの多様性
欠ノ上の苗床
新永塚の苗の様子
欠ノ上の苗の様子 4月21日播種
農の会では4か所の苗代で苗が作られている。10グループの苗である。グループ田んぼは全体で2ヘクタールぐらいだ。特徴的なことは、この苗作りがそれぞれで、同じではないということである。農の会らしい良いところである。それぞれのやり方を見せてもらい、自分なりの工夫に進んでいる。まず種まきの時期がずれている。早いところでは、4月6日に行った。遅いところで21日である。浸種の期間も1カ月から、2日まで様々である。結果は3,4年はやってみなければわからない。周囲の農家並みの収量は採れなければだめなやり方となる。自給農は自分たちのやり方を見つけないと続かない。子供がいれば、子供が参加しやすい形が必要になる。年寄りなら年寄りでも出来るやり方。それぞれが発想して、工夫してやるところに合理性がある。1ヶ月川に浸けて置く私の方法は、とても面倒くさいという欠点がある。2日でもお湯を使って大丈夫だというのも一つの考えである。人のやり方は、否定せず、何かを学ぶ。
苗代には保温やスズメやカモやネズミの防御にシートを懸ける。カバー材料もそれぞれに違う。欠ノ上田んぼでは、ラブシートである。保温性がいいし、破れにくいのでこれを使っている。欠点は価格が高い。大事に3回ぐらいは使わなくてはならない。この管理が厄介である。保管も面倒くさい。隣に苗を置いている新永塚田んぼでは、穴あきビニールである。今のところ一番生育がいい。保温性がいいのだろう。気になるのは熱くなりすぎて焼けることがないかであるが、今のところ大丈夫のようだ。穴あきビニールでも、2つ穴、3つ穴もあるし、小さな穴あきを密着させているところもある。いつ剥がすのかが興味深い。密着させているのが、子の神田んぼグループである。密着しているということは、保温性は小さいということになりそうだ。この後の生育を見較べてみたい。パオパオでの密着は出てきた芽が、シートに食い込んで、後で手に負えなくなる。パオパオ密着も保温というより、鳥よけという感じか。
苗床での管理を長くする、じっくり型の苗作りと、保温して生育を早めるすくすく育苗と、その後の稲の状態はどのように変わるのか。この点を着目して収穫期に確認したい。舟原田んぼでは、保温なしの育苗である。確かに生育は遅い。しかし、2週早く蒔いた。田植えのころには大きさは並ぶのだろうか。今年は4月後半が寒かったので、どうなるか。さらに田植えを遅らせて、大苗でやるのだろうか。ハウスで発芽をさせて、1,5葉期ぐらいで水苗代に入れて育てているのところもある。欠ノ上でも同じ発想で21箱だけやってみている。しかし、私は水苗代でも、保温はしてみようと考えている。苗はある程度勢いよく、短時間勝負のすくすく育苗がいい気がしている。苗の時に生育が滞ることはあまり良い結果にならない気がしている。苗土を発酵させたり、堆肥を加えたりも様々だ。苗代の作り方も無肥料もあれば、堆肥を入れるところもある。
苗代は代かきをした方がいいかと思う。代かき前に十分に土を良くして置くことも重要。苗を置くときに苦労はしたが、何とかなった。その方が平らになるし、密着もする。密着しないと水を吸い上げない。水没をすると、酸素不足で発芽しない。当然のことだが水は出来る限り温めたい。そのためには入水量は制限したい。そう考えると、全体を代かきしたい。苗作りでは、苗採りの作業の軽減が課題であった。昔の人のように田んぼに作った苗代に種を播くのでは、苗採りが大変なのだ。誰でもできる田植えにするためには、セルトレーの育苗がいいという方向で進んだ。セルトレー一株をそのまま植えるということが、初めての人にも分かりやすい。苗採りも格段に楽だ。メンバー全体が慣れてきたら、機械植えの苗箱でもいいが、良い苗を作れるかどうかはまだ課題がある。今回もいくつかのグループで試みている。結果を良く見てみたい。